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144,橘 悠人の過去(狂氷の射手クルーエル=ディーナ)

 忘れられた都市の中央広場のど真ん中で狂氷の射手クルーエル=ディーナとの戦いが始まった。

 彼女は腰まで届くくらいの長い髪で、その髪は暗い青色で毛先が赤みがかっていて青から赤にグラデーションのように変わっていく様は見ほれるほどに美しい。

 顔の方も気切れ長の目に穏やかな感じを思わせる眉で、全体的に涼やかな美人を思わせる。

 対して服装の方はというと茶色系のウェスタンファッションといった出で立ちで、頭に狙ったようなカウボーイハットである。そしてさらに二丁拳銃を使うという説明だけで聞くと顔立ちと服装にアンバランスな感じがするが、不思議と落ち着いた感じにまとまっている。

 容姿は抜群なのだが、このキャラは俺にとってこのゲームで最初のトラウマを植え付けた憎むべき相手である。まあ9割がた俺が悪いのだが。

 このキャラは巷では”ソロ殺しのクルーエル”として有名なのである。そしてそんなことをゲーム内の数少ないフレンドから聞いた俺は、詳細もほとんど聞かずに倒してやろうと心に決めたのだった。そしてこの判断が間違いだった。

 このキャラは二丁拳銃を持ってはいるが弾を打ち出してくるのは片方だけで、もう片方は銃口から淡い青色のビームサーベルのような剣が出てくる。

 本来ならどちらの銃も剣と銃弾どちらでも出せる仕様となっているような気がするが、この戦闘では片方づつしか使ってこない。

 そしてこの銃弾が厄介なのだ。当たると一定量MPを吸われてその場所に氷の花ができる。その氷の花は行動を阻害してきてしかも少量ダメージを継続的に与えてくる。一定時間が過ぎるとその氷は砕け散ってなくなるが、そうなると相手は次弾を放てるようになっていて当然のように撃ってくる、その繰り返しである。その氷の花が咲いている間は銃での攻撃は来ないが、代わりに銃口から出てくる青いビームサーベルもどきで攻撃してくる。

 やってくることはこれだけですごく単純なのだが、ソロだとこれがものすごくキツイ。

 このゲームではゲーム性から見てから躱すのは無理なほど早い攻撃は予備動作が多く、予備動作が少ないかもしくはない場合は見て躱せるほどの速度の攻撃になるのが基本である。

 しかしこいつの場合、早すぎる銃弾の攻撃の予備動作が少なくて銃弾の攻撃をかわすのが困難になっている。そのうえ当たるまではそこそこの頻度で連射してくるのだ。

 そのうえ氷の花の妨害性能は素晴らしく厄介でこちらはほとんど動けず相手の攻撃を一方的に食らってしまうことになる。

 ソロでない場合は話は簡単である。一人がその氷の花を受ければその間は相手はこの弾を打てなくなるので、その間に残ったメンバーが近接攻撃などを仕掛けていけば、さほど苦労せずに撃破することができる。

 

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