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私見が入り混じったJust Because!(主に夏目)の考察

作者: りょう

この考察が多分に私見を含むものであることをここに改めて明記する。

加えて言えば、筆者は『なんとなく』には明瞭・不明瞭問わずに理由があり、特に強い思いには明瞭な理由が存在していると考えるため、ここまで深読みするに至っている。

単に消しゴムを拾ってくれたから恋をして、自分を好きだと示してくれたから好きになったと解釈しても特に問題は無いだろう。

だが、人間味が重視されている本作品に於いて、深読みしないのはもったいないように思う。

○夏目の想いと今後の流れ


まず最初に言ってしまうと、7話終了時点で夏目と泉とが付き合うことになる流れが決まった。

正確に言えば、泉が神社で思わず言葉を漏らした時から、7話冒頭までの間に小宮が夏目に釘をさせなかったことで、決まった。

そう考えるには彼女にとっての『消しゴム』がなんであるかを考えるだけで良い。


彼女にとって『消しゴム』は『相馬陽斗への恋心の証』であり、『自分を見てくれる存在があることの証』でもある。

何かと周りを気遣って自分を犠牲にする夏目にとって『自分を見てくれる存在』というのは希少だ。

彼女は誰かが見ていてくれるのならば、支えてくれるのならば、身を粉にして動いても損とは思わない。


しかしながら、現実の相馬陽斗は彼女に対する関心を然程持たない。

事ある毎に現実と『消しゴム』が見せる幻想とのギャップに苦しむようになるが、彼女は『消しゴム』を手放すことは出来なかった。

『消しゴム』は『相馬陽斗への恋心の証』である以上に『自分を支えてくれる存在』であるからだ。

彼女が恋心を拗らせた原因はここにあると思われる。


夏目が『消しゴム』を返そうと思ったのは、泉が『自分をずっと見てくれていた存在』であり、『自分を見てくれる存在』だと知ったからだろう。

自分の求めるものを見つけた夏目は急速に想いを強め、泉の存在は『消しゴム』に匹敵するようになった。

『消しゴム』を手放しても良いと思えるほどに。


実際、『消しゴム』を返した夏目は「宿題終わったみたいにスッキリしてて」と漏らしている。

彼女にとって結果の見えていた恋心と自分の支えとの証であった『消しゴム』を手放すことは、正に『宿題』であったのだと思う。


『消しゴム』を手放した夏目には、自分を支えてくれるような存在はもう『泉』しか残っていない。

泉に残って見守るように言ったのは自分が恋心を手放したことを知ってもらうためでもあり、泉に『消しゴム』の役割を担ってもらうためでもある。


これ以降、夏目の依存対象は『泉』へ移行することとなる。

以前に泉と小宮が一緒にいる所を見た時は物陰へ隠れる程度だったのにバス停で目撃した時は走り去るようになるし、泉が駅に来てくれた時はそれまで不幸が続いたのも相まって現実感を喪失し、呆然とする。


この段階まで至った彼女に対しては、例え何をしても『泉』を自主的に手放させることは不可能である。

従って釘を刺しに来た小宮に対する反応は、間を置いての「ダメ」であった。

泉を決して手放したくない夏目の恋心はより一層加速するだろう。



夏目さん可愛いなぁ。



○オープニングの考察


オープニングに於いて私が意味を抜き取れたのは3シーンのみである。

それは冒頭のモノレールが行き交う2シーンと、終わり頃の夏目と泉が向き合ってる1シーンだ。


モノレールのシーンではまず最初に森川、相馬、夏目、小宮の順に並ぶ。小宮と森川は前に並ぶ相手を見ることがなく、誰もいない方向を見ている。まんまアニメ冒頭の構図ですね。


次に切り替わった時は泉、夏目、相馬、森川、小宮の順に並ぶことになる。泉と夏目、相馬と森川が互いに見つめ合う形で、小宮は一番遠くからただ泉を見つめるだけ。思うに、これが結末なのだろう。

互いに惹かれあう2組のカップルと蚊帳の外の小宮。あまりにも過ごした時間が違うから、この結末は違えることも出来ないのだと思う。


夏目と泉が向き合ってるシーンもあからさまだ。向き合ったままで互いに一歩を踏み出すというのは、きっとそう言うことなのだと思う。



○各人の考察


・夏目美緒


毒舌家であり、それは遠慮する必要の無い相手であればあるほど顕著になる。その他大勢、親友3人、泉の順に遠慮が無くなっていくからか、一部の人からは泉を好きなのだと勘違いされる(小宮に対して遠慮が少ないのは彼女が図々しいからであろう)。

基本的に素直な物言い・行動を取るが、他者を含めた環境を大事にしているのか、自分のしたくないことをする場合も多い。

神社でのシーンでは寂しそうに俯く泉の横顔を見てショックを受けているようだった。懸想をする自分の面影を、そこに見出したのではないだろうか。

私見ではあるが、彼女が陽斗に迫らない理由は陽斗が自分を見てくれる存在ではないからだと考えている。淡い恋心を抱く理由と全く異なる現状は、彼女が恋心を成就させたいと思うほどの何かを持たない。結果、消しゴムへの依存心ばかりが育つことになったのではないだろうか。


・小宮恵那


彼女は我儘であり、内弁慶な性格をしている。そのため自己を許容してくれる『場』が少なく、その数少ない『場』の1つである写真部に固執する。ただそれが写真部であったのは、もしかしたら“目”が良いからかもしれない。観察眼の鋭い彼女は早々に泉の恋心に気付くし、夏目に釘を刺せば身を引くだろうことも知っていた。なお、泉に恋心を抱いた理由は彼女の我儘・横暴を許容してくれたからだろう。

否定する内容ばかりなので補足すると、彼女の一番の魅力は能動的に自己の願望を達成しようとする点である。その行動力たるや、正に感嘆するに値する代物である。


・森川葉月


彼女は只管に自信が無い人物だ。2男2女の長女である彼女は、責任感も相まってか弟妹を大事にしている。だがそんな弟妹は厄介な存在でもある。彼らに振り回されるのが彼女であり、そんな自分と付き合ってくれるような男性はいないと思っていたのではないだろうか。2話で『男性に誘われた』にも関わらずその意識がほとんど無かったのはそれが根底にあったためであると推察される。また、神社での告白シーンに関しては『同じ吸い口の使用を拒む』『人目を避ける』ことが『自分を避けている』ような潜在的な不信を生み、陽斗の告白を咄嗟に断ることへと繋がったのだろう。

後のバッティング勝負の時に森川がトランペットを探しに走ったのは、彼女が陽斗に対して唯一持てる自信であったからだ。彼が好きだと言ってくれたトランペットの音が届けば、きっと彼が応えてくれると。


・泉瑛太


謎の多い主人公。分かっていることと言えば夏目に想いを寄せていることと、その想いを成就させる気が無いということぐらいである。器用に生きられない夏目を愛しく思っているそうだが、その切っ掛けは未だに明らかになっていない。鈍感に過ぎる陽斗にその想いを知られているということは、何かしらあったと思われるのだが……。なお、この恋心は夏目美緒の姉にも知られている可能性がある。

夏目を不器用と言うが、当人はもっと不器用な生き方をしている。


・相馬陽斗


ヘタレ! このヘタレ!! ……はい、真面目に書きます。

彼は陽気で豪胆な人物であると同時に、対峙する相手の心象を気に掛ける事の出来る繊細さも合わせ持つ。彼が初めて告白しようとした時に日和ったのは森川に断られるのを怖れたのもあるだろうが、この繊細さが一端を担っているのもあるかもしれない。これが完全に裏目に出たのが神社での告白前の出来事である。緊張で普段より言葉足らずになり、「森川が嫌かもしれないから」という一言が完全に抜け落ちた。

早期に就職することが決まり勉強から離れることになったが、受験出来ないことは彼にとってコンプレックスだったようだ。また、就職組ということで大人に交じらなければならないことに対して不安を抱いている。それは彼が草野球を手伝った後の食事中に漏らす、「うちの親父と全然ちげぇ」「大人も野球して騒いだりするんだな」という言葉に詰まっている。彼にとって“大人”とは自分とは異質の存在だった。

そんな彼が必要とするのは、陰ながら寄り添ってくれる存在である。トランペット奏者だった森川に想いを寄せたのは、一番不安に感じるであろう試合中に、能く通る音色を出せる楽器の一つだったことも大きいだろう。静かで主張の弱い彼女は、彼にとって女性であることを意識するのに十二分な要素も兼ね備えている。

ここまで書いてアレだけど、実際問題、小宮のどんでん返しは有り得るのかな……正直言って難しいよね。

好き合って互いに意識し合ってる二人を引きはがすには、それこそ外道な行動する外ないと思うんだよなぁ。

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