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時代考証? 知らんがな。



「むっかしーむっかしープロメテウスがー」


「姫様今日もご機嫌ですねー」


「いやー、新しい魔法の開発に成功したんですよ」


「姫様は相変わらず変人ですねー」



やっはろー、全ギリシャ文明圏のみんなー、ギリシャ神話のアイドル、メディアちゃんだよー。


いや、まあ、なんというか、元日本人の男なんですけどね。今流行の神様転生ってやつです。神様ってあんなんだったんだねーっていうか。


いやあ、直視したらSAN値下がるぜあいつら。


まあ、元は駅弁大学でて適当な会社に勤めていた元オッチャンなんですけど、マナーの悪い若者が振り回していた傘で眼球刺されて死にました。


あいつらマジ世紀末ですね、日本の未来を憂います。「これだからゆとりは…」などとお年を召した方々にありがちな視野狭窄な回顧主義に囚われる暇もなく、この世からログアウト。


気が付いたら虹色っていうか、水面に浮く油膜が光を散乱しているような良く分からん空間にいました。自分の未来というか死後を憂いましたとも。


それで、まあ、分かりやすく言えば神様に会ったわけです。


未知との遭遇。そのお姿は、端的に表現するなら虹色の《泡》でございました。人間良く分からない状況に置かれると、逆に冷静になるっていうか。


あ、自分が死んだのは神様のせいってわけじゃないらしいですよ。でも、たとえ神様のせいでも責任はとらないとか。蟻とか踏みつぶしても責任取る奴いないよね的な。


それで、その神様っていうのがすっかり日本のサブカルに嵌っておられたみたいで、最近流行のアニメとかラノベ的なことを片っ端からやっておられるそうです。


あれですな、神様の暇つぶしらしいんです。お戯れという奴ですね、分かります。ちなみに唯一神でございますかって聞いたら、そんなわけないじゃんとのこと。


神様っていうのも人間視点からの表現で、人間以上の次元にいる存在なら神様って名乗っていいよね的なそういう存在らしいです。


というか、下等な知的生命体が勝手に自分のような存在を神様と定義したのだとか。


日本が外国にはJAPANって呼ばれるのと同じですねって言ったら、それは違うとダメだしされました。解せぬ。


どっちかって言うとお前ら人間がイルカに無断でイルカって名付けているのと似ているのだとか。良く分かりません。


まあ、逆らってもしかたがないので適当に相槌打ってました。もちろん敬語使ってましたよ。その気持ち悪い媚びた表情とその間違った敬語を止めろって言われても止めませんでした。


自分、長い物には積極的に巻かれに行くタイプですので。えへへ。


んで、まあ、なんというか、オーダーはある? って感じで軽い感じで聞かれまして。30を過ぎて童貞だった俺様はこう言ったのです。



「魔法使いになりたい!」



と。インターネットで30を超えてチェリーボーイであると魔法が使えるようになるらしいという都市伝説を信じていた自分としては当然のオーダーでした。


『わらべのみかど』になるために、日々女性との接触を自粛してきた自分としては、大魔導士になって憎きリア充どもを爆発させ…、じゃなくて悟りを開いて賢者になりたいと思っていましたので。


結果として、まあ、魔法使いにはなりましたよ。正確には魔女だがな!


紀元前13世紀頃に成立したとされるコルキス王国は、黒海の東岸の肥沃な大地グルジアにあり、この地はブドウの原産地、ワインの発祥の地とも言われている。


古代ギリシャ文明の影響圏にあるらしく、というか正確には今はミケーネ文明あたりなのだけど、宗教的にはギリシャの神々を信仰しており、というか王様が神様の血を引くとされている。



さて、私は魔女である。


父親がコルキス王国の国王で、同時に建国者でもある。まあ要するに私はお姫様として生まれました。


はい、ここで察しのいい人は事情が読み込めていると思いますが、つまり私はかの有名な魔女メディアなわけです。


ご期待にそうように、エルフ耳です。ああ、聖杯を奪い合う某ゲームとは関係ないですよ。銀髪ですがね。


父は太陽神ヘリオスの息子であるアイエテス、母親は海神オケアノスの娘であるエイデュイア。


この世界マジで神様がいるようで、ぶっちゃけて言えば私、人間じゃないっていうか、神様の血をダイレクトに引いているらしいです。


まー、神様っていっても不死でもなんでもない下っ端の神様予備軍なんですがね。


まあリシャ神話とかほとんど知らねーっていうか、特にオタクだった頃は興味もなかったわけですが、件の某ゲームで魔女メディアが登場するわけですよ。


つまり彼女が辿った悲劇的なというか数奇というか、アレな人生について大まかには知っているわけで。


いや、まあ、碌な人生おくらないんですよね、魔女メディアって。


なんか、国宝《金羊毛》を奪いに来たイケメンに、愛と美の女神アフロディーテに吹き込まれた呪いで一目惚れ。


父親を裏切って、イケメンのために国宝を奪う手伝いをした挙句、逃亡のために腹違いの弟を微塵切りにして海に撒いて、軍が義弟の死体を回収している間に逃げるなんて超外道なことをすることに。


外道はとどまるところを知らず、イケメンの父親から王座を簒奪した叔父を鍋で煮殺すなど、しかしそれは全てイケメンのため。


だけどヤンデレ魔女に恐怖を抱いたイケメンは子供も出来ていたのに、他の王女様と結婚してヤンデレ魔女を捨てる。


これに怒ったヤンデレ魔女はその王女様とかぶっ殺したあと、ギリシャを放浪することになりましたと。



死にたい。



というか、イケメンとまぐわって子供を作るとかがありえない。情操教育でお姫様っぽく振る舞っていますが、中身はオタクのおっちゃんなので、アッー! 的な展開は勘弁してほしいっていうか。


自分、女の子が好きなのです。姉のカルキオペ姉様とか、お母様が超絶美人でとても良いです。さすがに神様の血を引いてると違います。


というわけで、運命を変えるべく今日も今日とて魔術のお勉強です。目標は神様の我がままに付き合わないぐらいの実力をつけること。


ギリシャの女神はクソ怖い連中ばかりで、メデューサさんやラミアさんみたいに単なる嫉妬で化け物にされてしまうなど、神話の世界は色々と生きにくい世界なのです。



「というわけで、ヘカテー様ヘカテー様、魔法を教えてくださいなっと」



厳かな雰囲気の神気に満ちた大理石の神殿で、私は瞑想します。神降ろし的なものですね。自称《巫女巫女通信》。


これでも巫女さんというか、司祭ですので。


魔女の神様である女神ヘカテーはコルキス王国の守護神でもあり、月と魔術、幽霊と子育て、豊穣、浄めと贖罪を司る女神様。それに使える巫女が私。


女神ヘカテー様はオリュンポス十二神ではないにしても、その他大勢の神様とは違い、わりとギリシャ神話でも別格の存在として敬われている偉大な女神さまです。


つまり、偉い神様。長いものに巻かれるのは元日本人の美徳なのです。敬ってますよ、信仰してますよ。何しろ貞操というか、生死というか、人生がかかっていますので。


そういえば、今日までいろいろありました。


生まれた時は混乱してオギャアオギャアと泣いて、美人さんたちのおっぱおにむしゃぶりついたり、オシメを替えられたり、おっぱおにむしゃぶりついたり、裸を見られたり、色々と恥ずかしい目にあいました。


おっぱおは柔らかかったです。


言葉を覚えるのも大変でした。英語とかそういうレベルじゃねぇぜ的な。でも転生特典と言えばいいのか、魔法を使う才能には言葉を覚える資質が付属していたようで、一般的なレベルで言葉も覚えました。


今では古代ギリシャ語から古代エジプト語、アッシリア語まで話せるように。マルチリンガルです。頭がパンクしそうだったぜ。


まあ、こういうのも王族というかお姫様の嗜みなのでしょう。ちなみにダンスはありません。この時代、そこまで文化が成熟していないのか、ご飯は手掴みですし、優雅さには程遠い生活です。


なので箸を考案してやりました。手が汚れるのが嫌だからと言ったら、何故か流行った。この時歴史が動いた。


ただし、琴を弾くのは王族の嗜みなのか、家庭教師付きでみっちりと教え込まれました。


まあ、ゲームのBGM、クリスタルを巡る冒険譚《最終幻想》のオープニングを弾けるようになったのは自慢ですけどね!


この曲も何故か流行った。二千年後まで継承されても知らん顔をしよう。この時代にはまだJASRACないしな。


初潮とかの女の子的な面倒事も魔術でそれなりに対処できるようになったりして、最近では結婚を考えても良い年頃になってしまったのが悩みどころ。


つまり、不幸フラグがビンビンなわけです。決戦の時は近し。このために色々と対策を立てました。



「こんな感じでどうでしょうかヘカテー様」


「すばらしい魔術ですメディア。貴女は独創性があって、教えている私も勉強になりますね」



ヘカテー様の前で私は小さな金の欠片を生み出してみた。いわゆる錬金術という奴で、水銀から純金を作って見せたのである。


ある元素から異なる元素を生成するのは奇跡の類なのだが、前世の時代においては現代科学においても実現はされていた。


要は粒子加速器で水銀198にベリリウム8をぶち込んで核融合させればいい。そうすると崩壊を繰り返して金が出来上がる。


魔術の女神であるヘカテー様に積極的に魔法を教えてもらい、頼み込み、その成果が核融合による元素変換である。


原理はまあ、幸運にかかわる概念を応用してトンネル効果とかそういうの。


太陽神の血筋である私は、元素生成との相性は比較的悪くない。ちなみに、《海》に関わる魔法も得意である。



「これでアフロディーテ様とかヘラ様の呪いを退けることも出来るでしょうか?」


「貴女の話していた件ですね」



ヘカテー様には私の前世の記憶がバレている。


まあ、相手は魔術の女神で超格上の存在、こっちは女神としての資質はあっても駆け出しのペーペー。自分で話さなくても、相手が勝手に理解してしまうのです。


特に彼女には長い間師事していて、現代日本人特有の奇行からその正体を看破されてしまいました。ええ、ゲロりましたよ全部。



「貴女の魔術の腕があればエロースの黄金の矢の呪いをも阻むことが出来るでしょう。私が保証します。今までよく頑張りましたね」


「ありがとうございますヘカテー様! 嫁にしてください! おっぱい揉ませてください!」


「お断りです。貴女は元男とはいえ、今は魂も全てが女。いずれは男に嫁ぎ子を育むのが務めでしょう」


「勘弁ください」



何故に自らすすんでイケメンをリア充にせねばならんのか。私は王宮の一角でのほほんとお姫様ライフを楽しんでいたいのである。永遠に。


魔女の釜でコトコト薬を煮込んでいたい。姉様やカワイイ侍女たちにセクハラしたい。働きたくないでござる! 絶対に働きたくないでござる!



そんな感じで今日もヘカテー様と漫才に興じながら魔術を研鑽する。


魔術は楽しい。空も飛べるし、DQNを豚に変身させることもできる。魔法薬なんてオタク心をくすぐるのである。


魔女の釜で黄金を作るというのはなんというかマッドではあるが、科学的に見ればシュールな話。鍋から皮がパリパリのアップルパイが出てきたときにはどうしようかと思った。


あと、小市民的に魔法を金儲けに使ったりとか。ほら、今は王女様だけど、いつ女神様の嫉妬を買って放浪する羽目になるか分かりませんから。


魔法はお金になる。これ重要。海水中に含まれる微量な金銀を集めるフリッツ・ハーバー的な思想も、魔法なら採算が取れてしまうのだ。


海水中には1立方メートルあたり0.0001mg程度の金と0.001 mg程度の銀が含まれている。コルキスは黒海沿岸地域なので海水から電気分解で余裕でした。


あとは、製造した純金と純銀のインゴット、副産物の大量の塩を父親の目の前に置いたら、色々と土地とか施設を用意してくれた。


まあ、言うほど取れないんですが、エネルギー源を地熱にして完全に自動化してやると小遣い稼ぎにはなるというか。


魔法って便利ですね。個人レベルでこういうのが作れてしまうあたりはびっくりです。この時代だと金相場とか細かいしがらみもないんで。


塩は腐るほど取れるんですけどね。


今では軌道に乗って、それなりに大きな建物を海岸に作ってもらっていて、経済が困らない程度に小遣い稼ぎをやっています。


でもそのせいで、ギリシャ中に金を生み出す魔女として知られてしまいました。大失敗ですね。求婚が相次いでいます。


攫われかけたりもしました。困ります。エロゲー的展開は困るんです。捕まったら十中八九凌辱エンドじゃないですかー、やだー。


あと転生者なんですが、別に国が貧しいわけでもないんで、内政チートとかそういうのはパスです。ぶっちゃけて言えば政治とか面倒くさいですし。


つーか、魔法使いとして自立して、旅に出るのも楽しそうですね。ああ、そうだ旅に出よう。結婚とかしないで、適当に世界中を回るのも楽しそう。そして世界中の美少女のおっぱいを揉むのだ。


紂王から妲己を寝取り行こう。


でもまあ、製鉄については少し関わってみた。ヒッタイト帝国が滅ぶ頃に拡散する技術であるものの、魔法を使えば簡単に精製できる。


魔法を使わない場合でも、要は高温を得て炭素で還元すればいいのだから、理論さえ分かれば、後は試行錯誤である。


石炭はとれるので、あとは適当に鉄鉱石を探させればいい。銅が豊富な地域なのだけれど、鉄が取れないわけではない。私は働きません。お姫様ですので。上から命令するだけです。


まあ、そういうことを遊び半分で研究しながら失敗したり、失敗したり、失敗したりして国民の皆さんに迷惑をかけつつやっていたのである。


もちろんメインは魔術の修行と研究ですけどね。そうして日々を過ごしていると、ある日、一羽のハトが私の部屋に飛んできた。





大理石の部屋には羊毛で作った絨毯やタペストリーが彩っていて、部屋の隅には大きな花瓶に青いバラが活けられている。


レバノン杉で作られた木製の家具はシンプルなデザイン、電灯なんていう未来の利器は存在しないが、油をささずとも消えることのない魔法のランプは煌々と夜の闇をかき消している。


本棚には様々な国の言語で書かれた多種多様な魔法書が積み上げられていて、どれも気の遠くなるほどの価値を持つ貴重なものばかり。


白亜の宮殿の、女性だけしか入れない男子禁制の後宮の一角に、王女メディアの部屋はある。


王女メディア。コルキス王国の至宝。美しい銀色の髪の、大理石のような透き通った肌の、貝紫の絹のドレスを身に纏う神域の美姫。


そんな彼女の部屋の南側の開けた窓、外にでる事が出来るテラスの向こうから一羽の白いハトが部屋に入り込んできた。


姫君は憂いた表情で右手に止まったハトを撫でた。



「そうか、来てしまいましたか」



姫君はそう呟くとテラスに出てハトを解き放つと、彼女は海の方角を眺めて深い溜息をつく。


魔術や学問の才に優れた才色兼備の美しき姫君として、あるいは色々な風変わりで便利な品を発明する変わり者の王女として良く知られる彼女の一挙手一投足はいつも国中に驚きをもたらしているが、


そんな彼女のこのような表情は珍しい。彼女に仕える侍女の一人が気になって敬愛する姫君に何事かと問いかけた。



「運命が来たのだと、鳥が告げたのです」



物憂げな表情で意味ありげな言葉で王女は答える。


そして王女はドレスを円錐にフワリと舞わせて華麗にターンして、悪戯っぽくクスリと笑うと、話しかけた侍女の頬に触れ、そして流れるような仕草で侍女の後ろに回り込み、おっぱいをこれでもかと揉みしだいた。


恐るべき三次元立体運動。



「や、やめてください姫様!?」


「よいではないかー、よいではないかー」


「ん、あっ…、ひゃめぇ…」


「ふへへへ、ここがええのんか? ええんやろ? ほーれほーれ」



この悪癖さえなければこの人は完璧なのにと、周りの侍女たちはそう思った。







「金羊毛を譲っていただきたい」


「ならん。金羊毛は我が国の宝、そのような理由でそうそう渡せるものか」



父であるコルキス王アイエテスに謁見するのは、わざわざボスポラス海峡を渡ってやってきたアルゴー船の面々たち、アルゴナウタイ。


彼らを構成する船員たちは筋肉隆々の屈強な男たち、あるいは詩人風の優男もいる。そのリーダーはイオルコスの王子イアソン。なかなかに精悍な顔立ちをしたイケメンである。


このイケメンのイアソンは王位を簒奪した叔父から王権の回復を迫ったが、これに対して叔父のペリアスはイアソンに対して金羊毛とってくれば王位譲ってやるという難題を突き付けた。


そうして叔父の甘言に騙されて、イアソンはバルカン半島から黒海の東の端までわざわざやってきたのだ。


アルゴナウタイはイアソンが募集した船員たちであり、彼の呼びかけに答えてギリシャ中から選りすぐりの勇士たちが集まった。


この50名の勇士として、後世に伝わるギリシャ神話や叙事詩でも名の知られる英雄たちが集まっており、オルフェウスだとかアスクレピオスなんていう私でもよく知る者もいる。


本当はこの謁見には同席したくなかったのだが、色々な偶然が重なってこの場にでる事になってしまった。


神の呪いか、あるいは歴史の修正力か。司祭の仕事とか、研究が忙しいと言っているのに、母が調子を崩したとか、姉様が一緒に会ってほしいとか、父王が同席しなさいとか、正直やめてほしい。


横ではカルキオペ姉様が息子のアルゴスとの再会に感動で目を潤ませている。


このアルゴナウタイの面々の中にはアルゴスというカルキオペ姉様の息子、つまり私の甥である青年が参加している。


ちなみに姉様の夫であったプリクソス様は、この地の金羊毛をもたらした人で、わりと有名人である。


プリクソス様はボイオティアの王子であり、デルフォイの神託によってゼウス神への生贄にされかかった人物だ。


その後、ヘルメス神が遣わした翼を持つ金色の羊に乗って逃げる事に成功し、コルキスにやってきた。彼は金色の羊を手土産として父王に取り入り、我が国に腰を落ち着けたのである。


彼は後に姉カルキオペと結婚して、子をもうけたが、父に王位簒奪の容疑をかけられて殺されてしまった。この世界の人間の命は恐ろしく軽いのである。


で、プリクソス様はイオルコスの王の親戚筋にあたるらしく、イアソンはイオルコスの王子。イアソンはその関係でずうずうしくも金羊毛の所有権を主張してきたのだ。



「無理のある説得だねぇ…、ん?」



ぼやいていると、なんだかヨンヨンと天上から呪いが降ってくる。イアソンに惚れろ光線である。ふっ、効かんぞ。貴様のやり口はまるっとお見通しなのだ!


私はお澄まし顔でアルゴナウタイの面々を眺めた。イケメン揃い。そういえば、高名なヘラクレスは途中で脱落したのだとか。残念である。サイン貰おうと思ったのに。


と、ふと目を引く存在があった。むさくるしい男どもに紛れる、なんとも表現できない清涼な空気。一人の少女、紅一点に私は目を奪われた。


少しばかり乱れた、しかしそれが逆に魅力となるような見事な金髪、簡素な緑色のドレスで身を包みながらも、その醸し出す高貴で気高い雰囲気に私は不覚にもドキリとさせられた。


それは、いままで見たこともないようなタイプの美少女。



「あの…」


「どうしたメディア?」


「いえ、男性の方々に紛れて、美しい女性がおられましたので」



美少女が眉を動かす。まるでオオカミか虎のような大型肉食獣を思わせる野性味の溢れ、しかしそれでいて人間の女としての美しさを兼ね備えた少女。


ヒトのカタチをした美しい獣。その強烈な個性を感じさせる彼女に私は目を離せない。



「お主、名をなんと申す?」


「吾はアタランテ、アルカディアの狩人である」



古めかしく、女性らしくない言葉遣い。


だがその声はどこまでも涼やかで麗しく、私は頬を紅くしてしまう。うわっ、これ惚れた。イアソンじゃなくて、クマさんに育てられた野生児に惚れちゃったよ。


どないせいっちゅうねん。うわー、うわー、こっち見てる。こっち見てるよ。目とか合わせられないしっ。



「か、狩人をなされているのですね。男所帯に女一人と言うのはさぞ大変だったのでは?」


「何も問題などない」



父様が私を見て、吹き出しかけている。


うむ、なんというか、これは初恋というヤツである。前世でも好きになった女性などなくて、アニヲタコミュ障だったのに。


ないわ、このタイミングでこれはないわ。愛と美の女神のイアソンに惚れろ光線も、戸惑うように弱弱しくなる。



「ならば条件を出そう」



父アイエテスはイアソンに一つの難題を送り付ける。だが、それは火を吐く牡牛で大地を耕し、竜の歯をまくというものだ。これは割と死ねる。


火を吐く牡牛も難敵だが、竜の歯も問題だ。色々な伝承がある曰くつきのマジックアイテムであり、大地に撒くと武装した骸骨の兵士、ドラゴン・トゥース・ウォーリアが出現して襲い掛かってくるのだ。


叙事詩では王女メディアが魔法で火や剣でも身体が傷つかなくして、同時にドラゴン・トゥース・ウォーリアへの対策を伝えるわけであるが、当然、私にはそんなことをする義理は無い。


正直言って、イアソンが焼かれようが、竜牙兵に集団リンチされて殺されようが、全く知ったこっちゃない話だからだ。


とはいえ、このままでは神々が何をするか分かったものではない。


イアソンを守護するのは女神の中の女神であるヘラで、手段を択ばないことで定評のあるヒステリックなヤンデレ女神様だ。


ギリシャの神にはまともな奴はいないのか。私にとっては金羊毛なんてどーでもいいので、ちゃっちゃと持って帰ってもらうに越した事はないのである。





「姫様が悩んでおられるわ」


「どうしたのかしら、心配だわ。主に私たちの身の上が心配だわ」


「ああいう風になられた姫様って、その後だいたい奇行に走られるのよね」


「ま、また胸を揉まれるのかしら?」



その夜、私はこの先どうしたものかと悩んでいた。女神の呪いこそ阻んだものの相手はギリシアの神である。


彼らの無邪気とも思える行為は、時に彼らの事情に特に関わりを持たない人間たちの運命を狂わせ弄ぶのである。


神話ではよくある事とはいえ、私の新しい祖国でそんな傍若無人を許したくはない。


神話的には何が何でも《金羊毛》がイアソンの手に渡らなければならないわけで、それを妨害して彼らを祖国に手ぶらで返すというのは神々を敵に回しかねない。


よって、父になんとしてでも《金羊毛》を手放してもらう必要があるのだが、何をもって父を説得すべきか。



「《金羊毛》に匹敵する価値のあるものを要求するというのが筋だと思うのだけれど…、って、そうそう当たるものではない!」



次の瞬間、私は座っていた椅子から転がる様に身を投げ出して黄金の光を回避することに成功した。


動揺しだす侍女たちを横目に私はそのまま黄金の光が放たれた場所に腕を伸ばした。私の手は部屋の隅の、魔法の灯の影に隠れていた少年の頭部を掴みとり、これを引きずり出す。



「痛たたたたたっ!?」


「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ」


「分かったから、止めてっ」


「何かと思えばエロース様じゃないですか」



エロース。エロを奉ずる神ではなく、キューピッドとしても有名な恋を司る神様であり原初の神々の一柱である…のだが、とにかく悪戯好きで、当たった相手を恋煩いにしてしまう金の矢と、恋に幻滅する鉛の矢を面白半分で周囲に撃ちまくる極めて傍迷惑な神様だ。


一目惚れというのはだいたいにしてコイツのせいである。


有名な逸話にはからかわれたことに腹を立ててアポロンに金の矢を、通りすがりの少女であるダフネに鉛の矢を撃って一騒動を引き起こした経歴がある。


結果としてダフネはアポロンから逃れるために父である河の神に請うて月桂樹へと変わってしまった。神話ではよくあることである。



「…それで、何しようとしてたんですか?」


「い、いや、別に何にも…」



私の視線から逃れようと目をそむけながら、あたかも自分は何もやってません的な表情で言い逃れしようとする美少年。イケメン有罪。


そっちがその気ならば、私は悪魔らしいやり方で彼が自発的にお話をしたくなるように小噺をしましょう。



「なるほど。ところで、こんな逸話を知っていますか? ある王国の末の王女プシュケーに愛の神クピドが愛の弓矢を射ようとした時のお話です」


「え、クピドって僕の事なんじゃ…」


「まあまあ、お聞きなさって下さいな。しかしクピドはちょっとした手違いで弓矢を撃ちそこない、自分を傷つけてしまったのだとか。そして愛の神であるクピドは自分の力によって王女プシュケーに恋に落ちてしまったのです。さて問題、ここに先ほど貴方が撃ち損なった黄金の矢があります。…あとは分かるな?」


「え、えっと…」


「もちろん『恋する対象』の変更はありません。とはいえ、原初の神々の一柱であるエロース様が自らの力の一端である黄金の矢に影響されるなんてあるわけないですよね。フフーフ」



私は壁に刺さった黄金の矢を手にします。もちろん笑顔で。そうだ、こいつを女装させてイアソンとアッー!! なことに処してしまうのはどうでしょう。


この美少年顔なのだし、この世界では衆道はそこそこ普通ですし。ヘラクレスとか代表的なイイ男ですよね。



「わわわ、分かったよ! なんでも言う事聞くから!!」


「ちょろいぜ」



そうして恋を司る神エロース様は、私の誠実な説得によって心動かされ、女神の策謀に加担することをお止めになられたのでした。





「お父様、少しいいでしょうか?」


「なんだメディア? …と、その男は?」


「愛の神エロース様です。さあ、先ほどゲロられた事を洗いざらいお父様の前でリピートしていただけますか?」



エロース様をお連れして夜酒をたしなんでいた父に会いに行く。エロース様は何故か魔法の縄で縛られていて、逃げ出したりとかできなくなっている。


このエロ神に洗いざらいの事を父の前でゲロ…、偉大なる愛の神エロース様に真実をお話になってもらい、すなわち女神たちの恐るべき思惑を父に理解させるためだ。


また今後の展開について一悶着ありそうなことを一言伝えておかなければならない。あの我儘で知られる女神様がこのまま何もせずにイアソンを殺させるなんてことはないと考えて動くべきだ。


エロース様は私に促されるままに今回の顛末を語り始める。


アフロディーテ経由でヘラからの要請があった事、報酬はヘラがヘスペリデスの園で栽培しているという黄金の林檎である事。


彼が話し終えると私は約束通り彼を縛る戒めを解き放ち、彼は背中の翼で半泣きになりながら帰って行った。


あー、誰だろう、神様を拘束した挙句、黄金の矢まで何本か奪ってしまうなんて。ひどいやつだなぁ。



「神々がそのように考えていたとは…」


「先ほどのアルゴー船の方々との席で、女神アフロディーテ様から呪いをかけられそうになりました」


「なんと!? どういうことか?」


「おそらくは、女神ヘラ様の要請によるものかと。イアソン様には強力な女神ヘラ様のご加護があるようですので」



ヘカテー様によるなら、イアソンはギリシャ最高位の女神であるヘラの強力な加護を得ているようで、アフロディーテは特に関係がないものの、ヘラによる要請を受ける形で私にイアソンに恋に落ちる呪いをかけたらしい。


まあ、効かなかったがね。別の女に一目ぼれしたがね!



「大丈夫なのかメディア?」


「はい。ヘカテー様の加護がありましたので。しかし、神々がこれで諦めるとは思えないのです。何らかの形でイアソン様に金羊毛を手に入れさせようとするでしょう」


「ううむ…、しかし金羊毛は我が国の宝。そう簡単に手放してしまっては儂の威信にかかわる」


「供物を使って女神ヘラ様のご機嫌を伺うことも可能とは存じますが、なにぶん気まぐれな方々ですので、下手なことをいたしますれば王国やお父様に災いが降りかからないとも限りません」



父王は考え込む。


まあ、この人も神の血をダイレクトに受け継いでいるヒトで、太陽神の息子なのだが、いかんせん神様コネクションが不足しているヒトなので、流石にオリュンポス十二神に名を連ねる女神様の所業を止める事は難しい。



「条件を変える事はできませんか? おそらく金羊毛を彼らに渡すのは神々のお定めになった運命でしょう」


「いかにする?」


「対価を、馬を要求してみては? 北方の蛮族は素晴らしい馬を持っているとか」


「考えてみよう」



お父様はそう言うと私を下がらせた。まあ、こんな所だろう。新しいが達成可能な難題を出すことで、女神たちの矛先もこの国から別の所に向くだろう。


そうなれば、この件は私から関係なくなり、私は平穏な人生を取り戻すことが出来るはずだ。


でもそれで良いのか。あの美しいアタランテの事が気になって仕方がない。初恋は実らない的なジンクスはさておき、眺めるだけでも楽しそう。


どうにかして近づけないか、そんな風に思って部屋に戻ると、途中で侍女から姉様が会いたがっているとの言付けを得る。


何事かと思い私はカルキオペ姉様の部屋を訪れる。ちょっと嫌な予感。


部屋のレイアウト自体は私の部屋と瓜二つだが、色は赤色が好きらしい。テラスの前で姉様は物憂げに月を眺めていた。


久しぶりに愛する息子アルゴスに会えただろうに、どこか困っているように思える。



「こんばんは、良い月ですね、姉様」


「ああ、メディア。実はお願いがあるのだけれど」


「…嫌な予感しかしません」


「実は、イアソン様を助けてほしいのよ」



なるほど、運命というのは私を、メディアという登場人物をアルゴー船に関わらせようとしているらしい。


この分だとまたイアソンに惚れさせようという呪いがかけられかねない。あるいは、姉様が何らかの呪いの犠牲になるのだろうか。少し状況を甘く見ていたようだ。



「アルゴス様から頼まれたのですね」


「ええ、まあ、そうなんだけれど」


「ですがそれではお父様を裏切ってしまいます。それに、協力したことがバレたら私はこの地にはいられなくなってしまいます」


「…ん、そうよねぇ。どうすればいいのかしら? イアソン様に会ってみてはもらえないかしら?」



なんという他力本願か。


この人、結構子供産んでいるのにスタイル崩れてないなーとか思いつつ、そのでっかいおっぱおを揉みしだいてやろうかと衝動にかられつつ、了承する。


正直面倒くさいが、姉様の頼みだし、上手くいけばコネでアタランテを紹介してもらえるかもしれない。まあ、なるようになるだろう。





翌朝、私の元に来客を告げる鳩が飛んできた。鳩と会話することぐらい魔女の私には朝飯前なのです。


白亜の神殿は大理石。アテナイにあるという壮麗な神殿にはきっと敵わないが、それでも立派な建築物である。


私は人の気配を感じて後ろに振り返る。イケメンがいた。うおっ、まぶしっ。



「おはようございます、メディア姫」


「おはようございます、イアソン様。このたびは長い船の旅だったそうで、大変でしたね」


「お気遣い、痛み入ります」



金髪の美丈夫。引き締まった肢体と精悍な顔立ちをしながらも、爽やかな好青年といった雰囲気を纏う異国の王子イアソン。


彼が笑みをこぼすと白い歯がキラリと光を反射した。なんというステレオタイプか。神々しさすら感じて、笑いがこみあげてしまう。



「どうかなされましたか、メディア姫」


「いえ、奇妙な事になったと。要件は伺っております」


「では、単刀直入に申します。私たちに助力を願えませんか?」


「残念ながらお断りします。それに言っては何ですが、無謀では? 神からの直接の加護もなく、魔法も使わないであの牛に近づくのは自殺行為ですよ?」


「メディア姫は魔法の天才と聞いていますが、貴女なら何とかできるのではないですか?」


「それは簡単なことです。しかし、私が貴方に協力したことをお父様に知れば、私がタダではすみません。きっと斬首されてしまいます」



イアソンが考え込む。


ヘラクレスあたりなら独力で解決してしまいそうだが、イアソンはプロメテウスの血を受け継ぐとはいえ神性は低い。


彼と彼の仲間たちだけでは、鍛冶の神ヘパイストスがもたらしたとされるあの化け物を止めることなど不可能だろう。



「化け物ではなく、人間の相手ならできますか?」


「人間ですか?」


「貴方が金羊毛に匹敵する宝を我が国にもたらせば、お父様の考えも変わるかもしれません。我が国の北には未開の蛮人が住んでおり、彼らは優れた遊牧民で、素晴らしい馬を所有しているとか。一万頭は多すぎますが、その何割かをもたらすと約束できれば、父も考えるかもしれませんね」


「なるほど」



この頃、黒海北岸の現在のウクライナにあたる土地にはキンメリア人が支配していた。そしてコルキス王国の北のカフカス山脈の向こう側にはサルマタイやスキタイといった遊牧民族が住んでいる。


彼らの馬術や馬上からの騎射技術はすばらしいものがあるらしく、所有する馬の質も良いと聞く。まあ、年がら年中馬と共に生きているならそうなるのだろう。


弓騎兵という存在は銃火器が発達する以前においては最強の兵種であり、モンゴル帝国がユーラシアを席巻したのもこの弓騎兵の力によるところが大きい。遊牧民族最強説である。


これに鋼鉄の武具と重装騎兵が加われば、少なくともギリシャで発達する重装歩兵や、将来この地を席巻するアケメネス朝ペルシアよりも強力な軍隊が作れるはずだった。


理論上は。



「ところで、アタランテ様はどちらにおられますか?」


「ん、アタランテならば近くの森で狩りをしているはずだが」



もちろん、愛しのお嬢さんの居場所を聞き出すことは忘れない。私は他人の都合よりも、自分の欲望を優先させる女ですので!





「こんにちは、アタランテ様」


「ん、汝はコルキス王の娘だったか」


「メディアと申します」



王都コルチスは王国の内陸、リオニ川の河畔に存在し、自然豊かな場所でもある。まあ、ふらふら国中を動き回っている私にとっても故郷であるためなじみが深い。


そんな街の近郊の森は、木々が鬱蒼と茂っているが、彼女が座っている切り株の周りは太陽の光が差し込んでいて、木々のドームは神殿にも似てどこか神聖な雰囲気。


狩りの流れ矢に当たるのは勘弁というわけで、鳩を斥候に出して様子を伺い、遠見の魔術で狩りに勤しむアタランテの姿をウォッチングしてみたのである。


あれですな、人類種の源流に近い高品質の血を持つ英雄という存在のポテンシャルは半端では無い事が見て取れる。


なんというか、放つ矢の速度が尋常ではない。本気で音速を超える速度で矢が飛翔する。最高速度がマッハ3とか、人類の常識に喧嘩を売っている。流れ矢に当たったら死ぬな。


というわけで、彼女の休憩中に突撃してみたわけだ。木漏れ日の合間で静かに目をつぶる彼女は、高貴な森のお姫様。私は意を決して彼女に話しかけた。



「お飲みになりますか?」


「何だ?」


「ブドウの果汁です。魔術で冷やしてありますので、美味しいですよ」



革袋の水筒にブドウのジュースを入れて差し入れとして持ってきた。ブドウはコルキス王国の特産であり、とびきりの上物を搾らせて作らせたものだ。


アタランテは犬みたいに鼻をひくつかせて匂いを嗅ぐと、一口喉に流し込んだ。すると、目を見開いてごくごくと果汁を飲み干してしまう。



「これは美味いな。喉が渇いていたところだ。礼を言う」


「おそまつさまです」


「それで、吾に何用だ?」


「ただお友達になりたいと思ったから、ではだめでしょうか?」



アタランテは少し困った顔をする。



「吾は人の間で暮らしたことは無く、狩りしか能がない。姫君の友人としては適さぬと思うが?」


「いえ、貴女は美しい。外見だけではなく、あり方そのものが。それだけで十分です」



そうして私はアタランテとおしゃべりをする。


彼女は何と言うか、文字通りの野生児だ。育ての親が熊とか、まあ狼に育てられた子供と言う例も存在するし、その熊も女神アルテミスの眷属らしいのでこの世界らしいと言えばらしいのだけれど。


人生観が野生動物と同レベルとかマジ楽しい。



「というわけで、このあたりはワインの名産地なんですよ」


「酒は少し苦手だ」


「そうなんですか?」


「酔うと狩りに失敗するゆえな」



脳味噌が筋肉でできているヒトです。なんという蛮族。



「アタランテ様はどうしてアルゴー船に乗ったのですか?」


「多くの英雄が集うと聞いてな。吾も興味をそそられたのだ」



やっぱり脳筋である。


だが、そこがいい。美人で脳筋とかギャップ萌なのである。それから私たちはなんとなく会うようになる。ハーブティーやドライフルーツでお茶をするのが日課となった。


そうして数日が経った時、アルゴー船の面々は新しい冒険にでる事となる。


目的地は黒海の北部、スキタイ人の住む土地から千を超える数の馬と騎手と馬を世話する人間を手に入れるのだ。


そして私は魔法薬でこっそりと姿を変えて彼らについていくことにする。それがアルゴナウタイの冒険の歴史が変わってしまった瞬間だった。




更新はカメです。

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