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43,ボッチPKおかしな集団と接触する

「おいっ!ソル、、、。」

 若干焦って、テンパる俺に対しソルのほうは落ち着いた様子で

「ああ、囲まれているな。建物ごと攻撃する気配もないし、相手の出方次第だが、襲ってくるならここで迎え撃つか。」

 そういいながら建物の入り口を見ながら、槍を構える。って槍持ってたの?魔獣で武器を使うものはいるがこのクラスの魔獣は大体持ってるもんなのだろうか?

 不思議そうに見つめる視線に気づいたソルが答える。

「この槍は俺の尻尾の部分を具現化したものになるな切れ味も強度もそれなりにあるぞ?」

 凶悪な笑みを見せるソルに呆れつつ、俺のほうも不測の事態に備えて武器などを準備する。

 建物の入り口は先ほどソルがここの最後の生き残りを吹き飛ばしたブレスで大きな穴が開いていて、入り口からここまでは見晴らしがかなり良くなっているので、建物ごとこられないのなら不意打ちを食らう可能性は低い。だがこちらもついさっき手を組むことに決めた即席のパーティーだから連携もくそもないが、それ以前に俺自身ゲーム時代はほとんどソロだったし、こちらの世界に来てからは右も左もわからなかったので、いろいろな人とパーティーを組んでいたがそれでもすぐに連携をとれる自信はない。最悪攻撃に巻き込む可能性も出てくる。

 そういった懸念から俺はソルに

「俺のほうは連携しながら戦うのは無理だから戦うときはお互い少し離れて戦う感じでいい?」

するとソルは少し驚いた様子で

「いや、そんなに強いのに連携して戦うのに慣れてないって今までどうやって戦ってきたんだ?人間は大体複数人で役割を分担して戦うって思っていたんだが、、、。」

 突然告げられた正論に動揺してしまう。それはこの世界では当たり前というか、生き残るためにはそうするしかないというほどに絶対的な事なのだ。

 能力が天と地ほどに開きがある魔獣に単独で挑むのはこの世界では、頭のいかれた自殺志願者としか見られない。なので答えに窮する羽目になったのだ。

(そういえばソロで行くと言ったら受付の人に必死の形相で止められてたな、、、。) 

 そんな感じで軽い現実逃避をしているといい言い訳が浮かんだ。

「俺は今は不本意ではあるが、罪科職のアサシンになっているんだ。パーティーは組めないだろ。」

今のことではなく今までのことを聞かれていたのだが、その答えで何か察してくれたのか

「そうか、わかった。」

と納得してくれた。

 、、、たぶんボッチ冒険者と見抜かれたのだろう。何か少し憐れむような視線を彼から感じる。

 まあボッチのソロ専門と言われれば反論しようがない事実なのだが、憐みの視線を向けられるのには少し納得のいかないものを感じる。まあ命がかかっているのにそんな状況を貫いている人間はそうみられても仕方ないのかもしれない。

 そんな感じで微妙な空気が流れる中、相手の動きを窺っていると周りを取り囲んでいた気配が建物の正面から少し離れたところに集まっているのが分かった。

 いよいよ攻めてくるのだろうかと身構えていると、その集団の中から三人ほどが集団から離れてこちらに向かってくるのが分かった。これはおそらく交渉の意思があるとみていいだろうと思う。そうすると、このいま全滅させた集団と敵対する組織だろうか?

 彼らがやっていることは理不尽でおかしいので、裏ではいろいろなところから恨みを買っているであろうことが容易に想像がつくので、そういった存在がいるのは不思議な事ではないが敵の敵は味方と単純に考えるわけにはいかない。この組織が国家間の争いのために作られたものだとなったら自分たちの生殺与奪はその国に握られてしまうことにもなりかねない。ここは慎重にいかないとまずいと考える。

 そんな決意を秘めた緊張は、こちらに接触してきた三人によっておかしな方向に霧散してしまう。

 あらわれた三人は、全員がどう見ても12~15ぐらいのあどけなさの残る少女で全員が黒い装束に身を包んでいたのだ。これはどう見ても国家が絡んであるとは考えられない。

 見た目で判断するのは危険だという人がいるかもしれないが、戦闘になることも考えると彼女らを使うメリットがほとんどない。見た目でごまかして実はすごい手練れだという線も考えられるが、この世界でもそこそこの手練れと渡り合ってきたのだ、どんなに隠してもどこかに手練れであると判断できる雰囲気が感じ取れる。

 そういったことから彼女たちはおそらくここを取り囲んでいた集団のまとめ役なのだろうが、ここのまとめ役だったグレイルにもかなわないほど弱く、相手にならないことが分かったのだ。

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