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25.恋愛初心者共 クラレイ


この店は、昔から良く来る店だ。


幼い頃から目立つ容姿をしていた為、色々と面倒事に巻き込まれたものだ。

毒や薬に体を慣らしたものの、念の為に、と魔導具を着けようと提案したのは父親で。

その時に店に連れて来られた場所がここだ。


魔導具はある程度、凌げるものの、許容量を超えると無残に砕け散る。

何度も何度も魔導具は砕け散り、その度に買い直す為に店に足を運ぶものだから、いつの間にやら上顧客扱いになってしまった。


「大変ですね」と同情してくる店員から、それ以上の感情を感じないので重宝している。


リーリアの友人発言に、馴染の店員がこそりと耳打ちしてきた。


『先は長そうなので、頑張ってくださいね』と。


人に言われるとより虚しさを感じる。身体の中が空になったみたいで、今叩けば、すこん、と音がするのではないかと思える。

リーリアは人の気持ちを知らず、並べられた魔導具に目を向け、どれがいいかを悩み始めた。

揃いは嫌だと拒否されなかっただけマシだろうか。気が急いているのかも知れない。


なにしろ、リーリアの兄に推薦されただけで、未だリーリアとはただの友人であり、婚約者でもなんでもないからだ。


リーリアはネックレスを指さし、店員に尋ねる。


「石って違うものに変えることは出来ますか?」

「えぇ、出来ます。色見本お持ちいたします」

「あの、藍色と赤をお願いします」


思わず、肩が揺れる。

藍色は俺の、赤はリーリアの瞳の色だ。恋人や婚約者同士ならば、互いの瞳や髪の色の宝石がついたアクセサリーをつけることはある。

だが、まだ友人の状態で、密かに期待で動悸が早まる。


「リーリア、赤は俺が選んでもいい?」

「……、えぇ、一番綺麗で、私の瞳の色に似たものを選んで」


恥ずかしいのか、頬を膨らませ、唇を突き出している。

頬は仄かに赤く色付いており、つられるように、俺も体温があがる。


「今は、友人だけど。クラレイの言う通り、父様が話を持ってきたら断るつもりはないもの」


不意打ちは卑怯だと思う。


頬の内側を噛んで、にやけそうになるのを必死で我慢する。今更ではあるが、情けないところを見られたくはない。格好良い自分を見ていてほしい。

まぁ、ディナルドの方がかっこいい、とリーリアはこちらを見向きもしないが。

それでも、男の意地だ。男の意地で見栄を張る。


「……もし面倒事が起きたら、必ず俺に言う事」

「わかってるわよ。本当過保護ね?」

「過保護にもなるだろう。君ね、自分の可愛さ理解してる?」


自分でも気が付かないくらいには浮かれているらしい。

うっかり、思ったままに口に出してしまった言葉に、内心焦る。必死に顔だけは取り繕うが、リーリアの反応を見て、思わず崩れ落ちたのは不可抗力だと思う。


「か、かわい……い、とか……そんな…………」


崩れ落ちた俺にも気が付かず、頬を赤く染め、照れている姿に、思わず目をきつく閉じる。鏡を見なくても、店員に言われなくてもわかる。

物凄く顔がだらしなくなっていることくらい。


いつの間にか戻ってきていた店員が追撃で、ぼそりと『良かったですね、割と脈有りですよ』と言ってくるものだから、無意識に天を仰いだ。


この場で楽しそうなのは、店員のみ。

にこにこと笑顔で机の上に宝石の色見本を並べている。


「……気を取り直して、宝石、選びましょうか」

「……そう、だね。そうしよう」


俺とリーリアは謎に疲弊していた。


こう、もだもだした恋愛は見るの好きですが、自分で書こうとするとめちゃくちゃ難しいですね!

早くくっついてしまえってなってくっつけてしまいがちです。今作の課題、もだもだじれじれをひっぱる。

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