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4話

「……」


「今日も来たんですね、ストーカーさん」


「やはり音川さんと会っていたのか。僕の事も聞いているんだね」


「はい。はっきり言います。アナタは卑劣です。即刻に、やめてください」


「いやだね。それに音川さんは何もわかっていない。僕は母星では一、二を争うほど強い権力を持っている。そんな僕の隣にいる事が、どれほどの幸せだと思う? ここに来れたのも、自分の資産を存分に使わなければ無理だ」


「それが迷惑なんです。音川さんの事を考えているなら、もっと、都合の悪い部分も見るべきです」


「フン。貴様に何がわかる。ただそこにいただけの小娘が」


「貴方だって、何がわかるんですか? 音川さんに避けられているだけなのに」


「言ったなっ!! この餓鬼がっ!!」


 ストーカー男は私に飛びかかりました。


しかし、私は何も怖くありません。カエルちゃんがいるのも確かですが、それ以上に、ストーカー男が、これ以上になく、ミジメに見えたからです。


バシン


ストーカー男の手は私に届きません。私が少しずつ近づいて行くと、ストーカー男はひどく苦しみます。カエルちゃんの力のせいでしょう。


「あっ、あがが」


「もう、音川さんに近づかないでください」


 ストーカー男は何も言わず、私から逃げました。清廉そうなスーツ姿は、地面の土かかかっているうえ、走り方も運動音痴のようなので、私も悪い事をしてしまった、っと思いました。


「春乃ちゃん……」


 物陰から、音川さんが呟いたので、私もそっちを見ました。


「いたんですか」

 私はちょっとびっくりしました。


「……」


 音川さんは嬉しそうなのと、申し訳ない気持ちを混ぜた表情でした。


「迷惑掛けてごめんね」


「迷惑なのはストーカーさんの方だと思います。音川さんは関係ありません」

 

音川さんはありがとう、と小さい一言を。


「音川さんは、美人なんです。そんな人が、いつまでも悩んでいるのは、もったいないと思います」


 残酷な事を言っている。昔の男は忘れろ、と。


「恋している女の子は、どんな時より美しくて、どんな権力者にも、敵わないんですから」


「ありがとう、春乃ちゃん」

 

その言葉と共に、私の心にいたカエルは胸から飛び出していった。


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