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64,ボッチPKアジトを離れる19

このPK職固有らしきイベントを俺は暇を見てはどんどん進めていた。そのころの俺は町には入れないような状態だったので、普通のイベントやクエストはとてもではないが受けられなかった。しかし俺を狙ってくる刺客たちは、イベントを進めたりしてどんどん強力になっていく…。

 そんな状況ではいずれジリ貧状態になってやられてしまうだろう。

 そう思った俺はこのイベントを進めていくことで、ほかの奴らの知らない強力な力が手に入ることを願って進めていったのだ。

 そのイベントは途中で止まってしまったが、そのイベントを進める過程でこのような悪魔と何大家と戦って討伐したし、このゲームで運営に携わっている人以外では自分しか知らないであろう力を得ることに成功していた。

 しかしそういったことが慢心になっていたのだろうか……?

 いつのまにか、悪魔という存在は強力ではあるが、油断せずに落ち着いて対処すれば倒せない敵ではないというように考えてしまっていたのだ。

 まだ、すべてのイベントが終わったわけではなかったが、俺が進めていたおそらくPK専用のイベントのような、連鎖的に続いていくイベントでは敵は順々に強くなっていく。特殊な負けイベントでもない限り、いきなり敵が強くなって手も足も出ない事態になったり、逆に先に出てきた敵よりも圧倒的に弱くなった敵が出てきてしまったらそれはゲームとしては破綻しているに等しいことだからである。しかし現実とゲームは違う、ゲームで起こるような相手に合わせたような強さの敵が出てくることのほうがおかしいのである。

 それは本当に一瞬の出来事だった。

 気が付いた時には、対峙していた悪魔が自分の目の前にいて、繰り出された拳が俺の腹部にめり込んでいた。

 そして、その勢いのまま殴り飛ばされてそのまま何メートルも飛んで、その先にあった木々を漫画のように何本も破壊しながら勢いを弱めていき、その先の気にぶつかりようやく地面につくことができた。

 認識が甘かった……。普通の装備だったら今ので絶命していただろう。このいまの装備が通常ではありえないほどの防御力を持っていたから大丈夫だっただけである。ゲームの中では何体かの悪魔を討伐したし、強力な禁域種の魔獣や強敵と戦ってきたが、ここまでの力の差を感じたことはなかった。明らかにこちらの力をはるかに上回っている。

 一番まずいのはスピードで上をいかれているということだ。俺のビルドはある方法でありえないほどの防御力があるが、基本はスピードと反応重視の回避型のものである。なので高い防御力に助けられているが、この状況だと戦いの主導権をにぎられて、やられてしまうだろう。相手の攻撃力も食らった感じだと、この装備でなければ一発で終わってしまうほどの威力を誇っている。この感じだと防御力もそこそこ高いだろう。唯一の救いは人間型の体力(HP)は低めでレベルなどではあまり差が出ないことである。つまりうまく攻撃を入れられれば、こちらにも勝機があるということだ。というかそれしか今の状況を打開する手立てがない。

 『俺の一撃を食らって立ち上がってくるとは、ずいぶん頑丈だなぁ。オイ!』

 威圧のこもった言葉に思わずすくみそうになる。ここに来たばかりの俺だったら、どんなに戦力的に勝っていたとしても、逃げるか土下座して謝っていただろう。

 そんな足のすくみそうな気持ちを抑え込んで剣を構える。相手のほうが格上である。だが格上が必ず勝つわけではないのが世の常である。そのうえ格上との死闘は俺自身<人魔大戦>で何度も経験してきた。その過程で新しい切り札も手に入れた。それにどちらにしろこの状況では逃げることさえできそうにない。つまり分の悪い勝負だが、負ければ死である以上戦って勝つしかないのだ。

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