やばすぎる匂いがプンプンしますな
続きです
「で、岬先生。具体的にどうすんの?」
春多喜学園、一の七の教室で俺たちは、宿敵川西をどうするか作戦会議を開いていた。
「ん?何も考えてなぞいないぞ?」
…………?
「……………何故ですか?」
「何故この私が考えなくてはいけないんだ?」
…………?
「………どうするんですか?」
「どうしようかを今から考えるんじゃないのか?」
考えも無しに俺たちは集められたのかよ。
「まあ問題ないだろ。ここにはなかなかくせのある奴らばかりだ。嫌がらせに関しては、私は一般人より群を抜いてるし、ここには私よりも最高に面白いことを考え付く天才もいるしな」
幸は「えへへ」と言いながら頭を掻く仕草をする。
確かに今ここにいるのは逮捕されてもおかしくない変人二匹と、すでに大学卒の幸がいるからな。
そういう意味では今この場においては俺と佐奈はイレギュラーになるかもしれない。
「で、天才に一つ聞きたい。どう責めるのがいいと思う?」
岬先生は、満面の笑みで含みのある言い方で幸に問う。
「やっちゃってもいいんですか?」
そして答えた幸もものすごく笑顔だった。
………ものすごくいやな予感しかしない。幸、たまに人道的ではなくなるからな。さっきのアレみたいに。
「いいぞ。すべてこいつが責任を取ってくれる」
そういって岬先生は俺のほうを指差す。ほう?この俺がすべて責任を取るだと?あんたが仕返ししたいという理由で俺たちを集めたというのに俺にすべて責任を押し付けるだと?まったくもっていい根性じゃないか。女性じゃなかったら殴り倒していたところだ。
「でもやっちゃうと川西先生辞めちゃうかもしれませんよ」
いいんですかと続ける幸は、変わらず笑顔だった。
ふむ………やばくない?だってやっちゃったら先生学校辞めちゃうかもしれないんでしょ?さすがにやりすぎじゃない?
「かまわん、かまわん。ドンとやれ。学校辞めるどころか、もう二度と表を歩けなくさせてやれ」
………先生は乗り気だけどさ。
「ふむ私も派手に絡ませてもらおうか、岬氏に幸氏よ」
………変体おっさんも乗り気だけどさ。
「やったー。久しぶりに派手にやっていこー!」
………妹も超やる気だけどさ。
「み、みんながやるなら私もやろうかな」
………もういやだ。こいつらの相手をするの疲れた。
「で、最後は優一氏、お前だけなのだが?」
「はあ」
俺はまた、溜息を漏らしていた。
せっかくの高校生活が始まったというのに、周りみたいに彼氏彼女なんてできなくて、そればかりか、変わり者しか俺の近くにはいなくて………。
毎日溜息しか出てこない。
だけど、少なくとも、ここをつまらないと思ったことは一度もなかった。
俺の高校生活は充実しているか聞かれたらまず間違いなく、充実していると答えるだろう。
だから、俺の答えは、決まっていた。
「やるよ」
俺も、結構変わり者なのかもしれない。
まだまだ続きます(たぶん)