28、ボッチPK盗賊団を殲滅する2
この犯罪拠点を率いている女頭首の名はスカーレット=フロバンスという。今年で28になる。
ここでは裏組織にやとわれて、女頭首をしていてもう3年ほどここで生活をしている。
元々彼女の生まれたフロバンス家はそこそこの家柄の貴族で、ライル王国でも中堅の上位に位置する名門の家柄である。
しかしそんな名門の家柄に生まれた彼女だったが、彼女は小さいころから素行が非常に悪かった。勉強や習い事を嫌がり、すぐに抜け出して盗みを働いたり、いろいろなところで女なのに喧嘩に明け暮れるような、とても名門のお嬢様といえるような女性ではなかった。
最初はいろいろ手を回し彼女を助けたりしていたフロバンス家の面々も、いくら言っても、どんなにしっせきしたり説教して罰を与えても、一向に改善する気配がない彼女の素行に愛想をつかし10歳を過ぎるころには何も言われなくなり、15歳でこの国で成人として認められる年になったときに、幾ばくかのお金お渡されて、家を追い出されて放逐され、加盟を名乗ることを禁じられた。
元々成人したら家を出ようと思っていた彼女ではあったが、彼女が原因ではあるのだが、一方的に追い出されて家名を名乗ることも禁止されたことはさすがに思うことがあったらしく。
別の道で一旗揚げて見返してやろうと考えるようになった。
しかし元手もなく、手に金を稼げる職を持っているわけでもない彼女は、仕方なく冒険者登録をして冒険者としてやっていくことにしたのである。
冒険者としての彼女は良いパーティーを組めたこともあり、とんとん拍子でランクを上げていき5年でCランクまで上げることに成功した。
これはこの世界ではそこそこ優秀な部類といえるものであったが、彼女の素行が改善することはなかった。
相変わらず彼女はすぐにカッとなって手が出てしまう性格もあっていろいろなところで問題を起こしていた。彼女は追い出されてお金がほとんどなかったこともあってそのまま地元で冒険者になった。それは彼女が家を追い出されたことと理由を知っているものばかりということである。そのため彼女は”フロバンス家のスカー(傷痕)姫”と馬鹿にされることも多かった。
彼女はそう呼ばれるたびに諍いを起こし、相手に重傷を負わせることも増えていった。そんな状態が続いていたからパーティー内でも少しづつ溝ができてきて、彼女は最後にはその5年いたパーティーを追い出されることになってしまう。
そのあといろいろなパーティーでやっていくが素行や態度の悪さが広まってしまい、腕はそこそこ立ったが、どこに行っても長続きしなくなっていた。
彼女はマジックレンジャーという魔法も使える斥候職である。魔法も使えるが基本は道の確認や宝箱の開錠、魔獣の索敵などであり基本的な戦闘力は前衛職や本職の魔法職や公営職には及ばない。
つまり彼女一人でのダンジョン挑戦は無謀であるということである。彼女自身もそれは理解していたのでダンジョン攻略や魔獣討伐系のクエストは受けなくなっていた。
そのうちに生活のために裏の仕事を引き受けるようになり、どんどん裏の世界にはまっていき、気が付けばこんなところにいたという感じなのである。
そんなわけでこの仕事に納得しているわけではないが、周りは訳ありばかりなので仕事はやりやすく、居心地がよかったのでだらだらとここにいついていたのである。
彼女自身裏の仕事を受けるようになって長く、昔から素行が悪かったのもあって修羅場も大きいものから小さいものまでさまざま経験している。しかしそんな彼女にとっても今回のことはありえないことであった。
そもそも2~30人が常駐している拠点に一人で乗り込むなど狂気の沙汰である。普通なら自分たちが出るまでもなく処理されているはずである。しかし気付くのが遅れたとはいえすでに半数近くがやられてる現状であるこちらにも余裕はない。自分も含め周りの人間も必死で連携を取って仕留めようとしている。
しかし相手はそんな自分たちをあざ笑うかのように、自分たちの間をすり抜けながら部下を次々と流れるように切り伏せていく。
気が付くと残りは自分をふくめ5人しか残っていなかった。




