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最初の契約者

──告げる 海の向こう 空の彼方 星の膜 天の理を超えて

七つの王冠 49の翼を持つ光の主よ

汝の片割れを 刻を駆ける翼を授けて 今古き盟約に従い 我が元に召喚せよ

契約せよ  汝は我が牙 我は汝の爪である

三つの星と一つの星 交わり 我が力と成せ


来たれ!!

世界を救うものよ!!













視界が眩んでいたのが徐々に戻っていく。

体の感覚も元に戻り、ずしりと重力が掛かった。


あのくそ女神。本当に俺をどっかに召喚したらしい。


見覚えのない景色だった。きらびやかなステンドグラスに菱形の付いた十字架。どこだここ。教会か?


「わあ!」


高い声が聞こえた。下からだ。

下?


不審に思いながらも視線を下に流すと、なんとも貧乏臭い子供が目をキラキラさせてこちらを見上げていた。

両手で何か分厚い本を抱えている。

歳は小学低学年位か。


「ほんとに、ほんとに、来てくれた!!ぼくの勇者さまだ!!」


ぼすんと小さな体がタックルしてきた。

その手には血が滲んでいる。


「まてお前怪我してるぞ!」

「え?」


慌てて掌を見ると、血の痕はあったが傷はもう塞がっていた。


「だって勇者さまの召喚に血を使うって書いてたから。えへへ、ほんとに来てくれたー」


子供らしく笑う男の子。

その腕の中にあるのは、子供には似つかわしくない魔導書だった。分厚い辞典程もある。


「!」


視界の端に何かアイコンの様な物がある。

そこに意識を集中させると目の前にウィンドウが開かれた。

そこにはこう書かれている。





男鹿誠 (23)

武器:登録なし【武器の登録をしてください】

属性:不明【武器の登録をしてください】

魔力:レベル1

勇者資格:有り【武器を登録してください】

スキル:なし

魔法:なし

相棒契約者: ジョン







武器を登録してくださいがしつこいな。

てか、ジョン?


「君がジョン君?」

「え!?ぼくの名前わかるの!?凄い!!さすが勇者さまだ!!」


テンションMAXにしてしまった。

男の子、ジョンは俺の周りをウサギみたいに跳び回っている。元気だな。


「ところでジョン君ここは何処だ?」

「ここは教会だよ!家から近かったんだ!」

「教会?にしては随分と…」


荒れている。

天井は崩れて空が見えているし、雑草が侵食してきていた。


「この本に教会とかじゃないと召喚できないってあったんだ!運がよかったよ!」

「そうか。ところでジョン君。もう俺は召喚できてるし、その本は俺が預かってても良いかな」


子供が持つにはあまりにもアンバランス過ぎる。


「うん良いよ!」


ジョンは素直に渡してきた。

いい子だ。

この子が何であのくそ女神が始めるとか言ってる争奪戦なんかに…。何か事情でもあるのか?


「ねえ、勇者さま!ぼくの家に案内するね!」


ジョンに手を引かれ、森の中を歩いている。

よくもまぁこんな森の中であんな教会を見付けたもんだ。


外から見ても半壊している。それにしてもなんでこんな所に教会なんて建てたんだろう?


着いたのはぼろ屋だった。まぁ、そうだろうとは思ってたが、予想以上だった。ここまでくると家が蔓に覆われているというよりも、蔓の中に家を作ったと言った方がいい。


「お母さん!みてみて!!勇者さまだよ!!」


戸を開けると、狭い家の中に汚い布にくるまった女性がこちらを見て驚いた顔をしていた。

そして悲しい顔。


「あんた、本当にやっちゃったんだね…」


ああ、と、理解した。

もしかしてこの女性は争奪戦の事を知っているのだろう。


お母さん、とジョンが甘えている。

部屋のなかを見渡しても殆ど物はない。

ジョンは一体どこでこの魔導書を手に入れたんだ?教会か?

でもあんな教会じゃ雨風ですぐにダメになるだろう。


「勇者様」


女性が手招きしている。


「はい」


近付いていくと、そっと手を触れてきた。

何かの病気か?顔色が悪いし痩せている。


「どうか、ジョンを守ってあげてください…。この子は何も知らないで貴方様を召喚してしまったのです…。私は何も願いません。どうか、全て終わるまで此処で隠れていて貰えませんか?」

「……」


何故かはいと言えなかった。

言いたかったのに口が動かない。


「ジョンを…お願いします…」


女性は優しく微笑んだ。

声がでないならと、俺は女性の手を優しく握った。





実際、俺は戦えない。

戦ったこともない。





ならばこの女性の言う通り、ここで身を隠してあのくそ女神の思い通りにならないようにしよう。

それが、一般人である俺の抵抗の仕方だ。


そして、此処で軽く一週間は過ぎた。


「…やっぱり体がおかしい」


食欲が薄い。

お腹は空くけど、耐えられない訳ではない。水で事足りてしまう位の空腹しかない。

試しにそこらの食べられそうな草を口に入れると味がしなかった。キッチンペーパーを食っているみたいだった。


女神の嫌がらせだろうか?

まぁ、食わなくてもいいのなら別にいいんだが、味がないのはちょっと悲しかった。

何故なら。


「勇者さまこれ美味しいよ!」

「ああ、ありがとう」


ジョンが採ってくる美味そうな木の実の味が分からないから。

くっそー、匂いだけなら甘そうなのに、口に入れると味のないグミだから辛い。

まぁ、一応いいこともありはしたけど。

毒を見付けるのが早かったりな。

味はないけど舌は痺れるらしい。


今んところ俺は一日の大半を教会で過ごしている。

いや、ジョンのお手伝いはしているが、それ以外だ。

召喚された場所だからなのかリラックスできる。

くそ女神大嫌いなのにな。


「しかし、よくもまぁこんな大規模の魔法陣が風化せずに残ったもんだ」


俺が召喚された魔法陣を見やる。

何使って描いたのかは知らないが、こんなに荒れた教会で無事だったのは奇跡だろう。


教会にいながらくそ女神がインプットしたこの世界の情報を読み漁った。分からない単語もあるが、どっかのゲームの中の設定みたいな感じだった。気になる言葉もある。が、これは後でいいだろう。

ジョンに色々教えてもらってるしな。


「勇者さまこれ知らないの?これはね」と、とても丁寧に教えてくれる。頭もいいし、これは将来教師にでもなれそうだ。


さて、勇者事項で気になるものはこれだ。

魔物の大量発生問題。


間隔が一定だ。

発生する場所はランダム。


勇者はそれを倒しつつレベル上げし、聖杯を探すのだが。


「…情報アバウト過ぎる」


聖杯のイメージはもっぱら豪華なワイングラスみたいな感じだ。しかしワイングラスなんてものはあっちこっちにあるだろう。偽物もあるかもしれない。

どうやって探すのだろうか?


ウィンドウをいじくりかえしても聖杯関連のものは見付からない。レベルが低いからなのか?もともと無いのか…。

ああ、そうそう。いつの間にか《鑑識 (野草)》と《毒耐性》のスキルが出現していた。試しにそこら辺の草食ってただけなんだが、儲けたな。

こうやってスキルが上がるのなら空いた時間色々やってみるのもいいかもしれない。


そしてさらに二週間目に突入した。


「…魔導書面白いな」


ジョンから譲り受けた魔導書を読み漁っていた。

ゲームの攻略書みたいで、しかもイラスト付きでまぁ頭に入ってくる入ってくる。初期は主にヒール関係ばっかりだが、たまに怪我してくるジョンを治してやると大喜びされた。


そんな事をしていると《魔術》スキルが出現し、魔法の欄に《回復魔法》と出た。残念ながらジョンの母親を治してやる程の精度はないが、体調は良くなるみたいだ。


てか、武器登録しなくてもスキル出るじゃん。


「平和だ」


このままこの森の中でずっとダラダラしていよう。

少なくとも、ジョンがこの森を出るまで。





始まりました

これから地獄だというのに主人公はまだ府抜けております

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