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22.ボッチPK冒険者時代を振り返る20

聖騎士団長であるケイオスはこの展開に困惑していた。この状況は全く想定していなかったからである。

 今回の彼の仕事はいつもと変わらないものであるはずだった。いつものように自分たちの所属する騎士団に損害を与えた、人間を粛正する。相手は大体において罪科職であるキラーになっていて、ステータスも低く、さらに武器も防具もろくなものが装備できないはずで、とらえられれば良し、最悪でも殺すことは問題なくできるはずであった。そのあとは、相手は罪科職であるキラーであり、ありていに言えば犯罪者であるので周りにはどうとでも言い訳が立つ。

 それに加えて後始末はライアン教とそれを国教としているアルバンス帝国がしてくれる。だから彼らは布陣が完成した時点でもう仕事が終わった気でいた。しかしそれが根底から覆される事態になって、浮足立っていた。

「全員戦闘に加われ!!必ずこの場で仕留める!!」

ケイオスは大声で叫ぶ。

 しかしこけおどしであるとはいえ、影人間が視界を遮る状況で、しかも2人がすでに仕留められている状況では、混乱を助長させる結果にしかならなかった。

 しかしその混乱した状況でもケイオスは、シグマがこの部隊で唯一の回復役で神眼持ちの人間である団員であるハルトに攻撃を加えようとしているところを見つける。

「ハルト!後ろだ!」

彼は叫びながらを唱えて、ウインドアローを放つ。その魔法はシグマによけられるが、彼が後ろに下がり距離を取ったことで時間を稼げたと思った。しかし彼が放ったその魔法はシグマの奥にいた団員の腕に当たり、彼の腕を切り落としてしまう。

「しまった!!」

思わず彼は叫んでしまった。

このような乱戦で混乱している状況で、こちらのほうが圧倒的に人数が多い状況で飛び道具を使うことは同士討ちの危険がとても大きい。とっさとはいえ魔法を放つべきではなかったのだ。

 そして腕を落とされることになった団員に気を取られているうちに、シグマを見失ってしまう。

「ちぃっ!どこに行った」

 そういいながら辺りを見回す。そしてとりあえず動こうと駆けだそうとした瞬間に違和感に気付いた。いつの間にか剣を持っていた右手がなかったのである。その事実に気を取られた瞬間に彼の胸から剣が生える。シグマがいつの間にか後ろに回り、彼の心臓に剣を突き立てていたのである。

 シグマの一番の狙いは、最初からケイオスであった。彼がこの部隊で一番上の存在で、一番ステータスが高く、統率力もあるので、今のステータスが低くなっている状況では、彼が生きている状況では逃げるのは難しいし、振り切るのも無理なように思えた。

 なので彼が動揺してこちらへの注意がそれた瞬間にスキル(縮地)で一気に近づきそのままの勢いで彼の右腕を切り落とし、そのまま後ろに回りこみ、後ろから彼の心臓に剣を突き立てたのである。ケイオスはそのまま何もできず、倒れて絶命した。

 師団長であるケイオスを仕留めた後、シグマはそのまま腕を切り落とされた団員を治癒しようとしていたハルトと呼ばれていた団員の後ろに回り、後ろから剣を突き立てて仕留める。

 このハルトと呼ばれていた団員は、団長であるケイオスの次に厄介な存在である。

 回復でほかの団員を回復されるのも厄介だし、(神眼)で得た自分のスキル情報をほかの仲間に共有されてもまずいことになる。

 この世界ではスキルを持てる数が限られる。なので自分の持つスキルを知られることは、自身を危険にさらしてしまうことになると、今までの苦い経験から痛感していた。

 複合スキルを含めたスキルの総数は膨大な数ですべてを正確に知っている人間はまずいない。

 しかし持っているスキルの名前などから推測は容易であり、もてるスキルが少ない分、ごまかしがきかない。だから冒険者は基本自分の持つスキルをすべて明かすことはしないし、知られることを極端に嫌う、ついている職業が分かるだけでも大きなアドバンテージになるからだ。

 そのため鑑定スキルの最高峰のスキルである(神眼)というの使いどころを大幅に制限されているのである。そしてこのような場合では、できれば一番に仕留めておきたい存在になる。

 そして厄介な逃走を妨害する障害を排除できたシグマは、仕留めた団員の持っていた武器などをアイテムボックスにしまい、混乱に乗じて、近くのロッツの森に逃げ込む。そして冒頭の場面につながるのである。

 残された団員は、しつこく追っていたが森の奥深くだと、ただでさえ相手のほうが戦闘では上手なので、連携が取れず各子撃破されてしまう可能性が高く、全滅する可能性が高くなっていた。

 なので本部に戻り報告をすることを優先してその場を後にする。

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