15.ボッチPK冒険者時代を振り返る13
免罪符というのは<人魔大戦>ではそれほど関わりがあるわけではないが、この世界の世界を語るうえで重要なもので、それを説明するには職業と神のかかわりについて詳しく説明する必要が出てくるので説明したいと思う。
この世界の最高神はパルティアという女神でこの世界のあらゆる理とルールをつかさどりこの世界のバランスを保つ仕事をしている。この女神はすでに実態を失っていて、ライル王国の南西にある8000メートル級の山々が連なるアトラス山脈の頂上にあるパルティア神殿から巫女に神託を伝えてこの世界とかかわりを持っている。
このように書くとものすごい神様という感じなのだが、<人魔大戦>では運営のことであった。
運営からのお知らせとかだと味気ないからと世界観に違和感がなく、プレイヤーがあまり現実感を感じないようにという配慮から生まれた神であった。なので不具合とかバグとか不満があるとこの神様への罵詈雑言があふれるという現象がたびたび起こり、神様からの謝罪がお告げというお知らせから届くという珍現象が起こっていた。
話がそれてしまったが普通の職はこの女神から賜るというのが<人魔大戦>の設定で、ゲームのプレイヤーは例外なく職業についている。これはゲームの始まりがプレイヤーが冒険者になるところから始まるので、最初の段階で選ぶことになるからだ。そしてプレイヤー作成の段階でスキル2つとステータスがランダムで表示されるのから気に入ったのを選ぶという<〇ィザードリィ>のような感じで根気強く作成することになる。
スキルは作成の時に二つ、職業が最初は一つだが条件を満たすことで上の職業につくごとにひとつづつ増えていき、最上職で3つ、固有職で4つになる。そして超レアアイテムのスキルの巻物を使って覚えられるのが一つ、そしてレベルが99を超えた時に得られるスキルが一つといった感じで。もっともスキルを持っている人で8つになる。
だが最後の二つはまず持っている人はいない。スキルの巻物はそもそも手にしたという人がいなく、まだ実装されてないというのがプレイヤーたちの意見だ。そして俺がやっていた時点での<人魔大戦>の最高レベルのプレイヤーはレベル108で限界突破しているプレイヤーは30人くらいしかいなかったはずである。
スキルは大体のプレイヤーが4~5である。そしてこれを補助するのがサブスキルである。
この2つの違いは、スキルは専用の技と魔法のしようとステアップの恩恵、サブスキルは行動により得られてそのあとも行動によって上がっていく特定の行動を補助するもので、詠唱短縮や気配察知などがある。
こんな感じで様々な恩恵がある職業だがこの世界では大半の人間は職についていない。これはなぜかというと下級の職にも必要な能力値があり、それを下回ると技の反動に耐えられなかったり、魔力枯渇ですぐに死んでしまうことになるからである。
そのため必要能力に届かないものには職に就けないようになっている。一般人はスキル二つとサブスキルがあればそこまで困ることはないようである。
そしてもともとはこの一般人を守るために、罪科職であるキラーなどが作られたのである。
職に就けるだけですでにある差が最下級職でもそこそこの恩恵があるためさらに広がってしまう。そのため一般人がその力で理不尽な仕打ちを受けることがないように作られた。
そのため<人魔大戦>でもPK職であるキラーのデメリットはすさまじいものがあった。
まずステアップの恩恵が低い。ほかの下級職が平均で1.3倍であるのに対しキラーだと平均で1.1倍となる。これはレベルが上がるほどきつくなっていく。
次に死んだときのリスポーン先が”ハルカトナツ監獄”というどこかで聞いたことがあるような監獄に飛ばされ実質のキャラロストになってしまう。その死因はプレイヤーにやられた時だけでなく、モンスターや罠などでも適用されるため気が抜けなくなる。
そして次にまあ当たり前のことではあるが冒険者として活動できなくなる。確認の段階ではじかれ守衛を呼ばれる。
あと厳戒態勢になっている町などにも入れなくなる。普通の町でも守衛に追いかけられることもある。捕まるというかやられれば、さっき述べたことになる、、、。
上級職になれればだいぶ戦闘に関しては変わってくるがそれも大変な道のりである。
罪科職であるキラーから戻るためには教会に多大な寄付をして解いてもらうしかなく、しかも殺した人数によって倍々に増えていく。それは決して安くない、普通の冒険者の一年くらいの稼ぎを持っていかれるのだ。
そういった理由から、罪科職であるキラーになる人間はまずいない。ゲームでもこの世界でも奴隷落ちしてでも避けようとするのが普通である。




