106、戦闘の後で………。
戦闘が終わるころには日が暮れようとしていた。西日が少しずつ色あせて暗くなっていく。あと三十分くらいで日が沈んで夜になるだろう。日が沈む前にある程度のことはしておかなければならない。
まず野営の準備と、周辺の片付けのグループに分ける。片づけはあたりに散らばった死体を集めることである。ある程度は仕方ないが、できるだけ片づけておかないとほかの魔獣を呼び寄せてしまうことになるし、アンデット化されても問題である。
この世界では死が、身近に当たり前に存在しているのでこういう作業にももう慣れっこになってしまった。だがさすがにバラバラになったようなスプラッタ映画に出てきそうな死体はまだキツイ。
だが聖騎士の死体は着ている装備のおかげか死んではいるがそこまでひどい損傷はない。
死体に手を合わせて弔った後、装備をはがしてひとところに集めていく。装備をはぎ取るのはちょっと気が引けるが、この今のメンツの装備を見る限りなりふり構ってはいられない状況なのだろうということは想像に難くない。
それに、こいつらにはこんなことをしてもそれほど罪悪感は沸いてこない。戦闘後の状況を見れば俺が来るまでの状況もなんとなくわかるものである。
この戦闘で、獅子天団の子供たちも助け出した人たちも合わせて10人ほどが犠牲になっている。彼らは離れたところで、いくつかの小さいグループのような感じで散らばって殺されていた。
このような感じだったので、おそらく彼らの一番の目的は機密の保持のために助け出した人たちの処分を最優先に行動していたのだろう。そのためまず散りじりに散らばった者たちを各個撃破しながら、一人も逃がさないように包囲していったのだと思う。
さらに獅子天団の子供達には多くの刺し傷があることから、おそらく一対一でも圧倒できたはずなのに万全を期したのか、一人に対し複数人で襲い掛かった結果こうなったと推察できる。
敵であるとはいえ年端も行かない子供に対して複数人で襲い掛かるというのは、戦術としては正しいのかもしれないが胸糞悪くなる。さらに助け出した人も執拗に剣を突き立てられた跡があり、入念に殺されていた。そんなところも彼らの命をものすごく軽く見ていて、馬鹿にしているような気すら気がしてくる。
彼ら聖騎士の死体は、そんな感じでひとところに集めて燃やして埋めてしまうことにする。こういった作業も元の世界では半日以上はかかっただろうが、この世界ではステータスの恩恵と魔法の力でかなり短縮できる。
しかしそれでもその作業が終わるころには、とっくに日が暮れてしまっていた。




