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30.決断

前回本編の続きとなります。楽しんで頂けますと幸いです。


俺たちは先ほど、冒険者ギルドからエレナさんの家へと帰ってきた。


そして休憩時間だったエレナさんから、お茶を頂いてみんなで一息ついた後、


ギルド経由で、商店”コープさん”からの依頼があったことを


エレナさんと、スライムの特訓から帰ってきていたナビたんに伝えたのであった。




「へえ~ヒデキに依頼なのっ?」


「あらっ、ヒデキ様に依頼ですか?それはそれは良かったじゃないですか、


それでその依頼内容はどんな内容なんでしょうか?」


「はい、その内容なんですが―――」


依頼は、デルヘナ村から王都”ヴェサリウス”までの道のりを護衛すること。


しかし、片道1週間はかかるので、往復で2週間以上になる―――と伝えると、


「あら……そうなんですね……それは大変寂しくなります、ヒデキ様……」


エレナさんは本当に淋しいのか、シュンとした表情になった。


落ち込んだエレナさんもとっても魅力的で素敵―――じゃない。


俺はエレナさんを悲しませるために依頼があることを話したわけじゃないのだ。


「いやでも、まだ引き受けるって決めたわけじゃないですよ?


俺はエレナさん達やみんなと、のんびりこの村で過ごしていたいですからね!」


「え~、別に私はヒデキがいなくなっても困らないしっ……」


「おいナビたん待て」


ナビゲーターが俺を否定するってどういうシステムなんですかね、これ。


「ふふっ、ありがとうございます、ヒデキ様」


エレナさんは俺がこの村に残ると言ってくれたのが嬉しかったのか、


また笑顔になってくれたのだ。やっぱりエレナさんには笑顔がいい。


そしてクリムよ、何故不機嫌そうな顔になって俺をにらみつけているのだ?


まさか俺に妬いているわけでは……ないよな?


昨日の事も、結局クリムに聞けてないし、なんとも言えないんだが。



「今の言葉で決心がつきました……ヒデキ様は是非、この依頼を受けるべきです」


エレナさんは、真面目な顔つきになって、そう言ったのだ。


確かにエレナさんの言う通り、この依頼の報酬も金貨4枚と破格だし、


食事や寝床もコープさんが持ってくれるとのことらしいから。


そうなんだろうけど……。


結果的に2週間も、この村を離れることになるからなあ。



「だけど俺はこれからもみんなと一緒にいたいから……」



俺がうだうだ悩んでいることにクリムは業を煮やしたのか、


「ああ、もうっ!エレナもそう言ってるんだから、いい加減行くって決めたらどうなの?」


クリムもエレナさんと同じ意見なようだ。


「私は、御主人様の命に従います」


「僕もご主人に従うよ~」


ホワイト、イルデッシュは俺が決めろとのこと。


「あの……ヒデキ様が、行かれるなら寂しくはなりますけど、反対はしません……」


「ん……ヒデキ様、いなくなるの寂しい……でも、それがヒデキ様のため……」


「べ、別にどこにでも行けばいいんじゃないのっ!」


奴隷少女の3人、クロ、シロ、キーの3人も俺が決めろとのことか。


話を纏めると、この依頼を引き受ければいいに、賛成2 反対なし か。


確かに、今後の事を考えると金貨4枚は美味しいし、


一度はこの国の王都や他の街も見て、見聞とかを確認した方がいいだろうからな。


「わかった、この依頼引き受けるぞ!」


結果的に俺は、この依頼を引き受けることにしたのである。


そう、皆の生活費を稼ぐため、そして俺の新しいキャラクターを作る為に。







それでまあ、依頼を受けると決めたわけだが、


俺と依頼をこなすメンバーを選定しなければならない。


依頼の内容は、商隊の護衛である。


メンバーは俺を含めて3名以上必要ということとなると、最低限、後2名は必要だ。


そうなると、斥候や前衛が出来るツンデレ少女”クリム”か、


前衛や中衛も出来る万能な、白騎士リビングアーマー”ホワイト・ナイト”か、



集団戦闘も出来る、死霊術師ネクロマンサー”イルデッシュ”。


これらのうち、2名を選ばないといけない。


本音を言えば3名連れて行きたかったが、


またゴブリン集団のような輩が、現れるかもしれない。


ということは、エレナさんや奴隷少女たち3人、デルヘナ村の皆に危険が及ぶことも考慮すると


一人は残しておかないといけないな。


まあ、あと1人、スキル”オリキャラクリエイト”で戦闘できる要員を作ってもいいのだが。


それは後で考えるか。



結果的に、俺は護衛に”クリム”と”イルデッシュ”を選んだ。


理由は、クリムが斥候、近接戦闘が得意なことが主な要因だ。


イルデッシュは、たとえ相手が複数人いても、


アンデット召喚で対処できるし、得意の闇魔法で敵を一網打尽に出来るから、


何とかなるだろうと考えてのことだ。


それに、クリムだと留守番出来るかが一番の心配だったということもある。


白騎士”ホワイト・ナイト”にはこの村に残って皆の護衛を頼むことにしたのだ。


律儀で誰へだてなく声をかけるから、既に村の皆から”ホワイトさん”との愛称が付けられているし。


これでいいだろう。



「肝心の依頼を受けるメンバーだが、俺、クリム、イルデッシュの3人という人選にした、みんなもそれでいいかな?」


「はい、御主人様が決めたのであれば、異論はありません」


ホワイトや皆の反応を見ると俺の人選は予想されていたのか、


特に反対もなかった。


いつも騒がしいナビたんも「え~……そうだね、いいんじゃないのっ?」という無関心ぶりだからな。


着実にスライムマスターへの道を歩んでいるようだ。


ナビゲーターの仕事そっちのけである。



「マスターは、私たちに任せなさいっ!」


クリムは俺が選んだことが嬉しいのか分からないが、顔をほころばせている。


「え~でも僕がいるから、クリム姉さまは戦わなくていいからね~」


自己主張するクリムに、僕っ娘イルデッシュがクリムに突っかかる。


「ちょ、ちょっと!?それってどういう意味よ!?」


「なにって?言葉通りの意味だけど~?」


「なによっ!具体的に言いなさいよっ!!」


「それは僕が戦うから、クリム姉さまは戦わなくていいって言ってるじゃん」


「はいいっ!?私がマスターの為に戦うのは優先順位が決まってるのよ!」


「そんなのご主人が決めたことじゃないし、クリムお姉さまが決めたことじゃないの?」


「ち、違うわよっ!これはマスターが作った順番があって―――」


「―――そんなの関係ないじゃん?」



喧嘩するほど仲がいいとは言うが、


この後も、クリムとイルデッシュの話が徐々にヒートアップしていったので、


俺は、この人選で良かったのかと頭を悩ませるのであった。


次回内容も未定です。次回更新予定日9/29

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