66:聖パトリックに『みどり』を捧ぐ/67:緑色の友達
本日は2本!
ジャンル:純文学〔文芸〕
作者:石河 翠
あらすじ
1話完結型の短編集です。
特定の文字を入れないリポグラムやパングラムなど、制限付きの作品を書いています。
基本的に掌編なので、隙間時間にどうぞ。
第1話から第18話までのルール。
タイトルでカギカッコに入った文字を抜くこと。
濁音、半濁音、促音がある場合にはそれも使用不可。
例えば、第8話の場合には「つ」「て」「づ」「で」「っ」が使用不可。
第19話から第22話まで、特定の部首を含む漢字は使用不可。
第29話は、「紅の秋」企画参加作品です。
第31話は、「初恋」企画参加作品です。
第32話は、ヤオヨロズ企画参加作品です。
第42話は、「クーデレツンジレドンキュン」企画参加作品です。
第44話は、「インド人とウニ企画」参加作品です。
第46話は、「クリスマスに死体ごっこ」企画参加作品です。
※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
キーワード
リポグラム 練習帳 ルビ多用注意 黄昏時コンテスト 実験小説 文字遊び 春センチメンタル企画 告白フェスタ 言葉遊び 死体ごっこ企画 「紅の秋」企画 「初恋」企画 ヤオヨロズ企画 クーデレツンジレドン インド人とウニ企画
掲載日
2018年 01月29日 14時41分
最終投稿日
2019年 12月09日 15時21分
文字数
40,235文字(該当部分は1500字程度)
URL:
https://ncode.syosetu.com/n7102en/35/
ジャンル:童話〔その他〕
作者:石河 翠
あらすじ
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。
※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
キーワード
異類婚姻譚 ゴブリンキス大賞 初恋 ハッピーエンド ほのぼの 純愛
掲載日
2017年 09月21日 07時03分
文字数
5,025文字
URL
https://ncode.syosetu.com/n7437eg/
感想:
今日、3/17が何の日か知っているだろうか。
サイバーパンクの旗手、ウィリアム・ギブスンの誕生日である。おめでとうございます。
……いや、そうじゃない。聖パトリックデーという、アイルランドの祝日である。
聖パトリックはキリスト教をアイルランドに伝えたアイルランドの守護聖人であり、今日はその命日であるという。
この日、アイルランドではアイルランドの国花である三つ葉のクローバー(シャムロック)を身につけたり、全身や建物や食べ物やビールや川を緑に染めて祝うという見た目に楽しい祭りである。
拙作、『なまこ×どりる』はファンタジーであるが遠未来地球を舞台とし、そのヒロインはアイルランドの出身であり作中でも聖パトリックデーをモチーフとした日がある。
つまりわたし、このイベント大好きである。
そしてわたしの友にもう一人このイベント好きな人がいる。
石河翠さん、名前にみどりと入っているだけのことはある。
以前このエッセイの第9回でも紹介した『あい』を失った女において、聖パトリックデーネタのリポグラム短編を、去年わたしがオーダーしたのだ。それが今回紹介する、「聖パトリックに『みどり』を捧ぐ」である。
今回のリポグラム、『み、と、り』の3文字に加え、『は』も使えない。
聖『パ』取りックだから『は』も使えないよねという駄洒落である。ひどい。
ただこの『は』を使えないのが本当に上手い。
母と合わない娘が主人公の話なのだが、母と言う言葉を使えないからこその彼女が距離感を際立たせていて素晴らしい。
また母のいるアイルランドにやってきた主人公、そこで聖パトリックデーの祭りに出掛けるのだが、そこでの主人公の心情が極めて良く描かれている。
ところでこの作品を読んでいて、久保田早紀の『異邦人』という曲の2番、『市場へ行く……』以降が頭の中でかかる。
わたしにとって日本人の歌う曲の中では確実に五指に入る好きな曲なのだが、その旨感想に書いてみたところ、
『久保田早紀の異邦人、バレてる。校正作業中に脳内でエンドレスリピートしていたのがバレている。さすがはなまこさんです。』
という返事であった。
情景が目に浮かび、脳裏に曲が流れるような文章って本当に凄いと思う。この作品読むとき、できればかけてみて欲しい。
さて、今回はもう1つだ。
いや、『あい』を失った女は前回も紹介してるのでね。読んでる読者の方も多いだろうと。
緑色の友達。参加している企画名を見れば明らかだがゴブリンである。
主人公の女の子が森に潜み住むゴブリンとの交流を通じ……。
という話だが、この考えさせる童話というか、ビターエンド寄りな童話を書かせたらみどりさんの右に出るのはいない。
いや、エンディングそのものはハッピーエンドなんだろうけどね。異類婚姻譚だし。
ただそこに至る流れは明らかにビターなものを感じさせる。人間の倫理観や業というものを描き出すのだが、道徳臭くない説教染みてないのがやはりこの文章の優れたところであると言えよう。
次は22日に。
ξ゜⊿゜)ξ ノ ⌒◇ <えいっ、ころころ。
ヌッサパホイ!
はっぴーぱとりっくでー!




