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133、橘 悠人の過去(洞窟へ)

 「さて、おおかた隊列や作戦も決まったことだし突入しようか。」

 職業やスキルからそれぞれの立ち回りが決まったので、クレアの言葉でみんな集まり洞窟に入っていく。

 前に説明したかもしれないが、索敵範囲が、30キロというのは外のフィールドの時だけだ。というかそこまで広い範囲で見るのは高速で移動中の時だけである。そういう場合は戦闘をできるだけ避けたい場合が多いので、できるだけ大きく見て魔獣があまりいないルートを考えながら進むのだ。

 普通に移動するときは一キロ範囲、森など多くの敵が潜んでいそうな場所は300メートル範囲と状況によって使い分けるのが基本である。

 そして洞窟などのダンジョンでは索敵範囲が最大でも30メートルに固定されてしまう。ゲーム的な緊張感を保つための措置だと思われるが、一応説明としては瘴気と濁ったマナに阻まれて索敵範囲が狭くなってしまうということらしい。だが感知能力が高ければ索敵範囲の外に敵がいる場合でも何か敵がいそうな雰囲気がそれっぽく表示されるので対応の幅が増える。そのため感知能力に長けた斥候職の仲間の存在が重要になってくる。

 そういうわけで、この中で一番感知能力などが高い(クレアを除いて)俺が戦闘をいくことになった。

 「あっ、ちなみにこの洞窟には罠の類はないよ。この中には罠解除ができる盗賊がいないからあんまり関係ないけどね。」

 「罠は盗賊しか見つけられないし解除できないんですか?」

 俺は罠関係のことはよく知らなかったので聞いてみた。

 「盗賊職なら最初からある程度は分かるようになっているらしい。床の色が違うとか、壁にも何かキラキラしたエフェクトがあったりしてそういったものが目印になっているらしい。だがそれ以外の職業にはそういったものはないので、罠にかかるか罠を解除しているところを観察したりすることで経験を積むしかないね。罠解除も似たようなもので経験を積めばどんな職業でもできるようになるが、盗賊職と遜色ないくらいまで行くのは無理だから。だから罠や斥候は自分達ではせずに、盗賊職の人間を仲間にしてからやってもらうようにして、決して自分たちだけで何とかしようとしないこと。いいね!」

 いや、まあ死んでも拠点設定したところからリスポーンするだけなんだけどと思ったが、パーティで行動している前提だとそれは迷惑な行動になるからまずいか。どうにもソロで行動するような自分勝手な思考になっているようだ。これは他にもプレイヤーがいることをしっかり頭に入れて行動しないとと自分を戒める。

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