私が落ちたわけ
こんにちは
雅改め椎名 しえるです。
身勝手ながら名前を変えさせたいただきました。
これからは少しずつですが更新させていただきますので、よろしければ見てください。
「ああ、今日も疲れた」
ピシッとしたスーツ…ではなく、よれよれしたGパンに色褪せたTシャツという服装で歩く私―井立 紗柚は全くの無表情で呟いた。
紗柚はパッと見、かっこいい青年だが、れっきとした女である。表情が乏し
・・・
いだけで、至って普通の造形師だ。
「さっさと帰って寝たい…」
どんなにだらしなくても、女だ。
私ははっきり言って服装など興味ない。造形には関係ないからな。
無表情でも接客する仕事ではないから関係ないし気にもならない。
ふと、紗柚は呟いた。
「つまらない」
何もかもつまらない。
まだ仕事をしているときはいい。無心になれるから。
しかし終わった後はつまらないことこの上ない。
やることがない。やりたいと思うこともない。
疲れもたまり、なおのこと無表情に磨きがかかる。
紗柚は、非常に冷めた思考の持ち主だった。
『では、面白くしてやろうか?』
だからだろか。
普通ならあり得ない、不思議な声に頷いてしまったのは。
「出来るものならやってみろ」
次の瞬間、紗柚の体が地上から消えた。
私は落ちたのだ。穴などなかったあの道路から、突然。
「うわわわわっ!」
さすがの私でも、突然地面が消えたら驚く。
すると、落ちていく闇の中から笑い声が聞こえた。
『クスクスクス…これからもっと楽しいことが起きるよ』
思わず、闇に手を伸ばす。無意識の行動だった。
何もないと思っていた闇から手が伸びる。
「え…?」
身体は重力に逆らい、横に、腕が引き寄せるまま闇に飲み込まれていく。
・・
悲鳴など上げる暇もなく、意識を失った紗柚に、何かは囁いた。
『ようこそ、紗柚』




