新しい星の、第一歩
続編開始、今度はエタらないように……
きらきら光る流れ星。
いくつもそれを見て一週間。僕の目に一つの光が映った。
目指していた場所――遠く離れ、地球を救ってくれた星、パッシブ星。
宇宙から一人の少女が来た。
少女は地球にその星の良さを伝えに来てくれた。
だから今度は、僕が地球の良さを教える番だ。
少しばかり鼻息を荒くして、ブースターの出力を上げる。
あと五分もすればパッシブ星の発着場に到着出来る。
「雲雀さん、大丈夫ですか?」
「携帯食飽きた」
「まあ……仕方ないです。あんまり美味しいものじゃないですし」
「でもまあ、いいかな。ようやくパッシブ星につくんだ」
「言っておきますけど、パッシブ星のごはんはまずいですよ」
「……いや、そんなこと気にしてない」
少女と僕は、もうすぐ星に到着するというのに、相変わらずのくだらない会話を繰り広げていた。
地球で感じた風を切る感覚も駆け抜ける感覚もない。
コクピット内に整備された重力制御装置のおかげで僕は普通に過ごせているが、そんな技術がなければそもそもこんな場所に来ることなんて出来ない。
漁港が船を誘導するように、星から何度も点滅する光がこちらを誘ってくる。
ここでどんな人達と出会えるのだろう。僕の新しい人生にどんな影響を及ぼすのだろう。僕の胸は、不安よりも興奮に支配されていた。
「雲雀さん、私が先に行きます。ゆっくりついてきてください」
「分かった」
少女に告げ、僕は搭乗しているロボットの速度を落とす。
彼女の乗る昔ながらの円形UFOが一足先にそちらへ向かった。
彼女の船が、星に消える。するとすぐさま僕のロボットに通信が入った。
「入船許可が出ました。どうぞ、いらしてください」
トーンの弾んだ、心地よい声。
僕はロボットの速度を上げ、その光の中へ入っていった。
地球の船舶にも似た、整えられた施設。
でも見知らぬ機械がたくさんあって、それが煌びやかな光をもたらしている。
――ああ、ここは地球じゃない
僕はロボットから下りて、そのことを実感した。
「雲雀さん! もう何日も会えなくて寂しい思いをしました!」
「どさくさにまぎれて抱きつくな」
僕の傍らに、少女が抱きつく。
この子がいなければ、今頃地球は滅んでいたかもしれない。
ただ父が命を助けられたという恩返しのためだけに地球へやってきた少女、リュウカ=コニャック。
この少女がいなければ、僕の人生は暗いままだっただろう。
何がどうなのか、僕にやたら懐いてくるがそれもまた、父の影響のおかげだろう。
怪獣と戦い死んだ父。
僕が戦っていた、いや今も戦っているのはその父の面影なのだ。




