38,ボッチPK盗賊団を殲滅する12
このワイバーンは生み出された強化ワイバーンだと思っていたがどうやら違うみたいだ。放たれた圧力はかつて<人魔大戦>で戦ったレイドボスを彷彿とさせる。
しかし俺自身レイドバトルはとある事情で最初のほうしか参加できなかったので、初期のころのレイドボスの強さくらいという認識になってしまうがそれでも相当なものである。
これほどのものを作り出すような技術は<人魔大戦>では聞いたこともなかった。このことが作られたものではないと確信した理由だ。
しかし”隷属の首輪”があったとはいえ、これほどの魔獣を使役することができたということは相当な手練れだということになる。しかもおそらく一人二人ではなく、十人くらいはいると思われる。
おそらく全員プレイヤーであると思う。ここに来て一年くらいだが、いろいろ遠出もしたけれど一人もプレイヤーらしき人物に出会うことはなかった。
運が悪かった可能性もあるが、これは飛ばされてきたプレイヤーはそう多くないと思った。そう考えると彼らは意図的に集まっていると考えられる。よりによって<人魔大戦>時代の俺を不俱戴天の仇扱いしているライアン教にである。
この世界ではプレイヤーはほとんどが上級以上の強さになる。そしてある程度この世界のことや魔獣、そしてアイテムの使い方など上位のプレイヤーになればなるほどその知識は、深く広くなっていく。そんな人たち十人以上と敵対関係にあるということである。
突きつけられた事実にめまいがしてくる。これではPK時代に逆戻りではないか。こんな生活を送りたくなかったので一生懸命頑張ってきたのにまた似たような生活になってしまうのか、、、。
そんなこと考えて落ち込んでいると頭の中に声が響いた。
(私を開放してくれて礼を言う。)
周りで生きているのは自分とワイバーンだけである。ということは必然的に、この声の主は目の前のワイバーンということになる。
、、、、えっと魔獣ってこんなことできたっけ?
(私はエクスワイバーンロードのソルという。エクスワイバーンロードは女神パルティア直属のいわば神獣ともいえる立ち位置だ。だからパルティアの信徒と念話ができるのだ。もちろんこの力はみだりには使えないがこういう時は仕方ないだろう。あ、あとこちらへは普通に話してくれ。大体の言葉は分かるから。)
今の俺は罪科職のアサシンなんだけどね。まあこの職業も女神パルティアから与えられたものという設定だからそうなのかもしれないが、何か腑に落ちないものを感じる。まぁここでそんなことを言っても意味がないので話を先に進めようと思う。そしてここで俺は確認の意味もあって捕まったいきさつなどを聞くことにした。
「話しにくいことかもしれないが、捕まった時のことを聞いていいか?」
少し考えるそぶりを見せたがすぐに
(わかった。そちらにも事情があるのだろう。こちらもそのあたりのことを話しておいたほうがこちらの要件も伝えやすいしな。)
そういってことの経緯を話し始めた。




