13:フィナンの天使は進化した
ジャンル:異世界〔恋愛〕
作者:守野伊音
あらすじ
仕事を終え、昼過ぎまで寝潰した画家のフィナンの元に、一人の美しい女が訪ねてきた。
彼女はフィナンが十年前に拾い、七年前に手放した、たった一人の弟子アンジェだった。
キーワード
年の差 恋愛 画家 師弟
掲載日
2016年 03月26日 14時47分
文字数
13,292文字
URL
https://ncode.syosetu.com/n2201df/
感想
書籍化された作家さんの短編であり、流石にこれ以外にも良い短編が多い。長さ的には一万字を超えるから中編かな。
その中からなぜこれを選んだかというと、舞台が好みだからであり、いわゆるなろうのテンプレ的な異世界恋愛やハイファンタジーとは舞台を異にしているからである。
正直言って、この作品は異世界恋愛である意味はない。魔法も無いし、アンジェ=天使と言ってるので、言語だってフランス語だ。
例えばそうだな、この文章の1行目に、
--1888年、モンマルトル、アパルトメント『洗濯船』
と書けばこの作品は異世界恋愛ではなく、歴史恋愛になるだろう。なろうにそんなカテゴリはないけど。
19世紀末期から第一次世界大戦までのフランスはパリ、モンマルトルの芸術家たちをイメージさせる舞台。主人公の隣人、売れない劇作家は詩人のポール・フォールかなとも思わせる。
内容は年の差のある師弟の物語、生活の困窮した主人公が拾った少女は美しく才ある画家として育ち、主人公に恋愛感情を……、という良くある話ではある。
オチへ至るどんでん返しはちょっと無理筋ではないかとも思うし、読者によっては好みでない人もいるだろう。
もちろん、わたしはスキだけどね!
それでも。そうそれでもこの作品を紹介したかったのはやはりシチュエーションの妙とその描写の巧みさにあろう。
主人公の住むアパルトメントの部屋、その汚れや臭いといった空気感まで伝わるような文章はやはり素晴らしく思う。
次は、木曜の零時台に。
ξ゜⊿゜)ξ ノ ⌒◇ <えいっ、ころころ。
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