54,ボッチPKアジトを離れる9
ガイアノッカーがアースバインドの鎖を引きちぎり、足を地面に力いっぱい踏みしめる。ガイアノッカーとはよく言ったもので、それだけで局地的な狭い範囲の地震が起こる。あらかじめ身構えていれば問題ないが、こういう不意打ち的な感じで来られると、足を取られて動きを止められてしまう。
次にガイアノッカーは尻尾を横に大きく振った。それにより小さめだが高さが五メートルある竜巻ができ、こちらに襲い掛かってくる。
このクラスの魔獣だと尻尾を振るときにできた小さな風を利用して、竜巻を発生させる魔法を発動させることも当たり前にやってきたりする。この竜巻もダメージ目的ではなく足止めだというのが分かっているが、その前の地震で足を取られているので、躱せずに受けることになってしまう。
何とかこの状況から抜け出したいが、へたに体勢を崩してしまうと次の攻撃で致命的な隙をさらしかねない。
つまり、何が言いたいのかというと何もできないので次の攻撃を耐えるしかないということだ。覚悟を決めて歯を食いしばる。
ドーーーンッ!というよりドウッ!!というような鋭い擬音が似合うような鋭いガイアノッカーの突進を受けて吹っ飛ばされる。木々をなぎ倒し10メートルくらい吹っ飛ばされたところでようやく地面に左手をつくことができた。
左手でブレーキをかけて吹っ飛ばされるスピードを弱めながら、次に両足を地面につくと同時に両足をまげて、横っ飛びで左によける。その避けたところを猛スピードで突っ込んできたガイアノッカーが通り過ぎる。間一髪だった。
そして横に転がり体を起こしたところに、ハダルの先端に風の刃をまとった杖の切っ先が迫ってくる。その切っ先を右手の剣で右に受け流して、その体のひねりのままに左の拳をハダルの顔面に叩き込む。
そのまま右に吹っ飛んだハダルの陰からカペラが青い炎をまとった左手を突き出して攻撃してくる。俺は身をかがめながら体のひねる流れのまま体を時計回りに回転させて左手をつき、ぎりぎりでカペラの左手をかいくぐり、その回転の勢いで左足の膝をこれまたカペラの顔面にたたきつけた。
ハダルと同じように右に吹っ飛んでいくカペラをしり目に体を起こしたところに、正面からアーマードレイクが二匹突っ込んでくる。しかし俺が左に大きくよけるとその背後に迫ってきていた空気を圧縮した砲弾に巻き込まれて吹っ飛んでいく。
振り返ると空気の砲弾を飛ばしてきたガイアノッカーがゆっくりとこちらに歩を進めてきていた。
やはりこの魔物と連携できているわけではなくお互いに好き勝手やっている印象だ。なのでお互いに相手を巻き込む攻撃も躊躇せずにはなっている。しかしお互いに連携していないとはいえ、こうも波状攻撃をされると行き着く暇もないので正直つらい。
幸い2匹のアーマードレイクはさっきの攻撃で瀕死の状況で、ハダルとカペラもさっきの攻撃がきいたのか体制を整えるまで少しかかりそうだ。できればこの間にこのガイアノッカーを仕留めたいが、相手も警戒していてこちらのすきを窺っている。
このままでは、らちが明かないのでこちらから仕掛けようと出よう押したときに合わせるようにガイアノッカーが地面を踏みしめる。それによって発生した地震にまた足を取られてしまう。
タイミングを見計らって地震を起こしこちらの出足を封じてくるとか本当に厄介である。そしてそのすきにさっきの空気の砲弾を放ってくる。空気の砲弾はその周囲の景色がゆがんでいるので、どこにあるのかすぐにわかるがそこそこ大きくスピードも速いので厄介である。
大きく右によけたところに待ってましたとばかりにガイアノッカーが突っ込んでくる。とっさに刀を振るうが、ガイアノッカーがまとう衝撃波に弾かれて大きく吹っ飛ばされてしまう。この衝撃波の攻撃もこちらの防御を貫通してダメージを与えてくるので本当にキツイ。
体を駆け巡る痛みを耐えながら体をひねって地面に着地する。すぐに追撃する様子はないがこちらを油断なく凝視している。やっぱりこいつが一番厄介だ。




