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127,橘 悠人の過去(人魔大戦発売まで)

そしてその2年後、満を持してこの<人魔大戦>が発売されることになった。

 前作製作中にも時代に乗り遅れている感をひしひしと感じていたパルティアは、<聖王国物語2>の制作と並行して、人数をさらに増やしもう一つのチームを作り次の作品の制作を開始していた。

 そして、ほかのゲーム会社の作品と差別化をはかるためにパルティアがこだわったのはリアルさとファンタジーの融合であった。

 それまで使っていた基本的な人の3D動作モデルをすべて一新して、改めて人の動きつまり筋肉の動きから骨、関節、じん帯に至るまでお互いがお互いに及ぼす影響を確認しながら、基本3Dモデルを作成して、実際に動かしながら本物の人の動きとの差異を確認してそのたびに修正と再構築を繰り返して限りなく本物の動きになるように構築していった。

 次に取り掛かったのは、いろいろな動物の3Dモデル化していくという作業である。これはゲームで出てくる敵モンスターはほぼすべてが架空のファンタジーモンスターである。もちろん手本となるモデルもない。そのため手本というか参考にできる3Dモデルを手に入れる必要があり、そのための作業である。

 前作でもモンスターの動きはリアルになるように心がけていたが、どうしても想像で補うしかない部分もたくさん出てきて、不自然に思える部分も正直たくさんあった。

 そういった部分をできるだけなくすために、いろいろな動物の3Dモデルを人の3Dモデルと同じようにして構築していき、それらを使ってモンスターの動きに不自然に思えるものが出ないように改善していったのだ。

 それ以外にもいろいろな格闘技や武道に限らず、サッカーや野球に始まり果ては闘牛やF1レースに至るまで、ほんとにそれ必要?と思えるものまでとりあえず使えそうな物はすべて使えるようにしようという勢いで、集め解析して動きや衝撃の伝わり方や威力ののせ方などを研究して、さらにうまい人と初心者の人の動きを比べて、何が違うのかどういうところに意識を向けて行動しているのかも調べて、スキルのレベルアップによる動きの変化に使うように構築していった。

 システムにしても、それまで主流だった疑似的なフルダイブ型から完全なフルダイブ型のゲームシステムに代わっていくのに対応するために、このシステム面もほぼ一からといっていいほどの大幅な変更と改良を施している。

 シナリオは今までの作品も特に批判されることはなかったが、大規模なMMORPGとして発売するにあたって、さらにシナリオ構築が求められた。

 いままでは一本道かいくつかのシナリオ分岐があったり、サブとの絡みがあったがそれでもそこまで膨大な分岐になることはなかった。しかし今回はMMORPGではそれは膨大な量になった。

 まず個人でシナリオを追いかけるようなクエスト、ギルドなどで普通に受けられるオンライン上のクエスト、運営が定期的に提供する季節ものやアピールのための期間限定のクエスト、個人で出せて、受けられるクエスト、固有職などに代表される特定の条件を満たした人だけが受けられる限定的なクエストなど大きく分けただけでもここまである。

 これらのクエストがそれぞれ混ざっても破綻しないように、膨大な量のクエストを確認しながら大筋のシナリオをくみ上げていくことになってしまったのだ。

 それらすべての分量は人員を増やしてなお過労死レベルの作業を社員に強いることになり、深刻な不具合により4か月ほど遅れたが、発売できたこと自体が奇跡といえるほどぎりぎりの状況での発売となってしまった。

 そして、俺が大学を卒業しては就職して半月が過ぎたころ発売されるに至ったのであった………………。

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