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先輩後輩
俺以外の全員が召還されていった。俺だけ残った。
こんなことをするのは、
「先輩、怒られますよ」
教室の中央には先輩がいた。
「あぁ、分かってる」
武藤先輩、組織の人間だ。そして、俺に色々叩き込んでくれた人であり、兄のような人だ。
「どうしたんですか?先輩はこの任務に関わってないでしょう?」
「あぁ、だが伝えなければならないことがある」
先輩が真剣な顔になって言った。
「なんです?」
「今回の世界はお前の初の任務にして、他の世界よりも難易度の高いものだ」
「はい」
「死ぬ確率も高くなってくる」
「はい、分かっています」
「そしてお前は、勇者に選ばれたものを陰から助ける役目を担っている。よって更に死亡確率は高くなっている」
「はい」
「だが、俺はお前を弟のように思っている。だから、死んでほしくない」
「分かりました」
「ありがとう、その言葉が聞けただけで嬉しいよ」
先輩は俺から離れた。
「ではお前を異世界へと送る。無事を祈っている」
「まぁ、ほどほどに頑張りますよ」
「あぁ、頑張れよ!《テレポート》ーッ!!」
俺は白い光に包まれた。