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逆ハーマジ勘弁にかかわる物語。~残念ながらリロイは今日もシスコンです。~

あらあら、とんだ坊やですこと。

作者: みなみ

私の名前はハナ。

学園に入って二年目のぴっちぴちの14歳になったばかりの娘っ子です。

なんとまぁ、お貴族様のご息女なんですよ!特権階級ばんざーい。

生前は庶民でしたが今や貴族!

現代日本に慣れきった私はそんな暮らしでないと生きては行けません。

あ、私はいわゆる転生者ってやつです。

成長過程で小出しに徐々に思い出していったのでネット小説やらの噂のように高熱でうなされるとかはありませんでした。もちろん倒れることも。

弊害があったとすれば、子どもらしくない落ち着きを得たことです。

五才にして老成してるようでしたね、はい。


そうそうお貴族様ありがちの婚約者もおりますよ。

焦げ茶色の髪に赤茶の瞳の男の子。三つ年上のその子は近衛騎士団長の息子。

実力ありの美形ですよ。

ここまで来ると、なんだかもうお約束のあれが来そうじゃないですか?

逆ハーに婚約者ねとられフラグ。

もしくはもと悪役令嬢最強伝説によるねとられフラグ。

いつのまにやら溺愛。

…等々。

婚約者とあって、いつのまにやら溺愛。はねーなと思いました。

甘やかされた坊やちゃんかつ運動バカ。いたずらすぎるお子様でした。

まぁ、私は子どもが好きなので広い心で見守ってあげています。現在進行形で。

上から目線?

まぁ、そうかもしれませんが大人対応しないとやっていけませんから。

広い心で接してあげませんと。

婚約者様は、まともな助言ですら傷付くいたいけなせぶんてぃーんですもの(笑)


昔、高い木に登って上から「お前こんやくしゃならおれをおいかけてこいよ」とか、両手一杯のだんごむしを「いっぱい取れたからやるよ!うれしいだろ!」とか「お前の分のかしをよこせ」とか外見年齢三つ年下のか弱い女の子にやるんですよ。

ちなみに高い木に登ったときは誉めて誉めて誉めまくり無事怪我もなく下ろすことに成功し、すごいんですよっと無邪気さを全面に出し大人にチクリました。

だんごむしならば私平気なので問題はありませんでしたので蜥蜴を捕まえて背中に入れてあげガチ泣きさせました。

お菓子は人目の多いところまで逃げたうえで泣きながら渡しましたので、怒られてましたね。

まぁ、そんな感じでやられっぱなしでは無いものの横暴な態度を取られ続けた九年間。

婚約者様もさすがに成長過程でいくらか矯正されましたが基本はわがまま坊やちゃんです。

図体だけおっきくなった子どもと思って接しています。


彼が学園に入ってからほとんど会うこともなくなりましたが、まぁ友達と遊びたい盛りで女といてもつまんねーよ期に突入してましたのでそっとしておきました。

たまに会ったとき学園での話を聞くと物凄く楽しそうに色々話してくれましたから、邪険にされてはいませんでしたし。

そういえば私が入学した頃はなにかと気にかけ世話を焼いてくれたときには感動しましたよ!

そんな気遣いできるとは大きくなって…!!と母のような気持ちでじんわりして泣きそうになりました。






現在の婚約者様ですか?

はっはっは!

聞いて笑ってくださいよ、マジで来ましたよ逆ハー娘!!!

彼今や逆ハーの一員となって、みんな大好きなお友達宣言を受けても熱いまなざしを送り続けてますよ。

キタ~~~~~~~~~~~~~~(゜∀゜)

ってなりまして暫く笑いが止まりませんでした。

婚約者が段々と逆ハー娘さんに傾いていく様子や二人のやり取りを見てきましたが、本当乙女ゲームみたいでした。


正直な感想として、二次元に限るよ、ありゃ。

現実だと妙に芝居がかったセリフは鼻につくし、

頬を染めるソフトマッチョ美形青年ってちょっとキモかった。

二人のやり取りもうすら寒いし。

いくらか美男美女でも許されない感じでね…。


あ、なんでやり取りを見てきたかってそれはね、私が行くとこや居るとこで突然二人の世界スイッチが入るみたいで、なおかつ出入り口等の前でやりやがるから去れなかったのです。

いい迷惑だ。


他の逆ハーメンツの婚約者様やら許嫁様はさっさと関係を解消しているようだけど、私はそれはないんだなぁ…。



まず私の実家での立場がかなり微妙なんです、はい。


学園進級と同時に父が再婚したので、寮暮らしの私の居場所はないし、元々愛情をかけられてもいなかったので、婚約解消と同時に実家も追放決定です。


現代日本ならいざしらず、基本はなにをするにも手仕事上等!な世界であまっちょろい軟弱者の私は生きていく自信もない。

洗濯は全自動だったし、料理だってある程度は調味料含む既製品を使いながらだったし。

いや、ほら卒業間近だったらまだね、なんとか学園のつてを頼りに就職して細々と暮らす選択肢もあるんだけど卒業まで後四年あるからこの状態では雇ってもらうのも無理。

残る選択肢は、14歳に見えない私を嫁に迎えたい金持ちの変態の妻になる事だけど、知ってる限りそんなとこに嫁いだら最後、数年で病死(仮)か事故死(仮)で使い捨てになります。

せちがらい!

私は結婚したり子供を産んだり趣味に走ったりのうのうと長生きしたいんだよ…


そしてもうひとつの最大の理由があるのです。

騎士団長の息子である彼は伯爵家の四男であるにも関わらず跡取りで、私は次期当主の妻となるべくの教育も受けているのです。

その一環で孤児院の管理と慰問もしているんだけど、

そこから巣だった子達や今いる子達を末永く見守りたいんだ…


親がいない、親に捨てられた、ってその子が悪い訳じゃないのにそれだけで就ける職が変わったり、時に差別を受けたりするのが悲しかったし嫌だった。だから教育を施したり、一緒に遊んだり、低料金で近隣の子どもも日中あずかって地域交流も図って少しでもよい方向にいけるよう私なりだけど努力をしてきたの。

そのかいあってこの学園にも通えるくらい優秀な子が出たり、文官や武官になる子も出たし。それ以外にも街の色々な職について活躍してるんですよ!

それぞれ誰かに必要とされ生き生きと仕事や勉強に取り組む姿が見れるような日が来るなんて夢のようです。みんな幸せになってほしい。

…私が婚約解消すればもう関われなくなってしまうのが怖くて悲しいので、どんな事があっても婚約者を辞める気はないのです。


ずるい考えだってのはよくわかってますけどね…

彼は逆ハー娘さんの一番にはなれません。

それを確信してるから、なおさらです。

私知ってるんです。

逆ハー娘さんが王太子様とくっついたって。

跡取りの彼は、跡取りであるゆえ結婚しなければならない。例え愛がなくても過ちとか勢いで子供は作れるって聞きましたし、私は丁度いいと思うのです。

子どもだけでもほしいと生前から思ってましたしね。





「息子がすまないことをしている…

だが、婚約は続けていてほしい。必ず目を覚ますはずだ。」


今日は騎士団長自らが頭を下げに来てくれました。

あまりの逆ハー達のとんちきっぷりにとうとう親に知られる事態となってしまったのでしょう。

もうすぐ卒業し働くというのに、親に尻拭いをさせる婚約者様にはため息がこぼれます。

まぁ、そんなことになるなんて思ってもいないのですよ、坊やちゃんなので。

働いてその根拠の無い自信がぺちゃんこになって更正するといいのですが。

私はニッコリ笑って言いました。



「結婚は貴族の義務ですから、逃げませんのでご心配無く。

私ここまで何不自由なく生きてこれたのは貴族であるがゆえです。自由のみを謳歌し義務を忘れるなど許されはしないと知っていますから。」



「…君は、息子を愛しているから待ってくれるわけではないのか…」



あらあら、騎士団長様も案外甘ったれですね。坊やちゃんの親だけあります。

奥様は超現実主義者でスパッとしていて気持ちいい方なのに…

中年美男マッチョなのに心はうじうじ乙女ですか。



「親が子を思う広い愛ならばもっておりますわ。

…こんな状態に追い詰められてもなお彼を愛して涙を飲んでボロボロになりながら待つ女になれと…騎士団長様はそうおっしゃるのですね。」



「そうは言っていない!

ただ、あれなりに君を思っていることを知ってほしいのだ!

その…心を尽くした贈り物も何度かもらっているだろう…?」



ん?

贈り物…?

心当たりがないか思い出を振り返ってみよう。


あなたか私にくれたもの~♪

両手一杯のだんごむしさん。

あなたか私にくれたもの~♪

つまみ食いした後のお詫びのお菓子。

あなたか私にくれたもの~♪

親が選んで嫌々渡してきたプレゼント。

内訳…ぬいぐるみ、本、花束、髪飾り、ドレス、婚約指輪。




…………………

…………以上!


素直に答えると、騎士団長が首をかしげた。

私に贈るとの名目で金を渡したり、宝石商を呼んだりしたんじゃないんですかね、その様子だと。

全て逆ハー娘に貢いでますよ、はっはっは。



「あ…あの愚息が…っ」



全てを知った騎士団長は青筋浮かべつつ、私への罪悪感に苛まれています。器用ですね。



「私は平気ですわ。

いつもの事ですから。とんだ坊やちゃんですこと、あらあら位にしか思っておりませんので。」



私はフォローのつもりで言ったんですが、騎士団長様はとどめを刺されたようになって涙目でプルプルしながら帰っていきました。

女々しいですね、まったく。










しかし、婚約者様を含めて逆ハーメンツは本当に回りが見えない呪いでもかかって居るのでしょうかね?

視野の狭さと、行動のつたなさは異常です。以前が素晴らしかったから余計に…

恋の魔法(笑)のせいでしょうかね?

うわぁ恋ってしてみたいけど、あんな風になるのは嫌だなぁ…

喪女で終わった前世持ちとしては憧れていたんですけどね。

まぁ素敵な恋をしている人もたくさん知っているのでそちらを見て満足しましょう。




あら?

婚約者様が頬を腫らして怒鳴り込んでこようとしてますわ。

騎士団長殴ってしまったんですね。

浅はかですわ。殴ってどうにかなるレベルじゃ無いでしょうに。

女子寮は男子禁制なのでもちろん追い出され、特寮の職員に引き取られていきます。



まったく、困った坊やですこと。( -。-) =3







騎士団長のお家が四男が跡取りになった理由。

元々…長男跡取りで、次男資金の潤沢な子爵家に婿入り、三男他国に婿入りした後に、長男隣の隣の王国の王妹に一目惚れされ婿入りに。

それでごろんと跡取りの座が転がってきたという理由です。

わがままいっぱいに育てた自覚はあったので焦ったという。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 鉄拳制裁効いてね~~~~wwwwwwwwwwww
[一言] おちは?
[一言] ヒロイン恋してねーwwwっ!!! と読み終わったあと思いました。 ファンタジージャンルで良いんじゃないでしょうかw?
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