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7/15

男に性以外のことを求めても無駄なんだよ

こんな題名ですけど、ぜんぜんそんなんじゃないんで。ただのギャグなんで。

「で、ほのこ………さん?何で学校サボってこんなところで何やってんの?」

今は俺たちは停学中だがこいつは停学だのなんだのはないはずだ。

「ふん、あんたには教えてあげますよ」

……………………

「教えてくれるんじゃないのか?」

「うるさいですっ!教えません!空気呼んでくださいこの変態!」

ほのこは顔を真っ赤にして俺にあたって来る。

「でも本当にどうしたんですか?」

「ああ、いえその………」

佐奈に尋ねられたとたんしゅんとなった。

「すみません学校を休んで、今日は一日バイトをしようと思いまして。先日の件で学校を休むにはいい理由がありますし」

で、俺のほうには相変わらず氷河の如くの視線が送られてくる。

「優一氏よ、ちゃんと謝っといた方がいいぞ?ここまで警戒されると後で食えなくなる」

バコン!

俺はほのかの持っていたお盆を一瞬で奪い取り、おっさんの顔面をぶったたいた。

「おいおっさん、そろそろいい加減にしようか?最近そんなんばっかなんだよ、あんたも俺も幸も。もう少し考えようぜ!?さすがに三人もおんなじボケかましてたら成り立たないんだよ!この物語」

俺はおっさんの胸倉をつかんで揺さぶる。

 バコン!

 今度は俺が床に置いたはずのお盆をほのこが取り返し、俺を思いっきりぶん殴った。

「お客さんになんてひどいことするんですか!?変態に加えて暴力までするなんて、最低です!!」

「いや暴力振るわれそうだったのあんたのほう!!」


「はあ」

俺は蕎麦屋さんですら溜息をついていた。

「どうしたのお兄ちゃん?蕎麦美味しいよ?」

ずずず、と麺をすすりながら幸は言った。

「幸よ、俺は最近疲れてんだよ。主にお前らの所為で」

「でもほんとに美味しいよ。ここのうどん」

佐奈も蕎麦をすすりながら言う。

「蕎麦な」

「ありがとうございます。皆様に喜んでもらえて嬉しいです」

蕎麦をうどんと間違えられたことはどうでもいいのか?

「どうせ蕎麦もうどんも似たような物ですし」

どうでもいいようだ。

「それでほのこちゃんはこっちに来てて大丈夫なの?」

どうやらついさっきまでのやり取りで、佐奈とほのこはえらい仲良くなったようだ。

「はい、今はお昼時も過ぎてしまいましてし。店のお客様も、もう少ないですから」

「へえ、さっきの続きなんだけどさ、ほのこちゃんはいつもここで働いてるの?」

「いえ、ここは今日が初めてです。いつもは別のところにいたりしますよ」

「いくつも掛け持ちとかしてるの?大変じゃない?」

「ええまあ、でもお金が必要ですから」

「まあ、うちの学校はえらい高い学費を請求してくるからな」

「………何気なく会話に入らないでくれません?」

「あっそすみませんした」

本当に俺はえらく嫌われっちまったらしい。

「でも本当に高いよね、うちの学校。こないだお母さんに教えてもらったら驚いちゃったよ。やっぱり学費とかのため?」

「いいえ、私の場合は学習優秀者と言うことで学費免除と言うことになってます。残念ながら学年トップと言うわけにはいきませんでしたけど」

「ああ、学年トップならそこにいるぞ」

俺は幸のほうを指差す。

幸はブイってして答えた。

「え、嘘。こんなにちっちゃいのに?」

ほのかは幸を見て驚いた声を上げた。

「ちっちゃいは余計だよ」

幸はふくれっ面で答える。

「まあ、俺の自慢の妹だからな」

「幸ちゃんこんな危ない男の家なんかより私の家に来ない?」

「ごめんなさい。もうこの体はお兄ちゃんに調教されてしまったの」

幸はあろうことか、泣きまねをしながらとんでもないことを口にしていた。

「…………なあ、妹よ。俺のことが嫌いならはっきり言っていいぞ?その方がきっと傷つかずにすむ」


「…………へ、変たああああああああいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!」



 停学三日目。

 俺は家のすぐ近くのコンビニに訪れた。

「………あ」

「いらっしゃいま………なんであんたがここいいんのよ?」

またもや金髪ツインテールに遭遇した。

「ここは俺の家から一番近いコンビニでな。お前こそどうした?店員さんのコスチュームなんかしちゃって。まるでバイトしてるみたいじゃねえか」

「バイトしてんのよ!悪い!?」

「お前、今日も学校サボったのか?」

「あ、あんたには関係あるわよ!」

どっちなんだよ。

「それよりあんたさっさと何か買って帰りなさいよ」

「はいはい分ったよ。もとからそのつもりだったしな」

俺は雑誌コーナーからあるものを取り出してレジに向う。

「ほいよ、これくれ」


 俺は聖書(エロ本)をレジに持っていった。


「…………何これ?」

するとさっきとまるで違うトーンでほのこが返してくる。

「男たちの夢(エロ本)だが?」


「変態いいいいい!!!」



 停学四日目。

 俺は俺の家から近いショッピングモールに来ていた。

「いらっしゃいま……」

ぴぽぱ、

「あ、もしもし警察ですか?ストーカーです」

「おいちょっと何やってくれてんの!?」

何故か来た瞬間警察に通報された。レジで立ってる金髪ツインテールに。

「何であんたがここにいるんですか?」

「妹の誕生日が近くなったから、プレゼントを買いにきただけだって」

「え、幸ちゃんって、誕生日近いんですか?」

「ああ、五月十四日だから、後十日ばかり余裕はあるけどな」

「何だそれならそうと先に言いなさいよ。あ、い、は、早く選んで帰ってください!」


 俺は女性の下着コーナーから下着をワンセット持ってきた。


「………何ですかこれ?」

「ん?いや何、妹の誕生日プレゼントなんだが、今まで散々子供だの小さいだの言ってきたからな。あいつもそろそろ(体のほうも)大人扱いしなくちゃと思ったわけだ。まあ、そう言っても女物の下着なんて選んだことないから迷ったんだが、以前お前が着けていた空色のブラなんかいいと思ってな。参考にさせてもらった」


「変態いいいいいいいぃぃぃぃいぃぃ!!!!!!!」



 停学五日目。

 俺は薬局に来ていた。

「すみません、大人の階段のーぼる(コンドーム)ください」

「はい、コンド…………」

またしてもレジをしていたのは金髪ツインテールのほのかだった。

「すみませんちょっとこちらに来てください!」

俺は店の奥に連れて行かれた。

「ねえ、何なのよあなたは?何か私に恨みでもあるの?あるんでしょ?」

「ねえよ。それより、お前の方こそどうしたんだ?やけに今日は大胆じゃないか。こんなところに大人の階段のーぼる(コンドーム)を持った俺を連れ込むなんて」

「………通報しますよ?マジで」

ほのこの顔がマジだったのでいじるのはここまでにしよう。

「いや、此間のも今日のも本当にただの偶然だよ」

「そうは思えない」

もはやツンもデレも無くなっていた。

ただ訝しげな視線でジッと睨みつけてくるだけだった。

「それにしてもお前、本当に色んな所でバイトしてんだな」

「気安く話しかけてください」

………

「なあ、もう少しちゃんと言ってくれ、分かりづらくてしょうがないから」


 ……俺の周りは本当に変なやつしかいない。


 その夜。

 俺は、妹の誕生日プレゼントを、たまたま訪れていた佐奈に見つかり、何故か外に追い出された。

「はあ」

何でだかまたまた俺は溜息をついていた。俺はここらで一番大きい谷津羅橋と言う橋まで来た。

 空は満点の星星。夜景が特にきれいなスポットである谷津羅橋。隣に女でもいればなんと良かったことか。

「はあ」

また溜息が出る。

学校で変態と言うレッテルを貼られた俺にはもう二度と彼女が出来る日は来ないのだろうか。

橋の取っ手にもたれかかる。薄い光で照らされてる川の流れは、この暗い中では見ることは出来ないが、寂しい俺の心を慰めるような静かな音をたてていた。

 俺はしばらく感慨にふけた後、馬鹿らしくなって帰路につく。

谷津羅橋を下っていくと、谷津羅街に出る。そこには、いかがわしい店がゴロゴロゴロゴロ。昼はカフェだのやってた奴がみんなスナックだの何だのを立ち上げていた。

 左を見る。

何やらいやらしいカップル。

 右を見てみる。

目が逝っちゃってるカップル。

 正面を見てみる。

足腰が立たなくなってるカップル。

…………

「喧嘩売ってんのかぁぁぁぁぁ!!!!」

何だこれ?嫌がらせか?さっきまでこんなにいなかっただろ?何で今いるのどういうことなの?

さっきから目の前でキスだの何だの。何だよ鬱陶しいんだよ!耳に入ってくる甘い言葉だの何だの。もううんざりなんだよ!!

だいたいなんで山梨と言う田舎にこんな店あんだ?………いやまあどこにでもあるか。夜出歩くなとかみんな言ってるもんな、きっとこういうことだったんだな。昼の街と夜の街は百八十度違うってことだな。死ねばいいのに!!

「ああもう、ばかばかしい。さっさと帰って、あいつ追い出して寝よ」

「ありがとうございました」

そんなことを自分に言い聞かせていると、ここ最近やけに聞きなれた声が聞こえた。

「………え?」

俺は振り返る。


 ほのこがいやらしい店から制服姿で出て行くところだった。


「………ほのこ」

俺は知らずの内に呟いていた。

「えっ?」

その呟きはほのこにも聞こえていたようだった。

 ほのこの視線が俺の視線と重なる。ほのこが俺の姿を捉えると、これ異常ないくらいに目を見開いた。

「う………そ………何で……」

「何でお前、こんな所にいるんだよ」

消え入りそうなほのこの声を無視し俺は続ける。

 俺のその言葉に脅えたのか、ほのこは走り出そうとする。

「そうはいかないけどな」

俺は何の苦労もすることなくほのこの腕を捕まえた。

「は、放して!!変態!!!」

ほのこは俺の手から逃れようと腕を振り回すが、俺は放さない。

「お前のほうこそ、何でこんなところから出てきたんだ?何だこの店?」

「ふ、普通のカフェよ」

「嘘つくな。お前が普通の店なのに逃げ出すわけないだろ?」

「だ、だからそれは………」

ほのこは俺から視線を外し、何か言い訳できないかと言葉を捜す。

「お前、何でこんなところから出てきた?しかもその制服、内の学校の奴じゃないよな?」

「………」

ほのこは黙り込み何も答えなくなった。

「はあ、お前な、学校休んでこんなところで働いてるなんてばれたら――――」

「う、うるさい。あんたには関係あるわよ」

…………

「よし、関係あるんだったら話してもらおうか?」

「ち、違う今のはそういう意味じゃなくて………察しなさいよ馬鹿!!」

俺はまたはあ、と溜息をつく。

 こんな時まで馬鹿扱いとは………。

「…………バイトしてたのよ」

「……は?」

「だからバイトしてたのよ。ここで!言っとくけどいやらしいことなんて何もやってないわよ!?確かに男の人の相手とかしたけど、それだけだもん」

典型的な言い訳文だった。

「高校生ビッチデビューしている奴は大抵そう言うんだよ」

「ビッチじゃないもん!!」

ほのこは俺の言葉を強く否定した。

「ビッチじゃないもん…………私には、お金が必要だっただけだもん………本当に、それだけ………」

ほのこは俯き、涙を含んだ言葉を返してきた。

「でも、だったらここでじゃなくても良かったんじゃないのか?だいたいこのことが学校にばれたらお前やばいぞ?特に成績優秀者とかは。下手したら退学になっちまう」

退学という言葉が響いたのか、ほのこの体がびくっと震えたのが分かった

「それが分かってなかったわけじゃないだろ?何でばれるかもしれない危険をしょってまでこんな所でバイトなんか………」

やっているんだ?という言葉は、俺の口から漏れることはなかった。その代わり、ほのこの頬に涙が伝い流れた。

「…………何か理由があるのか?」

俺がそう聞くとほのこは僅かに顔を上げる。

「…………私には、一円でも多くのお金が必要なの」

それだけ呟くと、また、ほのこは黙り込んでしまった。

「………一つだけ聞かせろ。それは、誰のためだ?」

ほのこは答えない。

「自分のためか?」

ほのこは僅かに首を振った。

「他の誰かのためか?」

ほのこは、僅かに小さく頷いた。

「そっか」

俺は一言呟いて、ほのこの腕を放す。

「だったらいいや。でも、こんなところではあんま働かないようにしとけよ?」

ほのこは俺が放した腕を掴みながら呆気とした顔をして聞いてきた。

「どうしてか……話してないのに……良いの?」

「それならお前が話したくなった時にでも教えてくれ。今日のところは俺は特に――――」

「ちょっと君たち良い?」

俺の言葉は中年ぐらいのおっさんの声に遮られた。

「君たち高校生だよね?こんな所で何やってんの?こんな時間に」


 そのおっさんは警察のお方だった。



はいここでお約束警察の登場!!次回は………優一に更なるレッテルが!?

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