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四畳一間の怪獣退治 renew!!  作者: やまみひなた
第二章――宇宙と父の積み重ねた業と――
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この星で成すことが出来そうです

 昨日は食欲が少しわかなかった。でも今日は普通に食べることが出来た。脳裏に、あの銀髪の女の子のことがちらつく。

 名前も知らない、妖精のような美少女。

 穏やかで優しい眼差しは、見つめてくるだけで人を虜にする。

 じゃあ僕もその眼差しに虜にされたのか?

 いや、そんなわけじゃない。

 ……と言い切れない。

 出来れば、もう一度彼女と会ってみたい。会って何を話すのか、具体的には何も思い浮かばないけど、ただ彼女の笑ってる姿を見たい。

 ……恋かな。

 と、自分に語りかけていやいやと苦笑しながら首を振った。

 一目惚れの可能性もなくはない。でもその可能性は一%を切るくらい低くて、ただここで一人でも知り合いを増やしたい僕の欲求が訴えてるだけなのだとすぐに分かる。

 僕は席を立った。食事をするにしても限界がある。

 さすがに食ってばかりは体への負担が大きい。

 そして何より、待ち人との合流がある。

 レストランの人に頭を下げて、僕はロビーへ出た。

 すると、そわそわした体つきの少女が、僕の姿を見て飛び跳ねた。

「ごめん、リュウカ。食事長く取り過ぎた」

 そう、僕を待っていたのは、今日様々な手続きの手伝いをしてくれるリュウカだ。

 彼女はぴょんと僕の前に飛びだし、にんまりと笑いながら語りかけた。

「食事をたくさん取って下さってありがたいのです。栄養失調では困ります」

「まあ……食わない生活の方が長かったからこれだけ食べられる方が不思議だよ」

「ここの食事が美味しいというのは驚きでした」

「味覚がちょっと違うんじゃないかな。それよりリュウカ、昨日テレビ見たよ。なんか凄いことになってて笑っちゃった」

 僕が言うと、リュウカは顔を赤くしながら僕の胸元を叩いた。

 あの会見は彼女にとっては大変不本意なことだったらしい。

「でも凄かったよな」

 目元を伏せ、ぽそりと呟く。神嶋室長と名乗った、前国王セルラは徹底的な悪として糾弾され、地球にセノフォトンがあったことも問題となった。リュウカの側に付いていた外相補佐のあのお姉さんがうまく躱していたが、一方的なやり口で、その部分は好きになれなかった。

 あそこで戦い続けてくれた人がいる。だから僕も戦えた。

 その一人が神嶋室長だと、多くの人は認められないだろう。神嶋室長は最終的には地球を滅ぼして終わろうとした人物だ。だから彼らの言い分にも理はある。

 でも僕は、彼のことを心底嫌いになることは出来なかった。全部を肯定は出来ない。ただ一部、ただ一部を許す程度には彼を思えないか。そう思うのだ。

「雲雀さん、その内あいつも、この星に帰ってきますよ」

「そういう話、あるの?」

「いえ、全然。でも地球に置いといてもいいことはありません。だから戻すかなって私は思うのです」

 そうだな、と僕は笑った。そういう考えの方がいい。彼はきっと、戻ってくる。その時はきっと、この星だけじゃなく、地球や、他の星の為にも立ち上がれる立派な――それより僕よりも立派な、父の後を目指した人としてやってきてくれる。

 僕らはホテルを出て、街並みを歩いていた。

 ふと、あの公園が目に留まる。あの少女はいなかった。

 いつここに現れて、またどこへ消えるのか、それすらも分からない。

 不思議な、幻想的な少女。やっぱり僕は、美人に弱いのだと痛感した。地球でもこんな感情を何回思ったか。今では何でもないが、出会った当初ならリュウカにさえ同じ事を思ったほどだ。

 街並みを抜け、先日のリュウカのお父さんのいるビルへ入る。リュウカは顔パスなのか、頭を下げただけで警備の人間が通してくれる。多分僕一人じゃどうしようもないんだろうな。

 エレベーターを昨日のように上る。

 昨日のようにリュウカが扉を開いて――と考えていた僕の前に、意外な人が姿を見せていた。

「どうも、おはようございます」

 その声が漏れた瞬間、リュウカが嫌そうな顔をする。リュウカが嫌いで嫌いでたまらないと漏らす、あの外相補佐のお姉さんだ。

「えっと……」

「フィン・パトリシア。一度で名前を覚えていただけるとは思えませんでしたが」

 彼女はそう言いつつ、露骨にため息を漏らす。どうやら僕もリュウカ同様彼女の嫌いな人物リスト入りしたらしい。

「あ、あの……外相補佐のいき……いえ、なんでここにいるのですか」

「長野さんに正式な許諾を下すのに、私が首相代理として来たのです」

 前国王派の力はまだまだあると聞いていたけど、彼女が首相の代わりになれるというのは、ちょっと想定外だった。

 うまく、国を崩壊させないように努力しているんだ。だから僕も、色んな人の面子を潰すわけにはいかない。しっかりとした面持ちで、フィンさんに頭を下げた。

「よろしくお願いします」

「分かりました。中へ」

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