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プロローグ
めちゃくちゃ不定期投稿です。
最初はバーってあげます。
短編の予定だったのですが、書いてるうちに長くなってしまったので連載にします。
聴力を失った。
それは病気とかそういうものじゃない。大切な人を救うために僕は耳を売った。
雲を掴むような話になるが、
『人間の五感のうち一つを失えば願いを叶えてあげる。』
そう言われた。
視覚、味覚、触覚、嗅覚そして聴覚。
失うならばこの中で、人が一番使わない味覚 を選ぶべきだっただろう。だが、やつはそれを許さなかった。
やつは、最も気持ちの届きやすい所を欲しがった。大切な人が戻っても、逆に今度は僕がいなくなりたくなるように。
聴覚を失えば、大好きな音楽を聞くことが出来ない。生活音が聞けない。親友の声も、家族の声も、大切なあの人の声も聞けない。