3.出会い
(誰かー!!私の面倒を見てー!!!!!)
と心の中で叫んでいると
「呼びましたか?」
またしても後ろから声が!
「誰だ!」
またしても叫んでしまう。
「神です。」
うお、今度はマジモンの変態っぽいぞ、自称神だ。
女性で、髪の毛は...白髪のようだ。
ってか着てる服も真っ黒のスーツだし、履いてる靴も黒で、髪も白だからもう白黒だね、肌も真っ白だし、白黒OLだ。
...いやー、この見た目で変態はないか、白髪のOLっていうのもどうかと思うけど。
「神の、神田一乃です。もう、転生したんだったらすぐに鈴を鳴らしてもらわないと」
「え?鈴?」
突然現れた神だけど、どうやら、私が転生したことを知ってるから本当に神みたいだ。
「ほら、ここに」
そう言うと一乃は私の頭に触れた。
頭上に輪が現れて、光りだして、喧しい鐘の音が鳴った。
ガンガンガンガンガン!!!!
「!!!...うるさい!!!」
「あら、こんなに鳴るなんて。止めて早く」
「どうやって止めるのー!!!」
「こうやって」
一乃は私の頭上の輪を握り、そしてすぐに音が止まった。
「さっきまで、こんな輪なかったのに!」
頭の輪を撫でてみる、音はならない。
「頭の輪が魔法陣になってて、魔法を行使する時には必須のハズです。さっき透明化とか、高速移動する時に使ったのでは?」
「え?嘘!」
使った覚えはない。
...無意識に使ったのかな?
「...全力でジャンプしてみてください。」
「こう?」
思いっきり跳ねてみる。
すると体が思いっきり空に吹き飛ばされ、ものすごい勢いの空気抵抗を受ける。
「ああああ!!!」
そして着地。
ドォォオオオオオン!
アスファルトが結構揺れた気がする。
「・・・どうやら気づいてないようですけど、無意識に輪を使っていますよ。」
「そうなの?気づかなかった...でも私こんな力いらないんだよね...。」
だって、私が望んでいたのは「人間として」の転生であって、「天使として」の転生ではない。...ここまで天使の力を行使した後に言うのでは説得力皆無であるが。
「うーん、仕方ない」
そう言うと彼女は私の頭の輪を取り外して仕舞ってしまう。
「えええええ!!!それ取れるの!!!???」
「今取れるようにしました」
なるほどね、神様だからなんでもアリなのね。
「それ取っちゃったら何か変わるの?」
「しばらく次の輪が生えてくるまで人間の状態です」
「あんま変わらないじゃん!!」
てっきり天使としての力を剥奪されたとか、そういう重大な事なのかと思った。そっちの方が助かるしね。
「とりあえず、細かい話は私の家でしましょう、人々の目を誤魔化すのにも限界があります。」
「あ...」
そういえばさっき空飛んでいたので、かなりの人間に見られちゃったんだと思うけど、一乃が誤魔化してくれていたのか、と、彼女の背を追いながら思った。