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閉所

作者: ゆん

初めての投稿ですドキドキ

短編不気味ストーリーになってます

お気軽に読んでくださると嬉しいです♪

私の指には常にささくれがある。

爪のキワにある少し捲れた分厚いそれを一思いに千切るのが好きだ。ツルッとしたピンクが徐々に赤く変わってドロドロになる様を見ると安心する。血は拭くけど、絶対に絆創膏は貼らない。貼ったら、意味がない。


自傷行為が好きなわけでもない。自傷する理由なんて分からないけど、たぶん私は、そのどれにも当てはまらない。ただ、血で赤黒く固まった痛々しい指先を見ると、あと1週間は生きていける気がする。呼吸ができる気がする。私の口は、上唇と下唇に囲まれたそれじゃなくて、きっとここにある。


たとえば、外気が少し入り込んでくる電車の窓とか、どこまでも続くレールの隙間。シャープペンシルの芯が出てくる先端の穴も、布団から足を出した時にできる弛んだ隙間もそう。全部呼吸をするための口。私は必死に口を探して、見つけて、落ち着く。



ある恐怖に襲われるようになったのは最近のことだ。どこへ行ってもどんなときにも、私にびったりと張り付いている、この柔らかい膜。私の臓器や骨や脂肪や色んなものをぎゅっと押し付けて閉じ込める、この、皮膚。


少しの余白を期待してつまんで持ち上げてみても、ねっとり自分ごと持ち上がってしまう歯痒さ。この膜は、もはや私であって私でない。息苦しい。


ふと、ささくれを引っ張ったのが始まりだ。赤く腫れ上がった指先には僅か5ミリ程度の切れ目が。


ここだ。


だから私には常にささくれがある。

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