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2話 練習参加

 放課後。

 リトルバスターズのメンバーがグランドに集まる。

 美魚は日傘を閉じて、練習中いつもいた木にかけた。

「恭介さん」

 美魚は恭介のもとに行く。恭介は腕を組み、グランドで散り散りになっているメンバーを見ていた。

「ん? どうした? 西園」

「わたしも、その……練習に参加していいでしょうか?」

 美魚は遠慮するような声で言う。

「ん? どうした、そんな遠慮するように。別にいいぜ」

「え?」

「どうした?」

「わたしが参加してもいいのですか?」

「だから、良いって言ってるだろ」

「でも、わたし運動何もできないです」

「気にするな。しかし、そんなに気になるならみんなに聞いてみるか。みんな、集まってくれ」

 恭介が全員を集める。

「どうした? 恭介氏」

「恭介さん。どうかしたのですか?」

 来ヶ谷とクドが聞く。

「西園が練習に参加したいと言っているんだが、自分が入って足手まといにならないか? とか言っているんだ。そこで参加に反対のやつはいるか?」

「なるほど。私はもちろん賛成だ」

「オレも賛成だ。西園も一緒に筋肉を鍛えようぜ」

「いいじゃないか。俺も賛成だ」

「わふー。賛成ですー」

「賛成―。みおちゃんも一緒に頑張ろう~」

「もちろん、賛成ですYO」

「いいと思うぞ」

「うん。賛成」

 来ヶ谷、真人、謙吾、クド、小毬、葉留佳、鈴、理樹の順番で賛成を言う。

「見ろ、西園。反対なんて1つも出なかったぞ。言う必要はないと思うが俺も賛成だ」

「……。わかりました」

「よし。西園も納得したところで練習を始めようか」

 と、恭介がみんなを

「少し待ってもらえるか。恭介氏」

「ん? どうした来ヶ谷」

「西園女史。日傘はいいのか? 差していないが大丈夫なのか?」

「そういえば、そうだな」

「……」

 美魚は少し考えるそぶりをする。

「本当は、あの永遠の一学期が終わった時点で日傘は必要なくなったのですよ。そうですね、みんなには話した方がいいですね」

 美魚は美鳥のことを話す。

「美鳥が消えてしまった今、わたしの影は元に戻りました。なので、日傘を差す必要がなくなったのです」

「なるほど。そういうことだったのか」

「どういうことだ? 全くわからなかったのだが」

 真人は頭を抱えて考えていた。

「いいよ。真人に理解できると思ってないし」

「理樹様―」

「うるさいよ」

「え? 直枝さん? 美鳥のこと、覚えているのですか?」

「あ、うん。最近、夢であの世界の風景が出てきて、偶然今日見た夢は美鳥との記憶で……」

「今日……ですか」

 美魚は考えるそぶりをする。美魚も今日の夜、美魚と会話をしたのである。夢だった可能性もあるのだが、偶然にしてはできすぎている。と考えているのである。

「その美鳥という子に会いたいな。いろんな意味で」

 来ヶ谷が怪しげな笑みを浮かべている。

「姉御。いろんな意味とは…?」

「気にするな。さぁ、練習を始めようではないか」

みんなでキャッチボールを始める。

「わふー。西園さん。私とやりましょう」

 美魚はクドと一緒にやる。

「西園。俺がいろいろ教えてやる」

 恭介が近くに来て、美魚にグローブを渡しながら言う。

「はい。お願いします」

 美魚は頭を下げて言う。そして、恭介はボールを美魚が左手につけたグローブに入れる。

「よし。能美の胸元に向かって投げるんだ」

「こう……でしょうか」

 美魚は球を投げる。

 それは一度地面に着いてからクドの胸元に行く。

「よし。西園。グローブを胸の前にやるんだ。能美がそこに向かって投げてくれる」

「西園さん。行きますよー」

 クドが投げる。見事に西園の胸元に来て、西園は何とかキャッチする。

「いいぞ。西園。次はもうちょっと強く投げてみるんだ」

「は、はい」

 美魚は言われた通りさっきより思いっきり投げる。しかし、その球はクドの手が届かないほどななめ上を飛んで行った。

「わふー」

 クドはジャンプして取ろうとしたが全く届かなかった。

「あ、すみません。能美さん」

「気にするな。みんな最初はそんなもんだ」

「わふー」

 クドが転がっていた球をとると、すぐに西園向かって投げた。

 その球は遅かったが、2度ほどバウンドすると美魚の胸元に来て、美魚はそれを何とかキャッチする。

「なかなかうまいじゃないか」

「……たまたまですよ」

 その言葉通り、美魚はその後は3,4球に1回しかキャッチができなかった。


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