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60,ボッチPKアジトを離れる15

矢継ぎ早に放たれた言葉に何も言い返せずに黙り込んでしまう。俺のことをまるで見てきたかのようにぴたりと状況を言い当てられたのもあるが、それ以上にその状況をほかの人間に言われると思った以上に精神的にくるものがある。しかも、

「さらに言えばなぁ!」

 (えっ!?さらに言うの?もうすでに結構俺へこんでるよ?何ならすでにライフポイントゼロだよ?まださらにおいうちかけるの?)

 そんな思いとは裏腹にカペラは続ける。

「与えられた固有職も死司天帝だったか?かなり破格の性能だったらしいがその名前はどうだ?取り繕ってはいるが実質的には死神か死神の親分みてえなものだろ?どっちかというと悪役にふさわしいような名前じゃあないか?」

「何が言いたい?」

心の動揺を悟られないように努めて平静に聞き返す。

「わかんねえか?それもお前だからだってことだよっ!もしもお前と相手の立場が逆だったらその名前が与えられたと思うか?おそらくそんなことはないはずだ。逆境を乗り越えた英雄みたいな称号を持った固有職が与えられただろう。少なくともお前のみたいに何となくマイナスイメージを持たれる名前にはなっていないはずだ。」

 きっぱりと断言される言葉を否定したいが、何も言葉が出てこない。少し考えただけでその情景が浮かんできてしまう。つまり逆の立場だとほぼ確実にそうなっていたということだろう。否定できるだけの根拠を俺は何も示すことができない。悔しさで歯の奥がキリキリと鳴いている。お前に何が分かるといいたいが、すでに状況をぴたりと言い当てられている。何も言い返せない。なぜならこれらは真実もしくは真実になったであろう話だからだ。

 そんな俺の心境を察したのか、さらにカペラは勝ち誇った顔で続ける。

「お前は確かにあのゲームでは先頭集団にいてトッププレイヤーの一人ではあった。しかしお前がどんなに努力していようが、どんなにすごいプレイヤースキルを身に着けたとしてもな、知名度も人気も全くないお前が難関ダンジョンを制覇したり、希少な職に就くことを望んではいないのさ。運営も一般プレイヤーもそういうの早い者勝ちだとか言いながらも誰とも知れない人間がそういうことを望まない!!

 難関ダンジョンを一人ぼっちで攻略した話よりも有名なプレイヤーがくらんで精鋭プレイヤーを募り、ドキドキはらはらしながら真剣勝負ならではの大ポカやドラマを紡ぎながら苦労しながら制覇していく…。

 そんな話にこそ人々は熱狂する!!

 お前がどんなに頑張ったとしてもお前の頑張りに目を向けるものはほとんどいはしないっ!!

この世界でお前が世間に認められることはない。すべての名声はあいつに行き、すべての悪評はお前に降りかかってくるぞ?」

 いろいろ言いたいことが出てきたが、後ろに控えたハダルが詠唱を終えそうだったのでそれに備えるためにあえて黙ることにした。

カペラは話を続ける。

「もう一度いうぞ?お前は俺たちと来るべきだ。この世界で外ではほかの一般人にいい顔をして裏のほかの人間が見ていないところでは、人を平然と踏みつけにするような人間を粛正してやるんだよ。俺たちの手で世界を変えるんだよ。お前もこの世界ではすでにお尋ね者でそれはもう覆ることはない。一生隠れて暮らす気か?俺たちとくればそんな心配もなくなるぞ?俺たちと来い!」

俺は万感の思いを込めて力いっぱい叫んだ。

「断るっ!!」

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