表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

EP11 宿で

ギルドでの報告を終えた俺は、リーナたちと別れ、宿の一室へと向かった。


部屋は質素な作りだが、寝台と机、それに洗面台も備え付けられている。明かり取りの小さな窓から、夜の街の灯りがちらほらと見える。


俺はベッドの縁に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐いた。


「……状況を整理しよう。」


まず、この世界に来た理由は分からない。記憶は曖昧で、断片的なものしか思い出せない。だが、戦闘時の身体の動きだけは、まるで昨日まで戦場にいたかのように馴染んでいた。


(俺は……何者なんだ?)


右目をそっと押さえる。あの戦いの最中、時間が引き延ばされたような感覚があった。まるで、敵の動きを先読みしていたかのような——。


「オーディンシステム……か。」


この言葉が頭に浮かぶが、意味は分からない。ただ、身体に染み付いた戦いの感覚と、記憶の欠落の間に何かしらの繋がりがあるのは間違いない。


「……まずは情報を集めるしかないか。」


見通しは立たないが、このまま何もせずにいても仕方がない。生活の糧を得るためにも、まずは冒険者として動くしかない。


この世界で何の手がかりもない俺が生きる手段は限られている。農業や商売の知識もないし、身分証や保証もない。だが、戦闘の勘だけはある。それならば、冒険者として稼ぐのが最も現実的な選択肢だろう。未知の世界で生きていくには、それが最も現実的な選択肢だった。


だが、一人で動くべきか、それともリーナたちと共に行動するべきか……。


彼らはなぜ俺を受け入れたのか? 俺がどこから来たのかも分からないのに、警戒する素振りもなく、当たり前のように接してくれる。


リーナは、困っている人間を放っておけない性格なのかもしれない。マルクスとエリオットも、俺に対する興味や期待があるのかもしれないが、彼らの本心はまだ分からない。ギルドの方針としても、冒険者の素質があれば受け入れる体制なのかもしれない。


信頼していいのか、それともまだ様子を見るべきなのか——。


見通しは立たないが、このまま何もせずにいても仕方がない。生活の糧を得るためにも、まずは冒険者として動くしかない。未知の世界で生きていくには、それが最も現実的な選択肢だった。


ギルドで依頼をこなしながら、この世界のことを知る。それと同時に、自分自身についても調べる。


俺は深く息を吸い込み、ベッドに横たわった。


——すべての答えは、きっとこの世界のどこかにある。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ