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男はみな変態という生き物である

ずいぶん遅くなってしまって申し訳ありません


 俺がドロップキックをお見舞いした少女は、そのまま俺ともつれ合うような形で階段を転げ落ちた。

階段から落ちる際は俺が下になっていたからまだ良かったが、ついさっきのドロップキックはものの見事に決まってしまった。すばらしいほど鮮やかだった。マジで鮮やかだった。

「おい、大丈夫………ですか?」

俺がドロップキックをかました女の子は髪が金髪で、長い髪の毛をサイドで束ね腰の辺りまで下ろしたツインテールで顔も………鼻血さえ出ていなかったらものすごく美貌と言えた。

 誰だろうかと言う愚問が頭に浮かんだが、全校生徒三万人を超すこの学校ならば見たことも無い人がいても不思議じゃないかといって片付ける。左胸につけてるリボンが青い色だから同い年だと言うのだけは分るのだが………。

だがそんなことはどうでも良い。この女の子ったらいつまでたっても起き上がってくれない。

『おい、東堂。マイク越しに変な声が聞こえたんだが………何かあったか?』

「うん、あのね………何かあったと言うか……どうしよう――――」

 …………俺がドロップキックをお見舞いしたその少女は、目を開かった…………。


「俺、殺人者になっちゃったっぽいワ」


          連載終了!!ご愛読ありがとうございました。(笑)



「ちょっと待てーーー、起きて!お願い起きてぇ!!何でも言うこと聞きますから!!」

『東堂、お前ついに川西を………大丈夫だ良い腕をした弁護士を知っている』

「そっちじゃねぇよ!!と言うかまだ死んでねえよ!!!……きっと」

「ゆぅういちぃぃぃぃ!!!」

ああ、川西のほうもなんかやって来たーー!!

とりあいず、このえずらを誰かに見られるのだけはまずい!!絶対にまずい!!!どのくらいまずいかって?女子学校でコミショウのおっさんが男ただひとりという状況下で過ごさねばならないのと同じぐらいヤバイ!!!

 その状況リア充街道まっしぐらとか思ってる?なめんなよ!!女しかいない現場で、ラノベよろしく女の人と仲良くできるわけねーんだよ!!

「ああ、ヤバイ、とにかくヤバイ!どうしましょう先生!?」

『その階段をおりきって左のとこにトイレがある。一先ずそこに隠れてろ』

俺は言われたとおり女の子を担ぎ上げトイレに向う。

 俺は一瞬迷ったが男子トイレに入る。

 何故か知らんが立ちション所も、個室もえらい込んでいるが気にしない。後だ後。

 なんか女の子を担いだ俺を見て皆さんの顔が引きつっているが、気にしない。後だ後。

 開いている個室に女の子を押し込み、俺もその中に隠れる。周りが騒がしいが後だ後。

 今はまだ社会的抹殺よりも生存しなくてはならない。なんか入るとき後ろでパシャパシャと言う音が聞こえたが後だ後。

 ただいま絶賛メール送信中という雰囲気がバンバン漂ってくるが後だ後。


 俺の社会的人権などもうなくなってしまったが後だ後。


 耳を立て、川西が過ぎていくのを確認し、ほっと一息つけ、目の前に目をやる。

「どうしよう………これ」

目の前には女の子が安らかな眠り(永眠?)についていた。

 ………やってしまったなあ。色んなものを。

『はいはいお兄ちゃん、何かやっちゃったのかな?』

スピーカーから明らかに楽しげな幸の声が聞こえてきた。

 ………こいつのところにもメールが送られたのだろうか。

「妹よ、残念だが、今は笑える状態じゃないのだよ」

いろんな意味でな。

『いやあ、女の子の顔面に思いっきり蹴りを入れるなんてねえ………しかも女の子をトイレに押し込んでるなんてねぇ………お兄ちゃん明日からどうやって生きてくの?』

生きていられるかな?明日まで?

『惜しいな優一氏。そのようなことをもっと早くやると言ってくれればそれなりの道具を渡したというのに』

「幸、そのおっさんについさっきの………なんだっけキャロット?」

『キャロライナ?』

「そうそれ、カカロット。それおっさんに飲ませてやって」

『ろしかあってないんだけど』

「どうせ明日生きてるかも分らない俺はろがあってるだけでもましだよコンチクショオオオオ!!!」

『ふふ、大丈夫だよお兄ちゃん。私が何とかしてあげるから』

「………幸?」

何故だろう。今の幸の声がとても大人びている様な気がした。

『お兄ちゃんが今もってるマイクをその子の胸に当ててみて。………直で』

………直で?え?直でって何?この女の子の征服剥いで見ろってこと?教師にとんでもないことやって、女の子に暴行行為を働いて、トイレに連れ込んで、さらには衣服すべて剥げだと?

 ………俺、社会的に抹殺されちゃうよ?

 ………そりゃまあ俺も男だから、見てみたいって気もするけど。

「妹よ、俺にこれ以上罪を被せるのはやめてくれないだろうか」

『大丈夫だよ。見ても見なくても、お兄ちゃんはたぶん社会的に生きていくことは不可能だから』

………分ってますけどさあ。

『それはそうと早くその子の胸の音を聞かせてよ。そうすればだいたい体の状況分るから』

ああ、なるほどそういうことか。でも、この子は何故か触ると少しひんやりしてて、胸の音とかあまり聞こえないんだよな。

 念のため首の辺りで脈を取ってみる。ひんやりとした肌は何も波打つ気配が無かった。

 ………医学のこととか少しでも頭に詰め込んでいればよかった。

「服の外側からじゃダメなのか?」

『ダメ』

………さいですか。

 俺は立ち上がり女の子に一礼してから制服のボタンを開けていく。人のを脱がすというのは案外難しいと初めて知った。

 ………ここでラノベとかだと女の子が目を開いたりするんだよな。

 俺は女のこの顔を確認する。

 大丈夫だ。まだ大丈夫だ。

 そうこうしている内に上半分ほどボタンを外した。はらりとはだける制服から覗かせるのは空色のブラウスと、真っ白な肌だった。空色のブラウスはふくよかに膨らんだ果実をやさしく包んでいた。

 ………不肖この優一、彼女がほしいほしいと日々騒いでおりますが、今まで見知らぬ女の子の胸なんて見たことが無く、まったく耐性が出来ておらずこれまでを過ごしてまいりました。

 こんなの見せられたら………見せられたら………

『お兄ちゃん?どうしたの?早くしてよ』

「………………ふう、あぶねえ」

幸の声で俺は正気を取り戻す。

「悪い………えっと、これでいいのか?」

俺は女の子の胸にマイクをつける。

…………

『うんオーケーだよ。お兄ちゃん』

「お、おうそうか」

『うん心臓もちゃんと動いてるからもう少ししたら起きると思うよ』

「そ、そうか」

良かったと胸をなでおろす。何もかもが良かったとは行かないが、一先ずは良かった。

『それでお兄ちゃん、これからどうするの?』

「?そんなもん………」

言われるまでも無く服のボタンを閉めてそれで終わりだ…………ろ……

 ふくよかな膨らみを目も前にして俺の腕が止まる。


 俺の中の悪魔が囁いた。


 目の前に、胸を出した無防備な女の子がいます。どうしますか?


 俺の耳にも、悪魔たちの声が届いた


『なあ、優一氏よ。………以前こんな話をしたのを覚えているか?

 お前が今目の前にしているであろう女の子の胸!それは非リア充ならば、誰もが夢とする未知の聖域。男たちはみな、その未知に包み隠されたところにロマンを持ち、夢を描く。

 そしていつしか、その夢は目標に変わる。俺はお前らより長く生きてきた。それも人生の分岐点とも言える春多喜学園でだ。俺はたくさん見てきた。夢を目標に掲げ、努力を怠ったものの末路を。

 夢は叶えなけりゃあ、いつまでも抱えた願望でしかない。それはお前も分ってんだろ?お前の掲げた夢は今こそ現実の一歩手前まで来ているんだろ?だったら、決まってるじゃないか――――。


やっちまえよ』


『お兄ちゃん、やっちまえよ』


『東堂、やれ!』



 俺の手は、みんなの冷たい声援を受け、前に伸ばされる。


 俺は新しい世界に、飛び出そうとしていた。


 世界のしがらみも関係ない。


 ただ、おっぱいを触りたい!その願望のためだけに、俺は手を伸ばす。


 今まで、おっさんのことを変態だとか言ってたが、


 俺も変態かもしれないな。


 ふにゅ。


 その感触はとても柔らかく、確かな温もりがあった。


『『『そうすれば』』』


悪魔たちの声が重なる。


『『『きっと終わるから―――』』』

………?

 今聞こえた声で我に返ったらとんでもない事やってたってことで状況確認で俺は女の子の顔を覗き込む。

 プルプルと女の子は震え、状況が分らないと言う顔で、なおかつ目を涙に潤ませていた。

 はあ、俺は何て馬鹿なんだろうか。自分のアホさ加減には溜息しか出てこないぜ。

 何で俺はこんな女の子の胸を、あんなに爽やかに揉んだりしていたんだろうな。

 変態としか言いようが無いぜ。

 読者の皆さんに先に断っておかないとな。

 俺、今まで散々真面目キャラアピールして来ましたけど、エロになるとだめなんですよ。おっさんほど じゃないけど。

「……きゃ」

分ってる。この後起こることも全部。この後やらねばならないといけないことがあるってことも分ってる。

 謝ろう。心から。どうせ触っても触らなくても結果は同じ、嫌われ、明日からは社会のゴミ扱い確定なんだから。

「きゃあああああぁぁぁあぁぁああぁ!!!!!!!????????」

「すいませんでしたああああぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」



 俺は今後リア充になる可能性を、完全になくした。





ぜんぜん続きます。

たぶん明日ごろにでも。

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