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冒険者さんは静かな場所を好みます  作者: 如月 那乃華
第1章.初めての事ばかり
6/21

6.悲しみの虹

少し、ヤバいかもしれません…

なので、見たくない人はスルーしてもOKです。


「…で、旅人さんは何で旅してるんですか?」


ついさっきの騒動から、一段落。

とりあえず自己紹介をしあって、旅人さんの名前がクイジとわかった。

……変な名前。(この世界では私の名前もだが)


「街が出してる依頼を受けて、虹薬レインボーポーションを買いに来たんだ。そしたらお前がサボテンを食おうとしてるから……」


へぇー。街が出してる依頼…面白そうじゃないですか!

……ところで、虹薬レインボーポーションって何?ポーションって確か……薬だったかな?

ホント、何でもアリな世界だね、ここは。

モンスターもいて、旅人もいてさ…あっ、竜っているのかな!楽しみ~。


「…サボテン食べようとしてて、悪かったですね!」


こっちは空腹だったの!しょうがないでしょ!(言い訳)


「あっ、そうそう。その街の依頼、私もついていっていいですか?いざって時はナイフがあります!」

「うーん…ところで、嬢ちゃんは、どこから来たんだ?」


どこから、来た…その質問には答えられない。


「…もし、もっと仲良くなれたら、教えます…それと、名前で呼んでください!わかりにくいです!」

「あー…ハイハイ、もっと仲良くなれるように頑張りますよ、ルナ」

「そのいきです、クイジさん」


ん?…そもそも、虹薬レインボーポーション、どこにあるの?


虹薬レインボーポーションは、村に一つだけあって、世話になった人に渡すらしい。村の者、全員が賛成しないと貰えないそうだ」


へぇー…ん?何か覚えがあるのだけど…もしや…?


虹薬レインボーポーションの瓶のフタって、鳥の形ですか?もし、そうなら……」

「おう、よく知ってるな。フタは鳥の形だ。」


やだ、どうしよう。それ、持ってる。

村長のヤシさんに、貰ったあれかーーっ!!…確か。


『これは凄く特別で大切な物です。大切にあつかった方がいいと思われますぞ』


って、言ってた気がするーっ!!言う?どうする!?


「ルナ?…どうかしたか?」


どうかしてます!完全にどうかしてます!!


「驚かないでくださいね……?」

「?…ああ」

虹薬レインボーポーション、私持ってます」

「へぇー……は?…はあぁぁぁーーっ!!?」

「うるさい、静かにして」

「わ、悪い。ルナが持ってる?どういうことだ?」

「カムス村で“カフレギア”を倒したら、村の人達に感謝されて、宴して、旅に出ると言ったら、持ち物を準備してくれて、それで……」

虹薬レインボーポーションも入っていたと」

「手紙があって、こう、書いていました」


『ルナさんヘ

ルナさん、この手紙を読んでいるならば、きっと虹色ポーションも入っていたと思います。虹薬レインボーポーションは村の宝。でも、村を救ってくださったルナさんに差し上げようと思います。村の者も全員賛成してくれましたし。とにかく、無事で…

                                    村長ヤシより』 


「お前、何気にすごいな…?」

「あはは……」


逃げたい…嫌な予感がする。


「ってことで、強制連行」

「はい、何で!!?」

「だって村に行って頼むの面倒だったんだよー。ま、とにかくラッキーだな。ついてこい、ルナ」

「いやっ!」

「いやだって?じゃあ虹薬レインボーポーションをよこせ」


は?何いってんの?これは、村の宝。

やすやすと渡していいものじゃない!クイジさん…最低。


「クイジさん、村の宝は渡しません」

「村の宝?今はお前のだろう?お前が決めるんだよ。さぁ、どうするんだ?」

「答えはもう言っています!!渡しません!!」

「低脳が。とっとと渡せばいいんだよ!」

「低脳?……そう、そこまで言うなら…」

「渡すのか?遅い決断だな。」

「いいえ、死んでください…クイジさん。仲良くなれると思ったのに。この世界で初めて、仲良くなれると思ったのに……そんな人だったなんて」

「この世界?……まさか!異世界人!?」


私はナイフをクイジさんの首に向ける。


「はっ、早い!?」

「バイバイ、……クイジさん」


血飛沫があがる。

…あそこで道を間違えなければ。

もし、もう一度やり直せるのなら。

…クイジさんは、どうするだろうか。

…同じ道を通るだろうか。


…私は、私だったら。

…きっと同じ道を通るはずだ。

だって、私にはその道しかないのだから。


その頃、空に虹がかかっていた。

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