32:線香花火、桔梗の花咲く頃。
ジャンル:純文学〔文芸〕
作者:秋の桜子
あらすじ
遥彼方さま主催「夏祭りと君」企画参加作品です。
お前と七月七夕の夜に、夏祭りと洒落こんだ、二人の思い出。
キーワード
遙彼方様主催 夏祭りと君企画 参加作品 和風 二人の思い出
掲載日
2019年 07月06日 08時03分
文字数
3,334文字
URL
https://ncode.syosetu.com/n5427fp/
感想
わたしの勝手な印象であるが、秋の桜子さんは芸術家的というか感性の人である。恐らくはこのエッセイの読者からわたしは論理で考える人と思われている気がするが、それと逆である。
彼女の文章は、悪い言い方をしてしまうと文法的でなく、語順がでたらめで話が跳ぶのだ。
それはもちろん、論文としては不適だ。だが、その文章の跳び方、擬音も感情も情景も記号もひっくるめて文章が構築されるのは、楽しい。そして詩的である。
文章を書いていても、わたしとは方向性が違う。ただし、それは優劣の問題ではない。
ダンスに例えれば、わたしがコンテンポラリーで文章に重さを置くのに対して、彼女はクラシックバレエであり重力に囚われないふわふわした動きで文を置いていくのである。
秋の桜子さんの秀逸な表現として料理がある。
出だしの文章を引用させて頂くことをお許し頂きたい。
キャベツを刻む、ザクザクと、もやしを袋から半分出して、洗いザルに上げておく。ピーマンが少し、と玉ねぎも、この間の残りがあるから、それも刻む。
どうだろうか?文法的にはヘンだし読点も多すぎるな?
本来なら、
ザクザクとキャベツを刻む。もやしを袋から半分出して洗いザルに上げておく。この間の残りがあるから、ピーマンを少しと玉ねぎも刻む。
が正しい。だが、正しい文には何の価値もない。
上の文の読点や語順は、主人公が料理を作る思考の動きと、間が表現されている。例えば、もやしをザルに上げた後、主人公は冷蔵庫を開けているのではないだろうか。
冷蔵庫をバタンとあけて、ああ、ピーマンあるな。あとは……タマネギ使うか。そういや、これは昨日の料理の残りだったか、これも刻んで……。という思考や間が表現されている。
そして、秋の桜子さんはこんな思考することなくこれが書ける。そこには彼女が家庭で料理をしてきた歴史が生きている。
ネタバレは避けて語らなかったが、話そのものから漂う情景もまた素晴らしい。ぜひ読んで欲しい。
次は-。
ξ゜⊿゜)ξ ノ ⌒◇ <えいっ、ころころ。
さんさんさんさんの作品ですね!




