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34.出発

前回の続きとなります。いつも見てくださってありがとうございます。楽しんで頂けますと幸いです。



今日は、王都”ヴェサリウス”へ向かう日の朝。


俺は、早朝、早々に赤髪ツンデレ少女”クリム”からの拳という制裁を喰らった後、


殴った当人のクリムに起こされた。



クリムに殴られて意識が吹っ飛んだのは、これで、通算2回目だったか。



意識が失っていた間は、


何故か見えないはずの、天の川が見えて、亡き爺ちゃんの顔が一瞬みえた気がしたが、


なんとか帰ってこれたようで、心配するクリムの顔とエレナさんの顔が見えた。



どうやらクリムが俺のことを膝枕しながら回復魔法で、回復しながら起こしてくれたようだ。



クリム曰く、


「ま、マスターが悪いのよっ!! 朝から、そ、その、エレナと……しようとするなんてっ!」


その通りだったので、日本人特有の謝る伝統文化”DOGEZA”で


クリムに平謝りをした。


「まあっ……その……私もやりすぎたと思うし……それじゃあ、許してあげるわよ……マスター」


とのお言葉を頂き、なんとか許してくれた。


そして、なんとか元気になった俺は、クリム、エレナさんを連れて、


既に起きていた、ナビゲーターのナビたん、ゴスロリ少女のイルデッシュ、


白騎士のホワイト、黒騎士のブラック、奴隷少女であるクロ、シロ、キーの3人で、


皆と朝食を食べた。


その後、急いで、荷造りなどを仲間たちと始める。



エレナさんも途中で、顔を染めながら


「私だったらいつでも……」と俺の耳元で嬉しいことを言ってくれたので、


荷造りする作業に支障が出たが。


一応俺もTPO(時と所と場合)をわきまえているので、しないけども。したいけども。


したいけど、しない、うん、たぶん、絶対。非常に絶対。ごめんなさい、したいです。



とにかく、そういった今朝の事、昨夜のことをいろいろと思い出してしまって、


まともにエレナさんの顔を見ていられなかった。非常にニヤついてしまっているからだ。


自分でも嬉しいというか恥ずかしいというか、そんな気持ちで心がいっぱいだからだ。



俺は、今までで、生きてきた人生の中で非常にニヤついているベスト1位に入れるぐらいのニヤけ顔だろう。


「うわぁっ……ヒデキ、また気持ち悪い顔になってるよぉーーっ!!」


ナビたんがそう言ったので、おそらく、そうなのだろう。



他の女性陣も同じように俺がニヤついている顔を見て、気持ち悪いせいか、


余り良い反応をしていないようだ。


奴隷少女である、クロだけは、何故か俺に視線をチラッ、チラッと顔を赤くしてみてくるのだが……。



クリムの場合は、


「マスターっ!!なんで、こんな時にニヤニヤしてるのよっ!! へんたいっ!」


と案の定罵られた。



唯一の男性である黒騎士”ブラック”はというと、


「我が主よ、子孫を繁栄させるのが、主の務めです!!」


応援の言葉を頂きました。


あれ?なんですかね?なんでみんな知ってるんだよ!?


そのことをブラックに聞くと、


「ふむ、かようなことは、主を慕う者から見れば、当然に分かります、それに昨夜は……」


音が漏れていたとのことらしいので、どうやら色々と筒抜けだったようだ。


イルデッシュが、そのせいで、夜中、闇魔法で1階と2階の間をサイレント状態、つまり


無音にしていてくれていたようだ。


この場合、イルデッシュにお礼など言った方がいいのだろうか。言ったとしてもセクハラになりそうだな。


やめておくか。




さて、エレナさんとの話で惚気ている場合ではなかった。


急いで出発する準備の続きをしないと。


とは言っても、必要なものはアイテム∞ボックスに収納できるので、荷物の問題は全く心配していないのだが。


現在持っている所持金などを確認するぐらいで、


後は、持っていく水などや、万が一の為のお金などが、どれぐらいあるのかを計算するぐらいだ。


これらの作業は、昼食までに準備が整ったので、後は、ゆっくりと昼食をとって皆とノンビリしよう。


暫くは、デルヘナ村には、かえってこれないだろうからな。


ゲームみたく、この村に一瞬で帰ってこれるワープ機能があればいいのだが。


まあ、その場合、色々と有難みが無くなるかもしれないが。







のんびりと昼食を食べた後、この村に居残る組の仲間たちが見送りに来てくれたのだ。


「ヒデキっ!外まで送るのっ!!」


「ヒデキ様……少しの間寂しくなります……」


「ご主人様、どうかお気を付けて……」


「我が主、留守の間の警備はお任せくださいっ!!」


「うぅぅっ…ご主人様ぁ…!」


「ヒデキ……いっちゃうの?……さみしい」


「べ、別にヒデキ……様がいっても……どうとも思わないわ」


「ふぁふぁふぁっ、ヒデキ様っ!この村はワシにお任せください! 」


ナビゲーターのナビたん、美人未亡人のエレナさん、白騎士”ホワイト”、黒騎士”ブラック”


奴隷少女である”クロ”、”シロ”、”キー”の7人。


それにいつの間にか現れたのか、ギルド職員であるゼーガンさんも来てくれていたようだ。



その中でもこの村に居残る組の中でも、結局、ナビたんは、この村に残るそうだ。


理由は、自分でGETしたスライム達を育てて、憧れのスライムマスターを目指したいとのこと。


ナビゲーターしてくれませんかねぇ?と何度も前から言っているが、最近は全く聞く耳を持たないようである。



曰く「もしもヒデキに何かあっても、スマートフォンの私の残像が助けてくれるのっ!」


うむ、ナビたんの残像とか全く意味が分からないが、


今後は、あまりナビたんには期待しない方がいいのだろう。


しかし、俺のナビゲーターだった筈なのだが、どうしてこうなったのだろうか。


俺がナビたんになんとも言えない感情や視線を送っていると


「ご主人、大丈夫だよ、僕がいるし……大丈夫だから」


死霊術師でゴスロリ少女のイルデッシュが俺の手を握って励ましてくれたのだ。


「ああ、ありがとうなイルデッシュ」


その暖かくも柔らかいイルデッシュの手を握りかえした。


「別に僕は、当たり前のことを言っただけだから……えへへ」


そして、イルデッシュといい雰囲気になると、


「ちょ、ちょっと! 私を忘れてないっ?」


クリムが横合いから負けじとイルデッシュに突っかかってきたのだ。


「クリム姉さん、横合いから無粋だよー?」


「ど、どこが無粋なのよっ!! 皆、みてるでしょっ!!」


「いいもんっ! 僕はご主人のことで色々みられてもっ!!」


「そっ、そういう意味じゃないわよっ!!」


エレナさん宅の家の前で、クリムとイルデッシュによる言い争いで、立ち往生していると、


壮年の明るい男性がゆっくりと歩いてきた。


今回の依頼主である、商店経営主のコープさんだった。


どうやら、4頭の馬と2台馬車をそれぞれ、引っ張って連れてきてくれたようだ。


「おはようございます、みなさま!」


「「「おはようございます~!」」」


コープさんは元気に挨拶を皆に交わしていった。


束の間、コープさんとゼーガンさんを交えて、皆と話し込んだ。


少しの別れを惜しむように。


10分後―――


「みなさま、出発の準備は宜しいでしょうか?」


コープさんが、俺、クリム、イルデッシュに出発の準備が出来ているか、聞いてきたのだ。


「ああ、いいぞ」


「僕もオッケーだよー?」


「私もいいわよ」


俺たち3人は、用意された移動用のおよそ2週間分の食料品などが詰まれた方の馬車に乗った。


また御者が、必要と聞いていたので、騎乗スキルがあり、馬の扱いが上手なクリムに頼んだ。


初めて、馬車を操る筈だが、なんの問題もなさそうだ。


俺とイルデッシュは後ろの荷物場所に、クリムは御者を担当。


そして、もう1台には、大量の積荷が入った商品と、御者であるコープさんが乗る。


みんなが無事に乗ったことを確認したコープさんが、


「みなさまっ!行きますっ!!」


この合図により、馬車が動き始めた。


背後からは、俺の仲間たちによる暖かい声援が聞こえた。


その声援に涙が出そうになった。



「ヒデキ―っ!帰りにお土産、絶対わすれないでねっー!!ドラゴンとかほしいーっ!!」


一部、そうでない内容のものもいるようだが。


そして、俺、クリム、イルデッシュの3人による馬車の旅が始まるのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●王都”ヴェサリウス”に向かった組:


”ヒデキ”、”クリム”、”イルデッシュ” 



●デルヘナ村に居残る組:


”ナビたん”、”エレナ”、”ホワイト”、”ブラック”


”クロ”、”シロ”、”キー”

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回更新予定日は、10/06日 予定です。

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