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86話「エピローグ」




戴冠式の後、私とラファエル様の婚約発表を兼ねた晩餐会が開かれました。


晩餐会を終え、部屋に戻った時には二十三時を過ぎていました。


ラファエル様と婚約したので、私は今日から王宮に住むことになります。


ラファエル様と私の部屋の間には寝室があり、三つの部屋は内扉で繋がっています。


私の部屋にももちろんベッドはあります。


結婚まで清い体を保つなら、そちらで休んだ方が良いでしょう。


それは私もわかっています。


それなのに、お風呂に入ったあと侍女達に丈の長い白いネグリジェを着せられ、流されるようにラファエル様と共有の寝室に連れて来られてしまいました。


侍女達は私を共有の寝室に残し、帰っていきました。


共有の寝室には、すでにラファエル様がいました。


彼はセルリアンブルーのナイトガウンを羽織っていました。


彼は、ローテーブルの傍にある長椅子に腰掛け、ワインを召し上がっていました。


ラファエル様は、ワインを召し上がる姿も絵になります。


彼に見つめられ、自分の部屋に戻るに戻れなくなってしまいました。


テーブルの傍にある暖炉では、薪が燃えパチパチと音を立てています。


真冬ですが室内はとても暖かいです。


このような薄着で、彼と密室で二人きりになるのは非常に緊張します!


やはり、今からでも自分の部屋に戻った方が……!


「アリーゼも、何か飲む?」


私が踵を返そうとしたとき、ラファエル様に声をかけられていました。


婚約したので、彼の私への呼び方は「アリーゼ嬢」から「アリーゼ」に変わりました。


彼に呼び捨てされるのには、まだ慣れていなくて、名前を呼ばれるだけでドキドキしてしまいます。


「えっと……それでは苺水を」


テーブルの上には、いくつかの飲み物が用意されていました。


「君ならそういうと思った」


彼はグラスに苺水を注いでくれました。


「すみません。

 国王陛下にそのようなことをさせてしまって」


私は彼が腰掛けているソファーの端に座り、苺水の入ったグラスを受け取りました。


「国王陛下だなんて他人行儀な言い方をしないで。

 僕達はいずれ夫婦になるんだから」


ラファエル様はにこやかに微笑み、距離を詰めてきました。


婚約しているのですから、いずれ夫婦になるのは当たり前のこと……。


なのに……寝室で聞くと、色々と想像してしまいます。


彼が距離を詰めた分、私は後ずさりしましたが、ソファーの幅は限られています。


すぐに端まで追い込まれてしまいました。


どうしましょう?


もう逃げ場がありません。


「震えてるの? 大丈夫だよ。

 ルミナリア公爵と約束したからね」


「ラファエル様が父となんの約束をしたのですか……?」


「ルミナリア公爵が僕に出したアリーゼを王宮に住まわせる条件は、結婚するまでは君には手を出さないことだったからね」


ラファエル様は、私の知らないところで、お父様とそのような約束を交わしていたようです。


私は返事に困り、苺水を口に含みました。


爽やかな酸味と甘酸っぱさが、口の中に広がりました。


喉が渇いていたので、水分補給出来て良かったです。


「でも……『手を出さない』の具体的な内容までは取り決めてないんだよね」


彼はそう言って、いたずらっぽい笑顔をしました。


私はむせそうになりました。


私がグラスをテーブルに置くと、私の手に彼が自分の手を重ねました。


「何せ僕達は、両思いになった日に抱き合ってキスして以来、毎日チュッチュしてるからね」


そうなのです。


両思いになってからラファエル様と毎日のようにイチャイチャしていました。


ですが、ガゼボで抱き合ったりキスしたりするのと、寝室でそういうことをするのでは、意味が違ってきます……。


現に、彼に手を握られただけでも心臓がドクンドクンと音を立てています。


「やはり、『手を出さない』の意味は『性的なことをしない』という意味だよね?

 でもそれなら、それ以外ならしてもいいってことになるよね?

 例えば寝室でアリーゼの頬に手を添え、見つめ合うのはいいのかな?」


そういう聞き方はずるいです……!


彼は私の頬に手を添え、探るように私の顔を見つめました。


至近距離で見つめられ、ドキドキが止まりません!!


「このまま……口付けをしたら、君は怒る?」


だからそういう聞き方はずるいです……!


「…………」


「無言は同意と取るよ」


私が何も言えずにいると、彼は私の唇に自分の唇を重ねました。 


◇◇◇


口付けを交わしたあと、彼と添い寝をしました。


◇◇◇


色々と大きな事件が起きたあとなので、私とラファエル様の結婚式は、しばらく挙げられそうにありません。


私達の結婚式は、早くて一年後になりそうです。


ラファエル様は「一日でも早くアリーゼと結婚したい」と、甘い声で囁き口付けをしてきます。


私も、彼と一日も早く結婚したい気持ちは同じです。



 ◇◇◇◇



それからしばらくして、猫になる薬を処分しようとしたラファエル様がうっかり薬を飲んで猫になってしまったり……。


解毒剤のレシピはあるけど、魔法薬に精通している人がいなくて困惑したり……。


なんとか魔法薬に精通した人物を見つけることに成功したものの、とんでもない条件を突きつけられたり……。


ラファエル様と結婚するまでには色々ありました。


そんな困難を乗り越えて、一年後に私達は結婚しました。


ラファエル様と結婚するまでのお話は、また機会がありましたらお話しますね。







――終わり――




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まほりろ


挿絵(By みてみん)

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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