突然の乱入者
自称魔法少女と魔女ははげしく火花を散らしてぶつかり合う。
うん、どちらもとてもよく鍛錬されている。
当たり前のように空を駆けることもさることながら、自称魔法少女の繰り出す人間の限界をはるかに超えた音速に迫る速度のパンチを、魔女はかなり余裕をもってよける。そして、魔女の操る影の鞭を自称魔法少女は意にも返さず攻撃を続ける。
一見互角の攻防を繰り広げているようにみえるが…
「これはちょっとまずい」
黒い装甲を身にまとった自称魔法少女は、例えるなら、自分を操り人形の傀儡とし、自身の限界を超えた動きで攻撃している。本来なら、こんなに長期で戦うのには適さない戦法だ。しかし、それでも、彼女と魔女の間には大きな実力差があるようだった。
このままではいずれ体が壊れてしまい、この戦いは一気に傾くだろう。
そして、その時は思っていたよりも早く訪れた。
「きゃー!!」
魔法少女がものすごい勢いで地面にたたきつけられた。
「なかなか良かったわよ。ただ、まだまだ私には届かないわね」
「そんな…これでも…」
少女の身にまとう黒い装甲がぽろぽろと風化するように崩れていく。自身の装甲と魔女の攻撃で傷ついた彼女の肌が露出していく。よく見ると、新しい傷だけでなく、古い傷もたくさんついていることがわかる。
「ってそんな、みちゃだめだな。ほれ…」
僕は少女に制服を着せる。
「……情けなんて」
「そんなんじゃないよ。最近寒くなってきてるし、風邪ひくかとおもってさ」
「わけわからないわよ!」
「あ、あとちょっと失礼」
そう前置きし、僕は彼女の背中に指をつきたてた。
「なにすんのよ!触らないで!」
彼女は手をふり、僕を突き飛ばす。
「やっぱり。かなり悪いものがついてたな」
「な…それは」
「これは、悪いもののコアだね。さっきの黒い装甲はこの力を利用したものなのかな。普通は呪いとかよくないものがとりついた時にでてくるものだけど、君は自分からこれを体にいれたみたいだね。こういうのはよくないよ。体に悪い」
「やめて、返して。これがないと…」
彼女は僕から黒いコアを取替えそうと手を伸ばす。
僕はそっと距離をとって、コアを指手つまんだ。
「これがないと強くなれない?」
「そうよ!それは私がやっと手に入れた力なの…」
「そんなことないよ。こんなものに頼らなくても君はずっと強い。それはさっきの戦いを見ればわかる」
「いいから返してよ!!」
彼女は傷ついた体をおして僕からコアを取り戻そうとするが、そのままばたりと倒れこんだ。
「…返してよ。返え…」
彼女は倒れこんだまま言い続ける。
「いいかい。人はこんなものに頼らなくてももっとずっと強くなれるんだ!僕がそれを今から証明してあげるよ」
そう言って、僕は彼女から取り出した黒いコアをパリンと握りつぶした。
彼女はコアが砕けたのを見届け、憑き物がつきたようにすっと穏やかな表情で眠りについた。
「さぁ、次は僕の番だ」
ようやく僕は魔女と対峙する。
「ずいぶん待ってあげたんだから感謝しなさいよね。さー、私の最高傑作を消滅させたことを死ぬほど後悔しながら死んでいきなさい!」
ばちばちと僕と魔女の間に火花がちる。ような気がするくらいにらみ合っていた時、
突如、人影が割り込んできた。
「おおおおおい!いつもいつも俺のことを無視するんじゃない」
「雄太?」
人影の正体は、僕の愛すべき友人、雄太であった。
雄太は、一話で登場した、エンジェルマイスターの秘術で金色の闘気を発して主人公に殴りかかり謎の人物を消しとばして呪われたイケメン高校生です。