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4.ボッチPK冒険者時代を振り返る2

長いですが追われることになった回想はもう少し続きます。

もう少しお付き合いください。

 こんだけ順調だった冒険者稼業がいきなり終わってしまったのはBランクに上がってすぐ受けたクエスト(ドレッドノートベア)という熊の討伐をしている時だった。

 このドレッドノートベアという熊は体長3~5メートルある規格外の熊で手の肘から先と足の膝から先が分厚くかたい鉱石のような皮膚に覆われていてその防御と鋭い爪と牙を持ち高レベルの地属性魔法まで使ってくるとんでもないやつなのである。

 本来ならばAランクかBランクならば5~6人以上は必要であるとされる魔獣であり、Bランクといえどなったばかりのましてやソロの人間に任せていい依頼ではないのではあるが、これまで特に問題も起こさず短期間でランクを上げた実績を買われたことと王都の近いところまで出没しているということで緊急性があるということで受けられたのだ。

 この熊はゲームでも同じ感じのパーティー編成が推奨されているが、このゲームは4年も続いているゲームでこの熊は初期から実装されている。つまり何が言いたいのかというと完全な攻略法が確立されているのである。ここまでやってきた感触から魔獣に関しては多少のイレギュラーはあるがおおむねゲームの攻略が通用してきたのでこいつだけ違うということはないだろう。

 

 依頼を受けて5日後俺はドレッドノートベアが出没するリグル山のふもとにあるリグルの村に来ていた。馬車でここまで来るのに4日もかかった、、、。<人魔大戦>ならファストトラベルで一瞬で来れることを考えるとわずらわしいことこの上ない。

 しかしもうこの世界に来て一年近くたつというのに、いまだにゲームの世界と比べてしまうのはまだゲーム気分でいるということなのだろうか?

 最初のころはゲームの世界を現実として体験できると異世界に来てしまった不安よりも期待のほうが大きかったがすぐにその認識は覆された。

 他にお金を稼げそうな仕事がなかったというかゲームの知識が生かせるからと安易な考えでギルドに登録して冒険者になったがその認識が甘かった。

 モンスターの巣にはゲームのように魔獣だけがいるわけではなく、魔獣の食い散らかした人やほかの魔獣の死骸や、それにたかる小型の虫やカビなどがひどい悪臭を放っているし、実際に魔獣と戦えば当然のことだが返り血や飛び散った臓物などを浴びたりすることにもなる。

 そういったことから最初のころはモンスターを倒したあとは気分が悪くなりその場でおう吐してしまったりした。モンスターの解体も心を殺して無心になってやったがやはりうまくはいかず、ストレスで夜2~3時間しか眠れないし食事もほとんどとれない日々が2か月にわたってその状態が続いた。

 その時に、ここは違う世界の現実でやり直しがきくゲームとは違うということが身にしみてわかった。そしてその中で盗賊などの対人戦も流れで経験することになってしまい、そのたびに怯えて迷って何度も窮地に陥ることになってしまった。最終的にはステータスの差で何とか切り抜けることができたがこれもただ運が良かっただけという面もあったので、この世界で活動する以上いざというときは人であっても何であっても(実際にできるかどうかは別として)命を奪うのにためらわずいこうと覚悟を決めた。

 しかしその覚悟を決めてやってきたはずなのに、いつの間にか次があるゲームと同じように考え出してしまっている自分に辟易してしまう。

 <人魔大戦>時代にRK職になったときも半ば自暴自棄になってやったことだが、その時もPK職としてやっていこうと決めたはずなのに、安易な解決法を信じて痛い目をみたり。

 ぽっと出の全くと言っていいほどかかわりのなかった何とかしてくれるというプレイヤーを信じて絶体絶命のピンチに何度も陥ったりすることになってしまった。

 そのたびに自分に覚悟を決めろと言い聞かせてきたはずなのに………………。

 人は易きに流れるという言葉があるが全くそのとおりだと思う。

 何度痛い目を見ても次の易きに流されてしまう………………。

俺はいつになったらきちんと流されずに生きていけるようになるんだろう。 

 自嘲気味な考えをしながら歩いていると、どんどん気がめいってきてしまってきたのでここらで考えるのをやめてこの村のギルドに入っていく。

 もちろん情報収集のためである。この世界に来てつくづく思いました。

情報収集とても大事!(これは声を大にして言いたい)

 最初のころの初心者用の薬草収集から小型の魔獣の討伐のような依頼も、ゲームなら規模にもよるが情報がそんなになくても4~5時間もあれば目的は達成できるものである。

 しかし現実になると途端に話が変わってくる。

 何時間も目的のものを探して森を迷い歩いても一向に見つけられないのだ。それだけで一日が無駄に終わったことが何度もある。

 依頼の薬草を探して一週間以上森をさまよって何も見つけられず、進展がなかったときはさすがに焦ってギルドの人に頼み込んで色々教えてもらった。

 そのおかげで今はボッチだが人に話しかけ情報が集められるようになったのだ。あと本もこまめに読むようになった。ゲームでもそこそこ調べてはいたがここまで必死ではなかったように思う。

 この努力が功を奏して、少しづつだが効率的な採取行動などの行動ができるようになってきたと思う。


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