ウェールの町の天気のお話
なんとなく書いてみたものを試しに投稿しただけのお話です。
2024/11/15追記:一部過加筆修正しました。
三千世界―数多く存在する様々な世界。その中に存在するとある世界のとある国のとある町。
その町では天気が『存在』していた。その町の名前は『ウェール』。その町で繰り広げられる『天気』たちのお話。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ある雨の日のウェール。町の一角にある大きな屋敷では青髪短髪で青目の15歳くらいの女の子が屋敷の中を走っている。
「おーい!スノウ?どこだー?」
「うるさいよ、レイン」
彼女の声に白髪長髪で赤と青の目の少女が答えた。青髪の少女と同じくらいの年齢に見える。彼女は雪と言うらしい。そして、青髪の少女が雨というのだろう。
「雨が降ってるからだるいんだよ。それに今は夏だろ?私はお役御免のばず……そういや、サンはどうした?」
「夏でも雨が降ることはあるからね……じゃなくて、今サンが行方不明なんだよ。どこにいるか知らない?」
「また迷子か?方向音痴にもほどがある……クラドに聞けばいいじゃん。自室にでもいるんじゃない?」
「そっか!そうだね!よし、行くぞ……☆」
「は?ちょっ、ま……おい!」
レインは嫌がるスノウを問答無用で引きずりながら屋敷のなかを歩いていく。『雲』と書かれたプレートがかかっている部屋の前に着くと、スノウを掴んでいる方の手とは別の手で部屋のドアを叩く。
「おーい!クラド!いるんだろ~?出てこーい!」
「レインか。どうした~?つーか、うるせぇから扉バンバン叩くな」
レインが扉を叩いていると、灰色の髪の黒目の少年が出てきた。レインやスノウと同じくらいの歳に見える。彼が雲なんだろう。
引きずられた状態のままスノウはクラドに話しかける。
「……サンどこにいるか知らない?」
「うお!ビビった……サンなら俺の部屋にいるぞ?すっごい沈んでる」
「最近は雨続きだから?」
「そうですけどなにか?」
スノウとクラドの話に割って入ったのは赤目のオレンジの髪の少年だ。クラドやスノウ、レインと同じくらいの歳に見える彼はとても不貞腐れた顔をしている。彼が晴なのだろう。
不貞腐れたままのサンを視界に入れたレインはわざとらしく話始める。
「明日からしばらく晴れ続きだからよろしく頼もうかと思ったんだけど……この状態じゃあ無理そうだね」
「……!」
「最近雨ばっかだったし、明日あたりから綺麗な星座や流星群が見えるからお願いしようと思ったんだけどな。サンが無理そうならクラドに明日以降の天気お願いしよう!クラドはそれでいい?」
「んぇ?別にいいぜ?」
「待って!!やる!俺ちゃんとやる!元気にやるから!」
「……チョロすぎ」
「何か言った、スノウ?」
「いや、何も言ってない」
彼、彼女らはウェールの町の天気に関りがある。スノウは雪をレインは雨を降らせ、クラドは曇りにし、サンは晴れにする。それが彼、彼女らの仕事であり、お役目であった。彼、彼女らは人間だが、天気に関わる妖精だ。人間だから寿命が来る。ウェールの町ではそれぞれの妖精が『憑いた』子供たちが生まれ、代替わりをしてきながらこれまでずっと天気を決めてきた。
そんな不思議な町のお話。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。