140,橘 悠人の過去(チュートリアル説明)
「武器や防具は手に入れたものを決まった素材を手に入れて強化していくのが、このゲームでの基本だ。その時の強化段階の数はその武器や防具のレアリティで決まってしまうから使っていくならできるだけレアリティの高いものにした方がいいよ。新しい武器や防具を手に入れた時もそのあたりのことを意識して使うようにしていけば間違いも早々は起こらないと思うよ。」
「あと武器や防具の強化やアイテムの作成、調合、料理などの一般的に生産職と呼ばれるような職はないが、サブスキルでそういった関連のスキルが手に入るからそういった生産職中心のゲームプレイもできるようになっているけど、このゲームでは戦闘関係に重点を置いているからそういった生産職でもある程度は戦闘が必要にはなってくるよ。」
そんな感じで戦闘以外のシステムについても説明してくれた。しかしこういったMMORPGではあえてあいまいにしている部分も多く、そういったものの発見もこういったゲームの醍醐味であるので、こういったチュートリアルみたいな説明もあえて必要最低限にされている。
そんな感じでチュートリアル先生のクレアの案内は終わった。こういったチュートリアルしている人は何人かいて、主にβ版から参加している人でありそういったことも混みで参加しているのかもしれない。
そして解散の時にクレアに呼び止められた。
「シグマ君だったね。ちょっといい?」
「えっと、はい。」
そういってそこから少し離れた建物の陰で話をした。
「ちょっと、動きが気になってね。シグマ君はこういったゲームはあまりしたことない感じかな?」
「えっと………。そうですねMMORPGは初めてですね。」
「そうかー………………。いや、動きがちぐはぐな感じが気になったから少し話しておこうかなと思ったんだけど。」
「動きがちぐはぐというのはどういうところですか?」
「君は今までアクションゲームばっかりやってきたか、アクションゲームしかやったことがないかのどちらかじゃないかな?敵との距離の取り方や立ち回りはものすごくスムーズで初めてとは思えないほどなんだけど、周りがあまりにも見えていないし他の人との連携ができていないからその落差でちぐはぐな感じがしたんだ。」
周りをあまり見ていないのは自覚があったが、連携ができていないというのはどういうことだろうか?みんな思い思いに周りのゾンビをかたずけながらボスに攻撃が通るチャンスにそれぞれ攻撃していただけだからそもそも連携なんて関係がないような気がする。
そんな困惑した感情が伝わったのだろうかクレアが続けた。
「アハハっ。困惑しているようだね。そういうのは往々にして自分ではなかなか気が付けないものだしね。わかりやすい例で言うとさっきの戦士のプレイヤーとぶつかったときだね。君には運悪く技の効果範囲が分からなかったからぶつかったという認識だったんじゃないかな?」
「そう………………。ですね。」
「でもね、実際は私たちは固まっていて、私が周りのゾンビを抑えているうちに魔法使いの二人と戦士のプレイヤーが準備をして、魔法使いがタイミングを見計らって範囲魔法でボスの周りのゾンビをまとめて倒して、そこからできたボスまでの道を通って戦士がスキルによって能力を上げた身体能力で、必殺の一撃をボスに叩き込んでボスを倒す算段だったんだ。」




