113,死司天団本部へ4
そして三人はゲームを始めたのだが、上の兄二人はそこまでネットリテラシーが高くなく、本名でもよくね?と名前を考えるのをめんどくさがった二人は,結局そのまま本名を入力してしまったのだ。
しかし、その名前は既に使われており、NGが出てしまったのだ。
それでも、自分になじみのない名前を使うのを嫌がった二人は、後ろにファミリーネームっぽいものをつけて差別化を図ったのだ。その時、適当に考えられたのがパラベラムという単語である。本人たちはネットで適当に拾ってきた”銃の弾”の意味を持つ言葉としてこの言葉を入れているが、ラテン語では”戦いに備える”のような意味があるため、周りからはそういった意味で使っていると思われている。
妹の愛梨本人は、さすがに本名はまずいと思って変えていたが、いつも友達とかから呼ばれているアーリーというあだ名をそのまま使ってしまうあたり、この子も大概である。
そして三人はゲームを始めたが、三人だと味気ないとそれぞれが同じ空手部の友達や後輩などに声をかけて人を集めた結果、すぐに百人を超える大所帯になってしまった。
そのため、どうせならとそのままついでにクランを作ってしまおうと作ったのが”パラベラム団”である。
そして一番上の大護を団長、次男の兵護を副団長に据えて始動した”パラベラム団”だったが、運動部特有の、ノリと勢いでどんどん同じ空手に携わるものを中心に団員を増やしていき、三か月が過ぎるころにはなんと三千人を超えるほどまでの規模になっていた。
一気に大所帯になった”パラベラム団”だったが団長たち三人はある悩みを抱えていた。その悩みというのは、自分たちを含めてだが空手関係者が多いからか、団員のほとんどが肉弾戦至上主義つまり脳筋な職二ばっかりになりたがるとてもバランスの悪い構成だったのだ。
どのくらい偏っていたかというと、団員の八割が物理攻撃職だったと言えばそのヤバさが分かってもらえるだろう。能力の割合もだいたいの団員が8:2か7:3の圧倒的物理攻撃への偏りからもその脳筋っぷりがうかがえる。
さすがにこのバランスではクエスト攻略を含めて、クランとしての活動に支障をきたすということで、バランスのいい編成になるように、まず自分たちが物理以外の職につこうと決めたのだ。
そして長男の大護が炎術師、次男の兵護が光の魔法剣士、そして長女の愛梨がバトルシスターという職にそれぞれ就いた。
下の二人は物理入ってね? …と思うかもしれないが、彼ら自身も物理至上主義の脳筋なのでこれが最大の譲歩だったのだ。
この職業変更が功を奏したのか、物理職は相変わらず多いが、それでも純粋な物理アタッカーは全体の4割程度までには減ったので、攻略を含めてクランの運営は安定するようになった。




