EP7 初めての依頼
冒険者カードを手にした俺は、リーナたちと共にギルド内の掲示板へと向かった。
「さて、せっかくだし簡単な依頼でも受けてみる?」
リーナがそう言いながら、掲示板に貼られた紙を指でなぞる。依頼の内容は多岐に渡り、討伐、採取、護衛とさまざまな仕事が並んでいた。
「初心者向けなら、やっぱりゴブリン討伐が無難かしら。」
「ゴブリン……?」
知らない単語に眉をひそめる。
「えっ、本当に知らないの?」
リーナが驚いた顔をする。エリオットが横から口を挟んだ。
「まあ、冒険者でも無くあまり街の外に出たことがないならゴブリンを知らなくてもおかしくはないが...ないのか?」
「一応、説明しておくわね。」
リーナは紙を指差しながら説明を始めた。
「ゴブリンは小型の魔物で、群れを作って行動するの。弱いけど、数が多いと厄介になることもあるわ。」
「なるほど……。」
「初心者向けとはいえ、油断するとやられることもあるから気をつけて。」
「分かった。どんな戦い方をすればいい?」
「基本的には、前衛が注意を引いて、後衛が魔法や弓で支援する形ね。」
「なら、俺は前衛で動く。」
「頼もしいわね。それじゃ、この依頼を受けましょう。」
リーナは掲示板からゴブリン討伐の依頼書を剥がし、受付に向かった。
「この依頼、受けます。」
受付嬢が頷き、書類に必要事項を記入する。
「では、ゴブリン討伐依頼を正式に受注しました。討伐対象のゴブリンは、街の東にある森の近くで目撃されています。確認のため、討伐した証として耳を持ち帰ってください。」
「了解。」
受付嬢が一通りの説明を終えた後、リーナは俺を見て少し考え込む。
「カインの治療が終わるまで、私たちは一度休憩ね。でも、あなた一人で行かせるのはちょっと心配ね……。」
「なら、俺が一緒に行くさ。」
マルクスが軽く手を挙げる。
「ちょうど体を動かしたいところだったしな。ゴブリン討伐ならそこまで大掛かりな戦いにもならないだろう。」
エリオットも腕を組みながら頷く。
「まあ、新入りの実力を見るにはちょうどいいかもな。」
「それじゃ、マルクスとエリオット、レイヴンの初陣を見届けてきて。」
リーナがそう言うと、俺たちはギルドを後にした。
こうして、俺の初めての冒険者としての依頼が決まった。