表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/32

恋は焦らずと言いますが(1)

 俺は、とても傷ついてたんだと思う


 とても、傷ついていた



 信じてもらえなかったことが


 気づいてもらえなかったことが


 哀しくて悲しくて


 どうにかなってしまいそうだった



 だから、愛しいと思う気持ちを


 怒りと意地に変えて踏ん張るしかなかった



 言葉しかわからない世界で


 畏怖と嫌悪の眼差しが向けられる世界で


 俺が縋れるものは



 あんたに感じた運命しかなかったから





   ◇ ◇ ◇


「そういや、シェラディアってなんだ?」


 斜め前を歩くファリスにそう訊ねると、眉間の皺が一本増えた。


「わかりきったことをわざわざ訊くな。嫌がらせか?」


「知らないから訊いてるんだ」


 俺の歩幅など無視して、さっさと進んでいたファリスの足が止まる。追いつこうとしていたぶん勢いがあったので、俺は止まり損ねて踏鞴(たたら)を踏んだ。


 半歩ほど後退し、長身の相手を見上げる。


「知らないから訊いてる」


 聞こえなかったのかと思ってもう一度言うと、ファリスは奇妙なものでも見るように目を眇めた。


「……そうか。シェラディアの原因は背約者だが、それはヤツが帝宮の地下に封印されてからだったな」


 封印。俺からすればなんと曖昧で、想像の余地溢れる言葉だろうか。


(罪人を地下に幽閉してるとか、投獄してる――って、意味じゃあないよな、やっぱ)


 おそらくは、映画や漫画の世界観で想像するべきなんだろう。魔導師がいるくらいだし。


(水晶体の中に閉じ込められてる――とか?)


 こんな状況じゃなかったら非現実的だと一蹴する考えを、俺は一応の推測として頭の隅にストックした。


 交渉が成立して以来、俺は情報を得ることに終始していた。俺の言葉は嘘を前提として受け取られるから、発言には説得力を持たせなければ意味がないのだ。


 そのためにはとにかく状況を把握して知識を増やし、少しでも有利に振る舞えるようにしておかなければならない。


 じゃないと、いざというときあっさり殺されてしまいそうで怖かった。


(味方はいない……俺自身が、俺を守らないと) 


「ファリスが教えてくれないなら、そこら辺にいる奴に適当に訊くけど?」


 俺が周囲をぐるりと見渡すと、面白いくらいに全員が視線を逸らす。


 俺が同行する理由をどう説明したのかは知らないが、ファリスと一緒にいても周囲からは人が退くだけで、これといって騒ぎにはならなかった。


 嫌悪と憎悪混じりの視線はそこかしこから感じたが、やはり俺が恐ろしいのか人物は特定できない。できたところで何ができるわけでもないが、正面から挑む気がないなら余計な敵意は見せるもんじゃないと思う。


(腰抜けめ)


 俺は中途半端な野郎が大嫌いだ。


 ちくちくした視線の他にも「聖地までの我慢だ」とか「ファリス様をナディア様が救ってくださる」とか「シェラディアの最中でなければ」とか――。


 ファリスへの同情から、俺をどうにかしてやりたいという類の声が色々と聞こえてきていた。


(俺はファリスにとり憑いた悪霊じゃねえぞ!)


 どの腰抜けを捕まえてやろうかと、睨みを利かせる。すると意外なことに、俺と目が合った若い兵士がいた。


(……ん?)


 逸らしはぐったんじゃなくて、逸らしてない。かなり遠くにいたので顔はよく見えなかったが、間違いなく俺を見ていた。なんとなく俺も興味を持って歩いていこうとしたら、ファリスに腕を掴まれる。


「俺が説明する。貴様は俺以外に興味はないんだろう?」


 いらぬ波風をたててくれるなと、暗に訴えられる。


 ファリスが答えてくれるならそれでいいので、俺は素直に手を引かれ、傍に戻った。


 再び歩き出したファリスの歩調は、心なしか遅い。俺にはぐれられては困ると気づいたらしい。


「ついでに俺のことをどうやって連中に納得させたのかも教えろよ。怒らないから」


「……シェラディアとは、イーダの月に女神ナディアの恵みを授かるために、セナルへ行くことだ」


 ナディアは女神の名前か。ということは、同列に語られていたヒュゴという言葉も、神の名だろうか。


 それにイーダ。イーダの(丶)月(丶)ってことは、素直に暦と考えていいんだろうか?


 本当は声に出して考えが合っているかを訊いてしまいたいが、さすがになんでも訊きまくるのは怪しいだろう。


 特にファリス達にとって常識すぎる言葉の意味を問うことは、不審感を煽るだけだ。


(何か、答えを確かめる方法を考えないとだな)


 背約者はナディアと関わりがあるみたいだし、ナディアと同じように、誰もが口にしてるヒュゴのことも、訊くのを避けた方がいいだろう。


 となると、無難なのはセナルという単語だろうか。「行く」ということはどこかしらの地名や場所を指す言葉だろうから、見目からして異国人である俺が知らなくても変ではない筈だ。


「セナルって?」


「皇帝領の南端、ザンナ砂漠にあるオアシスだ。ナディア様は背約者の――人間の裏切りに心を痛め、ご神体のある神殿からそちらに身を隠してしまわれた。もう百年以上、(ゆる)しと帰還を願っているが、お姿どころかそのお声すら聞いた者はいないという。こうしている間にも、泉の女神(ナディア)の不在がこの地を枯渇させていっているのだ。まるで我らを罰するかのように、凄まじい勢いで大地の砂漠化が進んでいる。このままでは、セッダは滅ぶだろう。貴様の主がしでかした罪の代償を、罪もない人々が苦しみながら支払っているのだ。同じ人間だというだけでな」


 重要なことを知ることができた気がするが、質問を間違った気がしなくもない。


 明確な怒りは背約者へのものなんだろうが、どこか哀しみを帯びていた。まるで、無力な己を責めるみたいに。


(ファリスが率いているのは、国が滅ぶのを防ぐために、女神を説得しにいく旅団なのか)


 国の存亡がかかっているとか言われても、俺としてはいまいち実感が湧かない。だが、ファリスにとっては紛れもない現実なんだろう。


 だとすれば、ファリスはとてつもない重責を担っているということになる。


(そりゃ、任務さえ無事に終えられるなら、俺が提案したゲームにも乗るか)


 素晴らしい自己犠牲の精神だとでも言うべきだろうか。


(あんたが勝手に、犠牲だと思ってるだけだけどな)


 強い決意を秘めている、凛々しい横顔に見蕩れる。


 美しく、気高い男だ。


 俺に何かできるかと訊かれれば、今は何もできないと答えるしかない。だが、信じてくれるならば、支える努力もできるのに――。


(俺が持つ知識が、役に立つかもしれないし)


 シュナのことが無性に妬ましく、羨ましい。親しげな会話に、遠慮のないやりとりは信頼の証だ。


 会話から推測するに身分に差があるようだったが、それを互いが意識していないことはあきらかだった。


(俺だって本当は厄介者じゃねーし、役に立てるのに)


 気落ちしながら、こんな殊勝なことを考えている自分がむず痒い。誰かのために何かをしたいとか、誰かが羨ましいなんて、今まで思ったことはなかった。


「貴様のことは、自らがヴィナ・ユナだと知らずにこのオアシスで暮らしていた者だと皆に言ってある。我らと出会ったことで己の正体を知り、女神にその身を委ねると決めたのだと」


「なるほど。だから一緒に連れて行く――って筋書きか。辻褄は合うが、無理はあるよなぁ。俺がそんな考えを抱くような、純真な人間に見えるか?」


「見えないだろうな。勘のいいものは何かあると思っているだろう。だが、ここでは俺の言葉は絶対だ」


「俺に手をだしたら、大事な部下の方が危ないもんな。言っておくが、反抗的な野郎は遠慮なく殺すからな。あまり面倒なことを俺にさせるなよ」


「面倒だと思うなら、貴様も煽るようなことはするな。我らは背約者に関わる者を発見したら、どんな犠牲を払ってでも殺せと教えられて育っている」


「物騒な教育してんだな」


「そうせざるを得ないほど、貴様らが危険だということだ。婚儀も兼ねたシェラディアでなかったら、俺はとっくに貴様の首を斬り落としていた。それはおそらく、最初に貴様を発見した兵士も同じだろう。むしろ、ヴィナ・ユナを前にしたというのに、婚儀への穢れを意識し、斬首を思い留まれた冷静さに俺は驚嘆している」


「……ッ」


 牽制したつもりが逆にぞくりとさせられて、俺は思わず立ち竦みそうになった。


 だがここで弱者になったら、それこそ最後に首を斬られて終わりだ。とにかく今は、時間を作らなくちゃならない。


 ファリスにとって俺がどれほど大切な存在なのか、わからせるための時間が必要だ。


(……なんで俺、こんなこと考えてんだろう)


 わけがわからないことばっかりで、むしろ笑える。


 ただ、わけがわからないまま、人生を終えるわけにはいかない。俺はいつだって、勝者でなければ気が済まない。


(ファリスは、俺のものだ。絶対、俺の――)


 改めて自分に活を入れてから、俺は教師に向けるような愛想のいい笑顔をつくって、ファリスに身を寄せた。


「あんたが俺を心から愛してくれるなら、この体を好きにしてくれて一向に構わないんだぜ?」


 声は明るく、けれど逞しい腕に縋る仕草は少しでも妖艶になるよう意識する。今回ばかりは、母親譲りの女顔に感謝すべきだろうか。


(ファリスは馬鹿じゃない。臆病になったら、俺が無力だと見抜かれる。俺には力があると、誤解させ続けないと)


「なあ、ファリス。俺のものになれよ。そうしたら、この体を抱こうが、首を刎ねようが、あんたの自由だ」


 指先で張りのいい健康的な肌を撫で上げると、ファリスの腕の筋肉が収縮して緊張したのがわかる。


「貴様のものになれば、首を刎ねてもいい、だと……?」


 鈍い男なら単なる色仕掛けと取るかもしれないが、ファリスの表情を見るかぎり、俺は俺が装いたかった悪魔を演じられたようだった。


「いいよ。だって俺は、首を落とされたくらいじゃ死なない。この容姿が好みじゃないなら、さっさと落としてくれてもいい。次はちゃんと、あんた好みの体を手に入れてきてやるよ。その場合、元の持ち主の魂を食い殺すことになるけどな」


「……馬鹿な」


 ファリスは頑なに前を見て歩いていたが、声音はあきらかに強張っていた。


 今俺を見たら、魅入られるとでも思っているんだろうか。


 だからこそ、俺はあえて腕を解放してやった。冷静に考える時間を与えるためだ。


 物騒なことを聞いてしまった以上、より徹底して俺に手を出さないよう、周囲の人間を抑えてもらわないと困る。




   ◇ ◇ ◇




 ファリス達一行は、俺が思っていたよりもずっと大規模な旅隊だった。


 本隊で三百と言っていたのは護衛の兵士の数だったらしく、その他にも武装をしていない簡素な格好をした男が二百人くらいはいる。ごく僅かだが女もいて、格好から皇女アリヤ付きの女官だろうと推測できた。


 この光景だけでも十分、映画の撮影現場かと思いたくなるような非現実さだったが、野営用の天幕が設営されていた場所を抜けると、ここは異世界なのだと認めざるを得ない、決定的な光景が広がっていた。


(なんだこいつら……。鞍がついてるってことは、騎乗するってことだよな?)


 あれだ、あれ。モア。モアの胴体と文鳥の頭部を持つ灰色の巨鳥が、騎乗用の乗り物として二百騎はいる。他にも、(らく)()の体に兎を面長にしたような頭部がついた動物もいた。


 駱駝兎はモア文鳥よりもたくさんいて、数え切れないほどだ。


 駱駝兎の近くには、多種多様な荷籠が綺麗に並んでいる。荷籠の中身は旅に必要な道具が殆どのようで、俺が初めてこの世界で見たものと同じように、水瓶が詰まれたものもあった。


 荷籠には車輪がついていたが、左右から棒が突き出ており、駱駝兎がその棒を背に担いで運ぶようだ。


(じゃあなんで車輪……ああ、ここが砂漠だから持ち上げて運んでるのか)


 地面がしっかりしてる場所では、棒を付け替えるなりして、牽引させるんだろう。


 自動車のような動力が組み込まれた車両は見当たらなかったので、科学はさほど発達していないらしい。


 そこからも更に外れると、それはもう見事な毛並みと体格を誇る、四頭の白い駱駝兎がいた。沢山いる茶色い個体と比べると、二回りほど大きい。


 そして、そいつらに守られるように、でかい輿があった。真っ白に塗られた輿は見事な金細工や布で飾られており、めちゃくちゃ綺麗だ。


 これがアリヤの乗っている輿だと、一目でわかる。


 アリヤがいるなら見たかったが、通り過ぎるまでに女官が一人中から出てきただけで、それらしき人影を見ることはできなかった。


 初めて目にする光景に夢中になりたいのを堪えながら、ファリスの後をひたすらついていくと、喧騒から随分と外れた場所に着いた。俺以外の者達への配慮なんだろうが、俺も好き好んで殺伐とした視線に晒されたいわけではないから構わない。


 それにそんなことよりも、目の前に突きつけられた現実に素直な意見を言うほうが重要だった。


「狭い」


 俺のために急遽造られたらしい輿は、大きめの籠の内装をそれらしく整えたものだった。それでも二畳あるかないかだ。俺の家の犬小屋より狭いなんて冗談じゃない。


 ましてこれから砂漠を行こうというのだ。日が傾きかけている今でもめちゃくちゃ暑いのに、こんな狭い輿に入れるわけがない。


 悪人のレッテルを貼られているので、優等生を演じても得などない。俺は遠慮なく言葉をぶつけさせてもらった。


「俺を窒息死させる気か? それとも俺に窒息死させられたいのか?」


 輿に乗るために用意された踏み台を蹴り飛ばすと、傍にいた兵士が真っ青になって竦み上がる。


「もっ、申し訳ありません。出立が迫っているため、時間が――」


「とか言ってる暇があったら、間に合わせられるだけの人数掻き集めてきてやれよ」


「はっ」


 息がかかる距離まで顔を寄せて微笑んでやると、兵士は真っ青なんだか真っ赤なんだかわからない顔色で飛び退き、駆けていく。途中すっ転んだので笑うと、今まで黙りこんでいたファリスが俺の肩を掴んだ。


 それに逆らわずに振り向くと、相変わらずの険しい表情がそこにあるわけで――。


「何だよ。言っておくが、俺はシェラディアを邪魔する気は微塵もないからな。それが面白いとも思わないし」


「ならなぜ――」


「あのな、ヴィナ・ユナだろうがなんだろうが、俺だって人間なんだけど? しかもご覧の通り、砂漠育ちでも暑い国の育ちでもないから、この環境に不慣れだ。そんな俺に、狭いうえに通気の加工もろくにされてない箱に入れだなんて、害意ありまくりだろ。ゲーム放棄と見做(みな)すぞ」


「……人間」


 意外だと言わんばかりの顔をして、ファリスが俺を見下ろす。


(あれ……。思わず言っちゃったけど、ヴィナ・ユナって人じゃない、のか?)


 もしかして、まずった?


 俺がどう誤魔化そうかと内心で焦っていると、ファリスが肩から手を離した。


「――そうか、人外の力を手に入れたというだけで、背約者とて人間であることに変わりはない。ならば、その眷属であるヴィナ・ユナも同じということか」


「力を使わなければ、な」


 複雑な感情がファリスの瞳に揺らいだ気がして、俺は思わず念を押した。人という認識を強めたことは、もしかしたら俺を不利にしたかもしれない。


 だが、背に腹はかえられない。


 ファリスに俺を認めさせることも大事だが、俺が快適に過ごすことも同じくらい大事だ。


 こんなわけのわからない世界の、しかもくそ暑い場所で病気にでもなったら、ヴィナ・ユナごっこどころじゃなくなってしまう。


(大規模な旅隊だから医療班も組織されてるだろうが、ヴィナ・ユナを騙っている俺は、間違いなく治療の対象外だろうしな)


 俺が笑えない現状を再確認している間中、ファリスも何か考えていたらしく、大きく息を吐いた。


「……わかった。善処する」


「そうしてくれ。あんたの態度以外で俺が不満に思うことがあったら、ゲームは即終了。俺はアリヤを連れていく。快適じゃない環境で遊びたいと思うほど、俺はもの好きじゃないんでね」


「俺の態度はいいのか」


「これから口説こうってのに、相手に俺を怒らせないよう常に気を張られたら、面白くないだろう?」


 そんな疲れるようなことをさせたいわけじゃない。ただ、俺を見て欲しいだけだ。見て、気づいて欲しいだけ。


 俺にファリスが必要なように、ファリスにも俺が必要なんだと――。


「それに、あんたの顰めっ面は嫌いじゃない」


 そう言った矢先、ファリスの眉間にぎゅっと皺が寄る。


 思わず笑うと、不意にファリスの瞳が揺らいだ。


 その動揺は好意的なものに思えて、俺は会話を続けようとしたが、遠くからシュナがファリスを呼んだことで空気が変わってしまった。


 さっと無表情になったファリスが俺を見たから、近くにある岩場の影にいると仕草で伝えてやる。


 俺の心遣いだというのに、ファリスは疑わしいという目つきで俺を睨んだ。


「なんだよ。仕事の邪魔はしないでやろうってのに、あんたの方が俺の傍にいたいみたいだな。ついていってやろうか?」


 傍にいたいのは監視したいからだろうが、別の意味にわざと取ってからかう。するとファリスは心底嫌そうな顔を置き土産に、無言でシュナの所に行ってしまった。


 あしらうのが下手くそな奴だ。


 ファリスの背中を見送りながら、どうしてあの男にこんなにも惹かれるのかと考える。


 まったくもって、不思議でしょうがない。


 だって俺は、あの男のことは外見と、気性は荒いが忍耐はありそうだってことくらいしかわからない。


 あれだけの美丈夫なら外見だけで惚れることもあるのかもしれないが、嫌悪と憎悪の入り交じった視線で睨まれてまで惚れてやる筋合いはない気がする。殺されそうにもなったし。ていうかそれ以前に男だし。


 運命だとあのときはすとんと受け入れてしまったが、冷静になればなるほど、ファリスを見て好きだと思えば思うほど、奇妙な気分だった。


 誰かをこんなに欲しいと思うこと自体が未知の感覚だから、落ち着かないのは仕方ないのかもしれない。だが、俺に対して恐ろしいほどの怒りを露わにしているときでも見蕩れそうになるのは、さすがにヤバいと思う。どんだけ惚れてんだって感じだ。


(困ったなぁ。もう顔が見たい)


 さっき別れたばかりなのに、阿呆なことを思うものだと自分に呆れる。


 心身の反応に、頭が追いついてない感じだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ