表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

 闇と怨念の国ファントム。

 いつからか、この地はそう呼ばれるようになった。外交は殆ど無く、隣国とは常に緊張状態であるこの国もまた他国からの略奪により成り立っている。

 血を。血を。

 ひたすら血を求める亡者が巣食う永遠の夜の闇に包まれたこの地についに光が。

「なんと……」

 喜ばしいこと。

 漆黒の聖堂にて一人瞑想をするのは日課だ。しかし、これほどまでに喜ばしい知らせはない。

 我が花嫁が現れる。四百年。この四百年待ち続けた我が花嫁が。

 まだ、日時はわからぬ。しかし、我が花嫁の姿が確かに我が脳内に浮かんだ。

 髪は黒。瞳は鳶色。肌は我々ほどではないが白く、なにより愛らしい顔立ちをしている。私好みだ。少しばかり気が弱そうに見えるが、きっと自分の考えをしっかりと持っている娘だろう。さらに特筆すべきは、人の子の娘であるということだ。

 ついに、この国に。人の子が。これほど喜ばしいことは無い。

 やっと、長年望んだ人の子との共存。それが叶うのだ。

「ウィル、ウィルはどこだ」

 これは真っ先に騎士団長に知らせねばならん。

 我が花嫁のために、庭を整えよう。それに、茶会などを楽しめる離宮を与えるのも良い。とにかくこの国に飽きさせず、留まらせることが重要だ。

 人の子の娘。我が花嫁。名はなんというのだろう。

 早く来い。異界の娘よ。私はお前を待ち続けよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ