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19.ボッチPK冒険者時代を振り返る17

 馬車に揺られること4日目の昼頃だったと思う。直線距離だともう少し早いのだが、直線だと川幅が広くなっていて道も悪くなっていて進めなくなっていて、王都マイルズの北東にあるロッツの森沿いを通っていくルートになる。急いで王都マイルズに戻りたかったが、急いで移動できるものはアイテムボックスを探せばありそうな気がしたが、この世界がどのくらいゲームと同じかわからないので正直どんな影響が出るか未知数だったので、自重していた。

 うまくいけば今日中に王都の近くに到着できるかというところで、王都のほうからこちらに向かってくる集団があらわれた。10人ほどの集団でみんな青い鎧を着ていて、明らかにライアン教の聖騎士の集団だ。

 しかも先頭の3人は前に戦った団長のクルドより装飾と防具の質が良くなっており、明らかに上の立場だということが分かる。対応がとても速いことに驚かされたが顔などの情報は王都から来たのなら判断がつかないだろうし問題ないだろうとこの時は思っていた。

 そして3人の先頭にいた一番装飾が豪華な騎士が馬車の御者に呼び掛けてきた。

「私はライアン教聖騎士団第5師団団長のケイオスである。いま聖騎士団員を殺害した凶悪犯を追っている。中の人物を確認させてくれ。」

 御者は頷いて馬車を止め、中に乗っている俺たちに呼び掛けた。

「すみませんが、聖騎士団が中の人たちを確認させてくれと言っているので、一回降りてもらえますか?」

 そう促されて俺たちはおりて一列に並ぶ。だが俺を探しているなら、顔もわかっていないはずである確認しようがないはずだが、、、。

 「じゃあ頼む。」

 団長のケイオスに促されて、一人の男が前に出てくる。

 俺はその時しまったと思ったが、もう遅かった。男はスキルを発動して俺を指さして

「いました。彼です。」

と告げた。

 この男の持つスキルは(神眼)といって、1000人に一人の確立の超レアスキルである。このスキルは全ステータスがマイナス10パーセントされ、使用にも多大な魔力を必要とするためこれを持っている人はこれを使うだけの人になりがちだがその分強力である。

 この(神眼)は(鑑定)の上位スキルであらゆる妨害、偽装を無効化して正確に相手のスキルが見えるものである。

 しかしこのスキルは強力だがそれゆえに使用できる場所が限られるものなのだ。勝手に人のステータスなどのパーソナル情報を見るのは当然違法だし、失礼にあたる。王族や貴族なら当然のようによっぽどの理由がない限り死罪だし、一般人でも許可なくやれば大きな諍いになる。だからこの能力は魔獣との戦闘中やギルドの身元確認時や王城の入場時など使いどころが厳しく制限されるものである。

 だからいくら緊急時とはいえこんなところで使っていいものではないのだ。しかしそんなことはお構いなしに剣を抜き戦闘態勢に入っている。ほかの乗客は蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、聖騎士団に囲まれる形になってしまった。

 そして聖騎士団団長のケイオスは

「討伐は俺とギリーとバーティスで行う!他は散開し対象を逃がさないようにしろ!」

「ハッ!」

と返事をして、ほかの騎士団員が距離を取り、散開して動向を見つめている。

 そして騎士団長と副団長らしき二人は少しづつ間合いを詰めてくる。

 俺は戦闘は避けられないと諦めて、アイテムボックスから赤い刀身70センチくらいの刀を出す。新月刀は短刀だが、忍者職専用装備なので装備できないのだ。

 血染めの刀というキラー職専用の装備で人を殺すほど切れ味が増すある意味呪われた刀である。だがキラー職が使える装備は本当に少ないので四の五の言っていられないのだ。

 彼らの行動と部下たちへの指示状況から、彼らのこういう事態への対応力の高さがうかがえるが、こちらもこんなことは嫌というほど経験している。

 唯一の懸念はこちらの職がステ補正の低いキラーであることと、相手の団長が騎士最上職のパラディンであることである。ステ補正の差は大人と子供くらいあると考えていい。ほかの二人も上級職の聖騎士で、前に戦った二人より明らかに強そうだ。

 レベルはさすがにこちらが上だろうがこの状況でスキルとレベル差で乗り切れるだろうか、、、。

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