四代目~がポシャった時のメモ
まず2005年のブログにこんなのがありやした。
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オリジナルのROSEの側の設定で宮廷もの。
本意ならずとも皇帝になってしまった第四代。
彼の愛しているのは「異母妹」(ということになっている)公主ただ一人。彼女が死んだら位を譲って死ぬ、と断言している「不老不死」の皇帝。
そこに起こった一つの事件。
既に六十近い妹公主の暗殺未遂。
首謀者は皇后。
発覚して関係者は全て捕まってしまう。
さてこの後彼等は。
*
えーと。
主犯である皇后は何ちゅか、ワタシの世界の「皇后」なので皇子身ごもった時から身体変化して~… 歳取らない外見16歳くらい。
生まれ良し。気位高い。
んでもって「男子を産んだのが皇后」「男子が生まれるまでは妃をもらい続ける」「その後は随意」という感じなんだけど、そもそも一番好きなひととは結ばれない皇帝陛下(ううう…泣)なので打ち止めがこのひと。つまり妃の中で一番若い+この状態、んでもって積極的ときちゃアナタ。そもそも自分の置かれた状況そのものが気にくわなかった気配あり。
ちなみに世継ぎの皇子は二十歳くらい。
成人が…十七、八くらいの世界として、だとしたらもう世継ぎしてもいいよなー、と思っても仕方あんめえ。
この五代の帝になるひとはおかげで女性不信に陥りやす。
*
さてつづき。
この事件の何とゆーても元凶である第四代の皇帝カヤ君。
(金色が空を覆うとき・参照)
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このファイルがどっかいきました。ざっとした内容は頭に残ってますけど細かいとこは覚えてません。
何とゆーてもあの三代の皇后・母親であるひとが(この時には流浪太后とか呼ばれてる。ちなみに初代皇后も行方不明で何かそーいう名前がつけられてる。そのあたりはまあ後で)実に何ちゅかあの、その、なひとだったので、女性不信とまではいかないが、それこそ「妹」公主以外のどの女にも気を許さない。
ってことは、「妃」になる女性(またこれが二十年ばかりのうちにたくさん居るんだ!
とにかく「皇后」が出来ない限り、秘密裏だろーが何だろーが一番愛しい女性と肉体的に結ばれることはできないんだから彼は彼なりに必死だった。自分は種馬だと認識していた。
そもそも彼は皇帝になる気はなかったし、自分は宿屋の息子以上のものになれるとも思っていなかった。政治云々は周囲に父皇帝の残したシステム/方式と人材が居たから彼のできることは次代の皇帝を世に残すことくらいだった。
んでもってその「妃」達は基本的には一公主のみ生まれたら後は要済み、ということで。そりゃああーた恨まれても仕方ない。
だけど皇帝は皇帝で切っても突かれても再生機能が激しい生物なので、そうそう殺すことができねー。
全くやな奴だ。
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えーつまり、一応初代から七代までの皇后のおはなしを書きたかった訳ですよ。王とか皇帝じゃなくて皇后の。
この場合後宮でもいいんだけど。
で、そのシリーズのタイトルが「ROSE IS ROSE」薔薇は薔薇、私は私、ってまあ実にかつてのワシの肩肘ばった様子が出まくっております。
「F.P」は七代の皇后の話で、「fallen point」「皇帝」を生み出すおおもとが落ちた場所、ってこと。これがMMシリーズとつながっておりまして、おっこってきたのは天使種を作ってしまう融合生命体の鉱物だった、って訳でしたー。(注.なろうでタイトル変えました)
で、「西向きの窓を開けて」はその中で可愛い六代の話。これはうちうちでも評判良かったな。でウイングスで最終選考に残った。過去の栄光(笑)。
その前に三代目の話を和風FTもどきとごっちゃにした感じで書いたんですね。これはまだワープロ時代なんで、コピー誌は残ってますがいやもう主人公がいじけすぎていて読む気になれねえ。これが若気の至りという奴ですな。二十年前。大学生の頃かな。
で、その息子の四代くんの話が「金色が空を覆う時」ってので、この「流浪皇后」の皇帝さんですよ。母親に捨てられた彼は血のつながらない「妹」をずっと好きなんだけど時間がずれてく、という。
で、この「流浪皇后」っータイトルの四代皇后のアリカ/サボンさんにはこういう序章がついてました。
***
序章
「最初から」
若い、女の声。
低めの声。広い室内に響く。響く。響く。
高い天井に。
延々と続く朱塗りの壁に。
ひずんだ窓硝子に。
同じ色の絨毯はその室を切り裂く様に敷かれ。
女はその真ん中で、黒い椅子にきつく括りつけられていた。
「最初から皆、私などそれだけのものと見下していたのだ! そうだろう!」
周囲を取り巻く人間は、びく、と肩を震わせる。
響く声。
歳の頃は十六、七と言ったところだろうか。
肩までの短い髪。耳の前だけ細く幾つも編み、煌びやかな飾りをつけ。
その髪が、ふと揺れる。
「所詮は身分の低い女と―――」
身をよじる。
強く縒られた白い紐の中にあったが、それでもその身体にまとう衣服は上等の。
上着は濃い青を基調とした、金糸銀糸の刺繍や絞りが満載な。
椅子を覆って丸く広がるスカートはほんのりと柔らかな黄色が基調。
裾には小さな、可愛らしい花々を散らした様な刺繍。
たっぷりとした貴重な絹布、そのひだの数は他に例を見ない程多く、刺繍の花一つにも心が配られ。
その装いを、引き裂かんばかりの勢いで。
彼女は、叫ぶ。
「思っていたのだろう!」
ぐるり、見渡す。
「小賢しい女と!」
平服する、様々な色の官服が彼女の視界に飛び込む。
虹の色を思わす並びは、段の高い所から低いところへ。
「余計なことをする女と!」
ぐるり。
動く限りに身体をよじり、彼女は何度も、何度も、視線を投げる。
「そして」
やがて視線は止まる。
「あなた様も」
真正面に据えられる。
「誰よりも、あなた様が、そう」
真っ直ぐ。
この部屋の中央の、誰よりも高い位置に座る。
「あなた様が」
彼女がそう呼ぶ、ただ一人の。
「―――陛下!」
ぎり、と紐が音を立てる。彼女は顔をしかめる。
はっ。
右斜め後ろの、藍色の服の男が口を開く。
だが顔は上げられない。許しが無い。
同じ段、同じ色の隣をちらり、と見やる。
判っている、と微かにうなづく。
もし「その時」が来たら、自分達は中央に座る主人の命に反しても、あの女を止めるのだ、と。
「貴女の言いたいことはそれだけか?」
上座の人物は、気怠げに声を投げる。
若い男だ。
少なくとも、簡素な衣服に包まれた身体は誰からもそう見える。二十歳を幾つか過ぎた程度と言って間違いないだろう。
―――少なくとも、二十年前からずっと。
藍の男が帝都に足を踏み入れたのは十六の時。政治の都に子供の存在は許されない。
たった一人をのぞき。
「否」
「では言うがいい」
「今更」
女はふっ、と笑う。
それもまた、小娘のものというには、ひどく横柄な、そして疲れたもので。
「皇后よ」
彼は女を呼ぶ。
女の表情が引き締まる。だがその口は引き結ばれたままで。
「私は貴女が皇后となったことで、ずいぶんと救われたのだ」
「それは光栄の極み」
「私には貴女が必要だった」
ふっ、と女――― 皇后は、笑った。
「だから貴女の存在を歓迎こそすれ、疎ったことなど一度も無い。天に誓ってそれは真実だ」
「天ですと!?」
皇后は声を張り上げる。
「そんなもの、あなた様は信じていないというのに!」
そこまで言わせて―――
藍の男は、唇を噛む。
唯一無二の皇帝陛下にそこまで言わせて、それでも黙っていなくてはならないのか!
「…貴女の産んだ太子も、すくすくと元気に育っている。頭も良い子だ。貴女自身が健やかで賢かったおかげだろう」
それでも女は黙っている。みし、と何かがきしむ音が再び響く。
と。
「待て!」
「いいえお放し下さい! 後生です、通して下さい、お願い致します!」
浅葱色の女官服が彼の目の前を横切る。
女官のうちでも位の高い者だ。
「ああ! どうしてこんなことに!」
取り押さえる男達の腕を振り払い、女官は椅子の足に取りすがる。皇后の足に、取りすがる。
「一体どうして、こんなことにおなりになったのですか!? 一体! 一体!」
「下がれ! そなたには関係の無いこと!」
「いいえ、下がりません!」
「下がれ!」
唯一自由になる足首が、取りすがる女官を振り払おうとする。
足蹴にする。蹴り、蹴り、蹴り、蹴り、蹴りつける。
「幾らおっしゃられても、私は下がりません!」
女官は首を大きく振る。
あっさりと結われた髪は、それだけではらりと幾つもの束を床に落とす。
「下がれと言うに!」
鋭く蹴りつける。
あっ、と声を立てると、女官はその場に転がった。
擦れた頬がひどく赤くなっている。
う。
彼女は喉から声を漏らす。口に手の甲を当てる。血が付く。唇だけではない。歯も折れている様だ。
「内官長! 連れ出せ!」
皇后は女官の同僚を呼ぶ。
内官長と呼ばれた臙脂の服の女がそそ、と進み出る。
手を貸しながら、同僚の口から流れる血を見て驚く。
「いいえ…」
女官は顔を上げる。
「いいえ! 私は退きません! 何故ですか! 何故あなた様が、そんなことを! あんなことを! 何故…」
見上げる、女官の目には涙がいっぱいに溜まっている。
それを見る、少女の顔をした女は、椅子の上から笑った。
「判らぬか」
「判りません!」
「本当に判らないのか」
「判りません! 判りたくありません!」
あなた様が、と一度言いかけて、一呼吸置く。
その言葉を口するのを恐れるがごとく。
だが恐れは一瞬だ。
女官は叫ぶ。
「あなた様が―――太公主殿下を亡き者に―――など!」
***
つまりアリカ/サボンさんは皇帝陛下がずーっと好きなこの妹殿下を殺そうとして罪に問われて追放になる、だから「彷徨う皇后」で流浪皇后。という話だったと思います。このラストだけ考えてたけど、間が浮かばなかったんだよなー。けっきょく。
残りはHPでキャラ紹介だったやつ。
◎第一章における初出登場人物紹介
*サボン→アリカ(ムギム・アリカケシュ・サヘ)
*アリカ→サボン(メ・サボナンチュ・ククシュク)
この物語の主人公。どちらも。
サボン→アリカは宮中に入り皇帝の子を宿す。頭良し。
「うちにある古典書籍と、新版全版図帳に載っている地名を新名古名合わせて、一字一句間違えずに暗記している女」。
アリカ→サボンはその側近女官となる。大きな目。子供っぽい。
この時点で十六、七歳程度。少なくともサヘ将軍の娘である彼女は十六の誕生日を迎えている。拾われた彼女の方は、拾われた時に三歳程度。辺境メ族の出身。
甘茶色の髪が似た髪質だったことから入れ替わりが可能となった。
*サヘ将軍
帝都に別宅を持つことができる程の将軍の一人。
本宅は副帝都。第一夫人と第三夫人、娘五人が同居。一人息子は帝都勤務。
統治が難しい「東海」の平定を半年で済ませる優秀な将らしい。
*ヘザン
サヘ家本宅の使用人頭。
*レイニ
ヘザンの妻。サヘ家の厨房頭。
*ミルヒャ、サザム、ケイヘン
ヘザンとレイニの娘達。サヘ家の召使。厨房から掃除まで。
歳の頃は十八から二十二まで。
*皇帝(四代帝)
即位より四十余年、世継ぎが生まれない皇帝。
外見は二十歳を少し過ぎたくらい。
今まで56人の女性を宮中に入れた。
生まれた公主は15人。そのうち2人は早世。7人が降嫁して翁主となり、3人が降嫁が決まり宮中を出て修行中。現在宮中に居る公主は3人。皆アリカより年上。
*左臣長クダシン
三十年前の重臣の一人。
娘をことごとく宮中に入れ、死なせてしまったことで乱心。
*春逝皇后マリャフェシナ
二代皇帝の皇后。若くして自ら命を絶ったと言われている。
*冬闘祖后
初代祖帝の皇后。
*風夏太后
三代武帝の皇后。
*カイリョーカ
春逝皇后の言葉をつづき絵にしたとされている有名な絵師。
◎第二章における初出登場人物紹介
*ウリュン(アテ・ウリュン・サヘ)
サヘ将軍家の一人息子。で、跡取り。第一夫人腹。24歳。
(旧)サボンのことが好きだったらしい。
この時点では都城周衛に属す武官。
*セン(ツァイツリュアイリョセン)
*サハヤ(ネカスチャ・サハヤ・クセチャ)
ウリュンの同僚兼友人。
センは草原の「姓無き部族」出身、サハヤは南東海府のテ島出身。
*サヘ家の四姉妹(第三夫人ト・ミチャ腹)
セレ(セレナルシュ) 結婚間近。おっとり。22歳。
シャンポン(シャンポェラン) 男勝り。20歳。
マヌェ(マヌェチェンダ) 身体が弱く、いつまでも子供。18歳。
マドリョンカ(マドリョレシナ) 明るい。勝ち気。お洒落。16歳。
*サヘ将軍の妻達
第一夫人 アテ・マウジュシュカ 商家の生まれ。ウリュンの母。将軍より五歳歳上。
第二夫人 ムギム・テア 将軍の幼なじみ。アリカを産んで死亡。
第三夫人 ト・ミチャ 芸妓上がり。四姉妹の母。
*最後の三公主
桜の公主 アマダルシュ 宮中のファッション・リーダーらしい。18歳。
鳥の公主 イースリャイ 田舎で育てられた。16歳。
緑の公主 イムファシリャ 「わからないひと」16歳。
◎第三章における初出登場人物紹介
*タボー
北離宮の厨房方女官。
本来は宮中の何処かに配属されているのだが臨時。
*ホルバ・ケド
侍医長。
*ケレンフト
内侍長。
*エモイ
たまたま夜番だったため忙しい厨房に引き込まれてしまった縫製方雑人女。
*ヤンサシャフェイ太公主
先帝の末の公主。「四十年前の少女」。
◎第四章における初出登場人物紹介
*トゥイリイ
シャンポンのお付き。乳姉妹。
*ソゾ
マヌェのお付き。乳姉妹。
*スキュヒ
セレのお付き。乳姉妹。
*メイリョン
マドリョンカのお付き。乳姉妹。
*トゥバーリ・レレンネイ・ヒャンデ
お披露目時点での女官長。
*ネノ・プリョーエ・クス
お披露目時点での縫製方筆頭女官。
*イリュウシン
アリカの同僚。皇后付き女官。中北部出身。
*キェルミ
アリカの同僚。皇后付き女官。中南部出身。明るい茶色の髪。
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設定倒れ、といういい例でした。