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不思議な体験

作者: 相戯陽大

毎週金曜日、深夜に1時間の枠で放送されるとある番組が好きだ。ビデオに撮って土曜日の朝1番に見ている。これが楽しみで毎日を頑張っているといっても過言ではない。


しかし去年はあまりにも忙しすぎたから、テレビをみている暇などなかった。だから見ずに置いてある番組がどんどん溜まっていき、ついには1年間分の番組がいつ見られるかと楽しみにしているかのように待っていたのだ。さすがに今年に入ると暇ができるようになったので、ゴールデンウィークの4連休で1年分の番組を片付けてしまおうと思った。番組に集中するために4連休の間はカーテンを閉め、食べ物も家にある物しか食べず、携帯電話もパソコンも開かないことを心に誓った。


番組は50回分ほど溜まっている。睡眠時間と休憩時間を考えても1日に15回分は見ることができるから、4日あれば50回は余裕で消化できるはずだが、確実に3日はかかってしまう。果たして3日間をつぶしてまで見る価値のある番組だっただろうか。


しかし1日目に入るとそんな心配は杞憂だということに気づいた。1年間のブランクが番組の価値を忘れさせていたのだ。面白さのあまり1日目はあっという間に終わったように感じたが、久しぶりに見たこの番組の内容は夢に出てきそうなほど、まさに夢中になってしまった。


2日目は1日目ほど上手くはいかなかった。友人が急に遊びにきたのだ。早く帰ってもらって番組の続きを見たいのは山々だったが、その友人はあまりにもマイペースだからこちらの事情はお構いなしに泊めてくれとまで言ってきた。例え見たい番組のことを正直に話したとしても帰るような人ではないから、4連休で50回分を片付けるのは諦めることにした。その日は5回分を見た。


3日目、急に用事を思い出したと言って友人はスナック菓子のパッケージを家に残して帰っていった。今度会ったときは苦情を言ってやろうと考えながら掃除をしていたが、いざ掃除が終わると頭の中は番組のことでいっぱいになっていた。その日は夜遅くまで見ていたが、日付が変わる前に番組全てを見終わることができた。1年分を見終わると満足感と疲労感がどっと押し寄せてきたから、それに逆らわずにリビングで寝てしまった。時計の針は12より少し左を指していた。


4日目。朝起きるとテレビをつけあの番組を見ようとしたが、すでに全部見終わったことを思い出した。たった3日でテレビを見ることが習慣になっていたのかと半ば驚いたが、それよりも奇怪なことが頭をよぎった。最低でも3日目かかるはずだったが、2日目に邪魔されて実質2日間足らずで見終わってしまったのだ。まさかと思いカーテンを開けると、やはり朝だった。携帯電話も今日は4連休の4日目だと言う。


まさか、完全に外との情報を断ち切ったことで時間のズレが起こったのではないだろうか。そんなことを簡単に信じることはできないが、それ以外に説明しようがない。


今年のゴールデンウィークは、例年とは一味違うものになった。

こんなことが起こり得ると思いますか?

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