123,橘 悠人の過去(学生編)3
このゲームを始めたのは確か高校2年生の終わりだったように思う。さっき語ったような悩みをいだきだした時期である。
そんなときに、友達にものすごくお勧めされたので暇つぶしに少しやってみようかと思ってやり始めたのだが、終始圧倒された。
この<聖王国物語>というゲームは、王道な一本道RPGで普通にクリアするだけなら25~30時間あればクリアできるようなボリュームで、昨今のゲームの出来を考えるといささか物足りない印象を受ける。
NPCの行動もパターンがあまりなく、他にもこまごましたところに粗が目立つ出来ではあるが、そんなことが気にならないくらいはまってしまったのは戦闘である。
このゲームの戦闘関連は作りがとてもよく考えられていて、すごかったのだ。
まず、モンスターのつくりと動きがリアルで臨場感があるのだ。動きがとても自然で攻撃、防御や回避反撃に至るまで違和感なく滑らかに動くので本当に目の前にいるような感覚に陥るほどである。
次にモンスターの発生がある程度ではあるが、納得できるというものである。これは一部のレイスなどの幽霊系のモンスターを除いて、大体のモンスターは生息域が決まっていて、ある程度はそのモンスターの生態が予想できるようになっているのである。
そのほかにも、戦闘中に他のモンスターが音などで引き寄せられて連戦を強いられてしまうとか、イベント中にも乱入騒動が起きたりとか、野営の概念がある本作では、それに準じたイベントなどがたくさんあり、常に気の抜けないものになっているのだ。
そしてこちらのスキルや魔法も実用的で派手なものが多いが、同時に隙ができやすいものも多く考えなしに行動してしまうと手痛い反撃を受けることも少なくない。
こういった隙をなくすために連携が重要になってくるのだが、このゲームのパーティーメンバーのNPCは優秀でうまく隙をつぶすような動きをしてくれるが、それでも熟練者は自分でタイミングを計って指示するので、極めると本当に流れるような連携が絶え間なく続いていく。
アイテム一つとってもそれぞれ効果が発動するまでのタイムラグ、効果、どのように効果が表れだすかなど千差万別である。
これは魔法についても同様で、プレイヤーは常に状況によって、どういう効果を狙ってどのタイミングで使用して、そのあとの行動にどう続けるかの判断を問われることなる。
こういったものは最初のころは煩わしく感じるものだが、慣れてくるとそれが癖になって、常に先の展開を予想して戦うようになってくる。そうなってくると戦闘がどんどん楽しくなってくる。
フィールドにもいろいろな寄り道や、隠しイベントや面白いギミックが隠されており、常にプレイヤーを飽きさせないつくりになっていた。




