24.その後
前回の続きとなります。いつも見てくださって大変ありがとうございます。今後も楽しんで頂けますと幸いです。
◇
夜の闇に包まれながら、
俺たちは、ゴブリン達との激しい戦いの末、ゴブリンの親玉であるゴブリン・ロードを倒した。
ツンデレ少女”クリム”、白騎士”ホワイト・ナイト”、
死霊術師”イルディッシュ”、奴隷少女であるクロ、シロ、キー、
村長である”エレナさん”、ギルド職員兼守衛の”ゼーガンさん”、
お供スライム達やスケルトン達が力を合わせて
デルヘナ村の皆と俺の仲間たちを守りきることが出来た。
とまあ……我ながら、上手く話をまとめたのはいいけど、
ここまでの戦いやずっと馬に乗り続けていたのもあって、
正直、立っているのも俺は限界だ。眠い。今すぐにベッドにダイブしたい。
ここ、平原だからないけども。
「ちょっと、マスターっ!大丈夫!?」
「御主人様、肩をお貸しします」
こうして俺は、クリムとホワイトに残ったスケルトン・ホースに乗らせてもらって、
フラフラになりながらも、デルヘナ村に帰還した。
そこで俺たちを待っていたのは、村人達による熱烈な歓迎。
そして、ナビたんとお供スライム達による自画自賛の嵐。
特に強烈だったのは、村人の中でも綺麗所な女性達による抱擁だった。
ふにょんふにょんとした、大きな双璧が俺の体に周囲から当たっている。
曰く、今なら女性達をよりどりみどりに好きにしていいだとか、
この中から好きなだけお嫁にしていいなどと言っている滅茶苦茶な条件ばかり。
いつもの俺ならば、はいいいっ!!喜んでええっ!!と言うところだが、
今の俺はフラフラだった。
自分の限界を超えていた。
そして、村の綺麗な女性ばかりに抱き枕にされつつ、
俺の意識はブラックアウトしたのだった。
◇
目が覚めると、見慣れた天井。
チュンチュンと小鳥が鳴いているのが聞こえた。
小さな窓からは、日差しが照っている。
辺りを見渡すと、俺が寝泊まりしているエレナさんの家、寝室だった。
どうやら、いつもの朝が来たようでよかった。
よく見るとクリムが、すぅ……すぅ……と寝息を立てて俺の藁ベッドの傍に寄りかかりながら寝ている。
おそらくは、俺のことを心配して見守っていてくれたのだろう。
可愛いやつめ。
赤く流れる髪をさわさわと優しく撫でる。
「ん……ん~……マスター……えへへ~……」
夢の中でもクリムは俺の夢を見ているのだろうか、
思わず起こしたくなってしまったが、やめておこう。
クリムを起こさないように、ゆっくりと藁ベッドを降りて、
傍に畳んで置いてあった男性用着替えの服を着る。
そして、スマートフォンを起動するとその途中で、
「あっーーー!!ヒデキッ!!起きたんだーっ!!意識がなくなったから心配してたんだよーっ!」
ナビゲーターのナビたんが大声を出しながら、スマートフォンから飛び出してきたのだ。
俺がスマートフォンの”ナビたんアプリ”を操作していないのにも関わらずである。
その結果、「んなあああっ!!?なに、なにっ!?マスターが起きたのっ?」
気分よく寝ていたクリムを一発で起こしてしまったようだ。
まあ、元はと言えば俺が意識がなくなって、心配して言ってくれたので、
悪気はないのだろうが。
「御主人様、もしや起きられましたか?」
「僕のご主人っ!!起きたんだよねっ!!」
「ヒデキ様っ……!!」
「ヒデキ……起きたんだ……」
「ヒデキ、ようやく起きたのね……?遅かったじゃない……」
「あらあら、ヒデキ様、お元気そうですねっ」
ぞろぞろと一階から、ホワイト、イルディッシュ、クロ、シロ、キー、エレナさんの皆が俺の部屋に集まってきた。
俺、クリム、ナビたんも含めると、この小さい部屋に、9人もいると大変狭いのだ。
「ちょっと、なんで皆ここにいるのよ!?狭いじゃない!」
クリムも俺と同じ気持ちだったようだ。
それはともかく、クリム達のお陰で俺はこうして元気になっているのだろう。
皆が集まっている以上が、感謝の気持ちを伝えないといけない。
「おかげ様で、すっかり元気になりました……えっと、どうしてここに―――」
――皆がいるんだ?と言おうとしたのだが。
「ふふっ、みんなが、ヒデキのことをずーーーっと心配していたのっ!」
ナビたんが、俺が聞きたかったことを話してくれたのだ。
どうやらみんな、俺のことを心配して下の階で待っていたらしい。
ナビたんは、それを大声で皆に知らせてくれたのだそうだ。ナビたん、ありがとう!
「みんな本当にありがとうなっ!これからもよろしく頼むっ!」
俺の言葉に、みんな笑顔で頷いてくれたのだ。
そして俺はその笑顔に答えなければならない。
今回の様な事態にあわないためには、
もっともっとPやお金を集めて、皆で強くならなければならないだろう。
こうして俺は、今日も皆で今後の為の会議を続けるのであった。
俺たちの平和な日常を続けるために。
◇
ここは天界。
俗に言う死後の世界とも言える、天界の世界。
通称”神が住む世界”である。
そこに一人の神がいた。
外見は、小柄で生意気そうな印象を与える金髪少女だが、2対の大きな白い羽が生えている。
「ん~……微妙だな~……」
彼女は、手鏡を持って凝視していた。
それはただの手鏡ではない。ある世界を映すものだ。
「一応、少しは変化は出たんだけど……あんまり順位的にはインパクトが出ないから……」
彼女は、ブツブツと何かを呟いている。
そしてしばらく考えていたのだろう、何事か考えついたのか、顔をにやりとさせて微笑んだ。
「あっ……そうだっ!次のイベントは、とっておきの~~あれにしようっと……!」
こうして、また世界は動き始めたのだった。
まだ続きます。内容は未定ですけども。次回更新予定9/23